瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

一発屋を繞りて(1)

 先月末に移動のため、夕方、2箇月振りに近郊の私鉄の上りに乗った。私は普段の通勤電車では座らない*1のだけれども、疲れていたのと始発駅の近くで殆ど客が乗っていなかったこともあって、座ることにした。と、私の向いのシートにやはり同じ駅から乗り込んで来た、制服を着た低学年の男女が並んで座っていた。荷物も多く本を読む気にもならなかったので、私はぼんやり小学生たちの様子を眺めていたのだが、うち1人の男児が、偉そうなのである。テストの答えを説明して、分からなかったらしい級友に、君はそんなことも分からないのか、と云うような口振りである。
 私も幼少の砌、とても賢かったので人に対して似たような風があったかも知れないが、普通の公立小学校に通って、貧乏ではなかったがそんな贅沢をした記憶もなく、――こんな、高そうな制服を着た小学生はいったい将来どうなるのだろうか、普段どんな暮らしをしているのだろうか、などと考えて見たが、全く想像が及ばない。きっとそういう層なのだろうなぁ、みたいなことを何となく思うばかりで、――私が教えた高校生たちもこんな風だったら授業が楽だろうなぁ、とか、いやいや、私などは軽く見られてアカンやろなぁ、などと取り留めもないことを考えていたのである。
 すると、その賢そうで偉そうな男児が、
「そんなの関係ねえ、そんなの関係ねえ、そんなの関係ねえ、はい、おっぱっぴぃ」
と言ったのである。
 その後も、何かと云うと、
「そんなの関係ねえ、そんなの関係ねえ、そんなの関係ねえ、はい、おっぱっぴぃ」
を繰り返して、しばらくしてどこか途中の駅で下車してしまったのだが、小島よしおは実は凄いのかも知れない、と、そんな気がしたのである。
 それと云うのも、――2年ほど前だったと思うが、家人が実家に帰って、両親と地元で就職した妹と、妹の息子(甥)と夕食をともにした際に、ワイングラスを手に乾杯することになって、グラスを軽く打つとき、思わず家人が
「ルネッサ〜ンス」
と条件反射(!)的に言ってしまったら、普段から姉に辛辣な妹が、
「古いのぉ」
と突っ込み、それを脇で聞いていた4歳の甥にまで、
「フるッ、フるッ」
と嬉々として突っ込まれてしまったのである。
 余りに調子に乗っているので流石にムッとして、
「じゃぁ■ちゃん、何が新しいん?」
と聞くと、すかさず
「らっすんごぉれらぁい!」
と言い、さらには母親と、
「あったかぃんだからぁ♪」
と合唱し始めたのである。
 そして甥の止めの一言は、
「■ちゃん*2保育園で乾杯せぇへんで」
と云う、すげない却下の言葉であった。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 しかし、今や、髭男爵は当然として、8.6秒バズーカークマムシ一発屋の様相を呈している(のではないかと思うが、実はその一発が流行った頃も殆ど見ていなかった)。小島よしお(1980.11.16生)は何故か「トットちゃん!」にも出演して、目が笑っていない植木等役よりも遥かに似合っている父親役の山本耕史(1976.10.31生)の、新婚妻監禁の場面のきっかけを作っていたが、……演技はまぁ、上手くなかった。(以下続稿)

*1:座ろうと思えば座れるのだけれども、往路も復路も大体混んでいるので座らないことにしている。

*2:「さっちゃん」と同じで小さいから自分のこと■ちゃんと呼ぶのである。