瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『夢十夜』の文庫本(1)

・角川文庫904『文鳥夢十夜・永日小品』(1)
 「満韓ところどころ」とともに『四篇』と題する単行本となっているが、流石に『四篇』という題で文庫本にはしていないので、仮に『夢十夜』を記事名にして置いた。

改版二十四版】昭和三十一年九月十日初版発行・昭和四十四年一月二十日十三版発行・昭和六十一年四月三十日改版二十四版発行・定価260円・259頁
 栃折久美子の、夏目漱石の作品及び漱石関連本に共通のカバー。明朝体横組みで、上部に「夏目漱石文鳥夢十夜・永日小品」、下部に小さく「角川文庫」。
改版三十二版】昭和三十一年九月十日初版発行・昭和四十四年一月二十日十三版発行・平成二年四月三十日改版三十二版発行・定価262円・245頁
 改版三十二版は2冊見た。カバーも一致するが背表紙の地色が1冊は淡い水色、もう1冊は淡い緑色。
 わたせせいぞうのカバー。日の当たる、窓に面した文机に、15字詰22行(片面11行)が置いてある。1番上の1枚は8行めの途中まで文字があって、折目の下部に万年筆が転がしてある。そして折目の上に懐中時計が置いてある。他に机上には卓上ガス灯。文机の抽斗の有無は(右が切れているので)不明。左脇、部屋の東南(もしくは南西)の隅には縦型の奥行きのある収納箪笥がある。部屋の角の左右はともに同じような硝子戸で、下部は左右2分割で磨り硝子、その上は3分割で磨り硝子、その上は縦長で3分割で左右は磨り硝子、真ん中の硝子は周縁が磨り硝子でその内は透明、など周縁の角*1は方形に透明部分に張り出している。文机の前には群青色の座布団があり、その脇、左に灰の中に五徳を据えた火鉢があり、五徳の上の鉄瓶からは白い湯気が上がる。窓の外、磨り硝子はわずかに窓外のものを透かすのみだが、透明の部分から木々の緑や向いの建物の露台が望まれる。文字は右上にゴシック体灰色の縦組みで「夏目漱石」と、磨り硝子に収めるように入る。左上にこれは絵との重なりを記にせずに、黒で縁取りした黄色の楷書体太字で標題、右下、畳に文机の影が差している箇所にゴシック体縦組みで小さく「角川文庫」とある。
 改版二十四版と改版三十二版を比較しつつメモして置く。
 カバー背表紙、改版二十四版は淡い水色地、改版三十二版は淡い緑色地で、上部に明朝体で標題、中央やや下に明朝体でやや小さく著者名、改版三十二版の標題と著者名は秀英初号明朝で、標題の上に細いゴシック体で小さく「な|1-14 」とあり、著者名の下にゴシック体でごく小さく「 緑/1-17」とある(番号はともに横並び。)。下部、改版二十四版にはゴシック体でやや小さく「角川文庫 緑 一」そして横並びで「―17 ―」に挟まれた斜体の数字、そのすぐ下、最下部にゴシック体で「260」。改版三十二版は最下部にやや横長のゴシック体でやや小さく「角川文庫」すぐ下に小さく「●270」●に白抜き「P」算用数字は横並び。
 カバー裏表紙、ともに白地で最上部に横組みで1行、改版二十四版「ISBN4-04-100117-X C0193 \260E 定価260円」定価はやや小さい。改版三十二版「ISBN4-04-100117-X C0193 P270E 定価270円」定価の下に小さく「(本体262円)」と添える。
 カバー裏表紙折返し、横組みで上部にゴシック体で「角川文庫夏目漱石作品集」1行分空白があって明朝体で「吾輩は猫である坊っちゃん草枕二百十日虞美人草三四郎/それから/門/こゝろ/道草/明暗/文鳥夢十夜・永日小品」の11点、改版三十二版は「吾輩は猫である坊っちゃん草枕二百十日虞美人草/坑夫/三四郎/それから/門/彼岸過迄/行人/こゝろ/道草/明暗/文鳥夢十夜・永日小品/硝子戸の中」の15点になっている。左下に明朝体でごく小さく「カバー 暁美術印刷」右下にKBマークは一致。
 カバー表紙折返し、横組みで上部にゴシック体で「文鳥夢十夜・永日小品」と題し、半行分空けて明朝体で紹介文があるのは同じだが、改版二十四版は、

 エゴイズムに苦しむ近代的人間の運/命を追求してやまなかった漱石にも、このような滋味豊かな一面をのぞかせ/る美しい香り高い珠玉篇。メルヘンと/呼ぶべきか、夢幻と名づくべきか、読/者を一つの世界にいざなってやまない。/漱石愛する人々の忘れてはならない/貴重な人間像。「京に着ける夕」「倫敦/消息(1)(2)」「自転車日記」も収む。

とあったのが、改版三十二版は一回り大きくなって仮に太字で示した箇所が書き換えられている。

 エゴイズムに苦しむ近代的人間の/運命を追求してやまなかった漱石時として見せた滋味豊かな一面をの/ぞかせる美しい香り高い珠玉篇。メ/ルヘンと呼ぶべきか、夢幻と名づく/べきか、読者を一つの世界にいざな/ってやまない。漱石愛する人々の/忘れてはならない貴重な人間像。「京/に着ける夕」「倫敦消息(1)(2)」「自転車/日記」も収む。


 しかし「時として見せた滋味豊かな一面をのぞかせる」ではくどいようである。
 下部の広告は改版二十四版は2013年9月13日付「角川文庫の「月刊カドカワ」の広告(1)」の①、改版三十二版は2013年3月5日付「角川文庫の「野性時代」の広告(1)」の③、最下部右にゴシック体横組みで、改版二十四版「カバー 栃折久美子」改版三十二版「カバー わたせせいぞう」。(以下続稿)

*1:恐らく四つ角ともこうなっていると思われるが、下辺の左右2箇所のみ見えて、上辺は画面外。