瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

武田百合子『ことばの食卓』(2)

 昨日の続きで、諸版を対照して見ることとしたいが、まづ「牛乳」を例に取って、諸版の体裁を確認して置こう。
 ①13頁(頁付なし)扉、上部中央に大きく「牛 乳」、14頁(頁付なし)白紙、15頁から本文で1頁14行、1行37字、15頁の本文冒頭、まづ5行分空白。16頁*1と17頁の間に頁付のない、本文用紙よりもやや厚く白く、表面を平滑にしていない用紙の表に、枠(11.4×11.0cm)に囲われた銅版画の静物画、背景の空と生物は黒で細密に描かれ、物を乗せている床面は薄い青緑色で影は差しておらず濃淡もない。裏は白紙。本文は21頁5行めまでで以下余白、22頁(頁付なし)白紙。
 ②13頁(頁付なし)扉、上部中央に大きく「牛 乳」、14頁(頁付なし)白紙、15頁から本文で1頁14行、1行36字、15頁の本文冒頭、まづ5行分空白。17頁(頁付なし)に枠(8.9×8.5cm)に囲われた銅版画の静物画、床面の青緑色は濃く、銅版画も白黒のコントラストが強調されている。22頁10行めまで本文。
 ③13頁(頁付なし)扉、上部中央に大きく「牛 乳」、14頁(頁付なし)白紙、15頁から本文で1頁14行、1行36字、15頁の本文冒頭、まづ5行分空白。17頁(頁付なし)に枠(8.7×8.3cm)に囲われた銅版画の静物画、床面の青緑色は①と同じくらい(やや濃いか)。22頁10行めまで本文。
 ④175頁(頁付なし)、3行取り2字下げでやや大きく「牛 乳」、3行空けて本文。本文は1頁17行、1行40字。180頁2行めまで。挿画はない。
 すなわち②③は字配りも同じ。①②③の野中ユリの挿画の位置を〈 〉内に注記した。
・「枇 杷」①7~11頁②7~12頁③7~12頁④172~174頁
・「牛 乳」①13~21頁〈16~17頁〉②13~22頁〈17頁〉③13~22頁〈17頁〉④175~180頁
・「続 牛 乳」①23~31頁〈24~25頁〉②23~32頁〈27頁〉③23~32頁〈29頁〉
・「キャラメル」①33~42頁〈40~41頁〉②33~43頁〈39頁〉③33~43頁〈39頁〉
・「お 弁 当」①43~51頁〈48~49頁〉②45~54頁〈51頁〉③45~54頁〈51頁〉④181~186頁
・「雛祭りの頃」①53~61頁〈56~57頁〉②55~64頁〈59頁〉③55~64頁〈59頁〉
・「花 の 下」①63~71頁〈64~65頁〉②65~74頁〈69頁〉③65~74頁〈69頁〉④187~192頁
・「怖 い こ と」①73~81頁〈80~81頁〉②75~84頁〈81頁〉③75~84頁〈81頁〉
・「誠 実 亭」①83~91頁〈88~89頁〉②85~95頁〈91頁〉③85~85頁〈93頁〉
・「夏 の 終 り」①93~101頁〈96~97頁〉②97~107頁〈101頁〉③97~頁107〈101頁〉④193~198頁
・「京 都 の 秋」①103~111頁〈104~105頁〉②109~119頁〈113頁〉③109~119頁〈113頁〉④199~204頁
・「後楽園元旦」①113~122頁〈120~121頁〉②121~132頁〈129頁〉③121~132頁〈129頁〉
・「上 野 の 桜」①123~131頁〈128~129頁〉②133~142頁〈139頁〉③133~142頁〈139頁〉
・「夢、覚え書」①133~141頁②143~151頁③143~151頁
 ④には末尾に下寄せでやや小さく註がある。
 186頁6行め「*一八四ページ、正しくは「浪人旅殺生菩薩」。(編集部注)」これは①49頁6行め②52頁7行め③52頁7行め④184頁10行め「『殺生浪人旅』(だか『浪人殺生旅』)」に対する註で、④には「殺」の右脇上に「*」を打つ。
 204頁5行め「*二〇三ページ、正しくは「いその・えいたろう」。(編集部注)」これは①111頁4行め②118頁11行め③118頁11行め④203頁15~16行め「いそ/のえーたろー」やはり④は1字め右脇上に「*」を打つ。
 ①は141頁の裏に昨日引用した「初出一覧」があって奥付、奥付の裏は「作品社の好評既刊」7点の目録。
 ②③にはさらに、
・「あとがき」②153~154頁③152~153頁
・編集部「「ことばの食卓」について」③154頁(頁付なし)
種村季弘「解説 コドモの食卓」②155~160頁
埴谷雄高武田百合子さんのこと」③155~197頁
があり、埴谷氏の文章の末尾、197頁5行めには下寄せでやや小さく「(一九九四年十月)」とある。「「ことばの食卓」について」に、初出や単行本・文庫版と口絵写真について説明されている。
 ②は1頁白紙があって、その裏、中央下部に小さく「この作品は。一九八四年一二月一五日、作品社より刊行された。」とあって、さらに1頁白紙、目録が12頁あって奥付。従って個別の初出は説明されていない。③は1頁白紙で奥付、奥付の裏に「武田百合子 全作品」全7巻の目録。(以下続稿)

*1:8月20日追記】7行め「‥‥、のろのろと、呑湯の馬の‥‥」とあるが、以下の②③④の諸版では「湯吞」となっている。