阿部主計『妖怪学入門』（１）

　著者・阿部主計（1909.5.22〜2006.6.27）の経歴については、一般社団法人日本推理作家協会HPの会員名簿に詳しい。日本推理作家協会所属であるが創作ではなく翻訳と、慶應義塾大学国文学科出身らしく藝能や民俗学に関する著述がある。
　さて、雄山閣出版は同じ本を度々改版・改装して刊行することが多い。そのことは別に構わないのだが、これら新装版の奥付に、旧版についての情報を示さない。序文や後記によって初版の時期くらいは察することが出来るけれども、大した手間ではないのできちんと示して欲しい。
　従って、本書も版次を確定させるのが厄介であるが、以下の8つの版が存在するようだ。
①1968年（197頁）初版

妖怪学入門―日本の妖怪・幽霊の歴史 (1968年)

②1971年（200頁）改訂増補
③1974年（200頁）三版

妖怪学入門

　以上の3つは未見。
④1987年（200頁）雄山閣ブックス19

妖怪学入門 (雄山閣BOOKS)

　「発売日: 1992/06」となっているが、書影は平成4年（1992）版ではなく昭和62年（1987）版のものである。
⑤1992年（200頁）雄山閣ブックス19
⑥1996年（200頁）雄山閣ブックス19
　⑥は未見。以上3つの版は「雄山閣ブックス19」として刊行されている。――200頁の②③④⑤⑥のうち、私はまだ④⑤の2つ（A5判上製本）しか見ていないが、これらは同一の版、すなわち②に若干の修正を加えたものらしい。
⑦2004年（185頁）新装版

妖怪学入門

　A5判並製本で本文は新たに組んでいる。
⑧2016年（168頁）雄山閣アーカイブス　歴史篇

妖怪学入門 (雄山閣アーカイブス)

　長命であった阿部氏歿後の出版。四六判並製本でこれも新たに組んだものである。（以下続稿）