昨日の続きで『都電往来』の初版と再版の比較。
表紙は同じカラー写真が使用されている。
手前は鉄橋で、その先に延びる線路はかなりの傾斜を登って、かなりの高さの石垣のところで右に折れている。
左右の線路のうち、右には鉄橋に差し掛かった、運転席の上に「[ﾜﾝﾏﾝ] [ 早 稲 田 ]」の表示の「７００１」1輌編成。前面の行先表示や窓の周囲は紺色、全体は黄色で塗装されている。
その向こう、今「早稲田」行が通過したばかりの踏切を歩行者7人、自転車1台通過中で、（宅）急便のトラックが早くも右側の遮断機に差し掛かっている。
もう1つ向こうの踏切は通行人なしで、その少し先の左側の線路に[ 三 ノ輪 橋 ]行が止まっているようだ。窓は三面鏡のように3つに分かれており、枠は黄色、紺色は腰の位置に帯状に塗られているが、窓の下の車輌番号の辺りで切れている。車輌番号は判読出来ない。その下に[ワンマン]と白い札を挿して示されている。「早稲田」行は7000形、「三ノ輪橋」行は7500形のようだ。
すなわち、都電荒川線が明治通りの東側を平行して走行する区間で、手前は明治通りの高戸橋の脇、下流に掛かる鉄橋、「三ノ輪橋」行が停車しているのは学習院下停留所。もう1つ向こうの踏切も通行人なし。その先の石垣の少し先で、目白通りの千登世小橋の下を潜るが、橋は見えない。
空は快晴で、左側にサンシャイン60が、22階から60階まで見えている。南と西の角の間によく日が当たり、まだ午前中なのであろう、南と東の角の間も明るく写っている。
初版はサンシャイン60の西の角で丁度切れているが、再版は西の角の左に青空が少し（0.2cm）入っている。
縦書きの毛筆の題字、初版は上部のやや左寄り、サンシャイン60の東の角に沿って大きく「都電往来」、「都」の字は60階より上、塔屋脇からその上の空に位置し、「来」は26〜37階辺りに位置する。その左側「往」の位置から下、20階辺りから44階まで前面の右側6列分に重なって小さく「豊島区と荒川線」と添える。
この題字が再版では中央やや右寄りに移動している。かつ、背景を水色に、標題（12.5×3.0cm）副題（7.0×1.3cm）の大きさ潰して、両者は密着しているが副題の下辺は標題に比して1.5cm下がっている。この塗り潰された背景には、石垣と3つめの踏切の間の線路の右側に、「目 白／ﾌﾗﾜｰﾊｲﾎｰﾑ」*1が写っており、これを隠すように題字を移動させ、背景を塗り潰しているのである。
再版の表紙右下にゴシック体白抜き横組みで「主婦の学習レポート」とあるが、初版にはない。*2
同じ写真は背表紙を経て裏表紙まで続いているが、再版が左側3.0cmまでであるのに対し、初版は全面が続きでB4判強の大きな写真になっている。そしてここでも、再版が丁度切った辺り、左上に、黒地に黄文字の看板「〈学校／法人〉日本ジャーナリスト専門学校」が写っている。学校法人情報学園（現、学校法人敬心学園）の運営する日本ジャーナリスト専門学校は、昭和49年（1974）四谷にて開校し、昭和54年（1979）に豊島区高田2丁目に移転、平成22年（2010）3月に閉校（もしくは募集停止）、平成24年（2012）に学校廃止が認可されている。現在同じ場所に学校法人中央情報学園の運営する早稲田文理専門学校があり、日本ジャーナリスト専門学校の校舎を使用しているようだ*3。手前は鉄橋の川下側の主桁が端まで写る。右下、この主桁の端を円形（直径2.2cm）に白く抜き、そこに黒で図案化された木菟、円の下にゴシック体白抜きで小さく「豊島区制50周年」とある。
再版の裏表紙は、写真が2つ追加されている。右上隅（7.5×11.0cm）に前面窓の上に黒地に白抜きの「[ 早 稲 田 ]」の表示があり、窓の左上に小さく黒地に白抜きで「ワンマン」の表示のある「７５１０」、中央やや下（8.9×12.2cm）に表紙からの写真に接して窓の上に「[ﾜﾝﾏﾝ] [ 早 稲 田 ]」の表示の「７０２３」が、三ノ輪橋方面行の「学習院下」停留所の脇を通過するところ。この写真については100頁右下に細線で枠（2.7×5.2cm）を仕切って、細字のゴシック体横組みで、
裏表紙の写真は、冷房更新車(7500型)／と(7000型)で、現在16輌運転しており／ます。
※7023――62年１月23日から
7019――62年３月10日から
7007――62年３月17日から
とあるのだが、「7023」以外番号が一致しないのは何故だか分からない。
余白はレモン色、右下に黒で花を2つ、それから斜線10本で流水を表したらしきマークがあってその左上にゴシック体横組みでごく小さく「みんなできずく／生活文化都市 」右下に小さく「豊島区」とある。（以下続稿）
*1:昭和55年（1980）7月建築の地上8階建マンションである。
*2:【5月17日追記】この段落を追加した。単純な記載漏れであり、続稿に記載するのも注にして追加するのもおかしいと思った故。
*3:なお、50ｍほど東に日本ジャーナリスト専門学校第２校舎が現在もあって、事務局業務はそこで継続しているらしい。
