瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

芥川龍之介旧居跡(21)

 裏のお婆さんが死んだのは、まだ社宅に住んでいた頃のことだったような気もして来た。
 しかし、退去後に取り壊された裏の家に新築された家を見に行き、出ていた表札がうちの苗字と同じだったことを両親に報告したような気もする。20年前の記憶は曖昧だ。当時、私はワープロ感熱紙の裏紙を使って日記を付けていた。10年続かなかったかも知れないが、数年分、紙の2穴バインダーに30冊くらいになっていた。今は実家の物置にある。あれを見れば何処かに載っている。しかし、何時だったか見当が付かないから、何年分か確認しないといけない。俄に探し当てられそうにない。

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・JAPANESE CINEMA MUSIC SERIES『WORKS OF YASUSHI AKUTAGAWASLCS-5085

芥川也寸志の世界

芥川也寸志の世界

  • アーティスト:サントラ
  • 出版社/メーカー: サウンドトラック・リスナーズ・コミュニケーションズ
  • 発売日: 1997/03/21
  • メディア: CD
芥川也寸志の世界

芥川也寸志の世界

 今、私の手許にあるのは1997年盤。以下の引用では改行位置を「|」で示す。
 バックインレイの左側(蓋を開閉する側)には黒地に横組みで、左半分に「SLCS-5085 / 芥川 也寸志の世界」番号は白抜きゴシック体、標題は水色の明朝体。右寄りに「 / オリジナル・サウンドトラック  」と細いゴシック体白抜き。帯(背)は灰色地に縦組みで上半分に明朝体で大きく「芥川也寸志の世界」とあり、その下、中央やや下にゴシック体で「オリジナル・   |サウンドトラック」と割書。最下部に横並びで「¥2,200」とある(この税込定価の上に分類票貼付)。
 ディスクと解説書の表紙には英題しか入っていない。ディスクにはシリーズ名はなく上にごく小さく「Original Soundtrack」と添える。解説書の表紙は最上部2行、にシリーズ名と英題があって、その下に黄土色で大きく「Yasushi」とあってその下に「Original Motion Picture Soundtrack」と添える。
 解説書は横組み、頁付はないが表紙の裏を1頁めとして勘定すると、1~2頁めは収録作品一覧、3~9頁め13行め「<インタビュー/interview>」、9頁め14行め~12頁め「<収録作品について>」、13~17頁め「芥川也寸志〈映画音楽作品〉全リスト」。18頁めに制作者などを列記。裏表紙は白紙。
 18頁めの10~11行めに、

※このCDは、1978年に東宝レコードより発売された「日本の映画音楽/芥川也寸志の世界」に、|「八甲田山」「八つ墓村」「鬼畜」を加え、復刻したものです。

とあって、芥川也寸志(1925.7.12~1989.1.31)生前に発売された、昭和28年(1953)から昭和45年(1970)までの10作品のテーマ曲を集めた選集に、昭和50年代の話題作3作品を追加したものである。バックインレイ及び解説書(2頁め)の収録作品一覧に、昭和50年代の3作品のみ「*」を附し、「*ステレオ収録」と注記してある。「<収録作品について>」はそれぞれの作品に関する作曲家本人のコメントが並ぶが、昭和50年代の3作品を抱き合わせてのCD復刻は芥川氏歿後のことだから作曲家のコメントではなく、昭和45年(1970)結婚の3番目の夫人のコメントを載せている。
 すなわち、11頁めの末尾(29~30行め)に右詰めで「FEB. 1978|(インタビュー構成・貝山知弘)」とあって、3頁めからここまではLPレコード以来のもので、貝山知弘(1933~2018.1.7)は映画プロデューサー、オーディオ・ビジュアル評論家で18頁め5行め「構成」に名前が見えている。12頁めは末尾(28~29行め)に右詰めで「FEB.1997|芥川眞澄 談」とある。
 「芥川也寸志〈映画音楽作品〉全リスト」は芥川氏が音楽を担当した映画の一覧表で、111作品について題名、監督、出演、封切日・製作会社を示す。これはLPレコードにはなかったものであろう。17頁めの下欄外、右寄せで「(平成9年2月現在) ☆印は本CD収録作品|リスト作成/大場正敏(フィルムセンター)協力/大塩一志」とある。歿後作成したリストに(~年~月現在)と云うのは少々妙だが、忘れられていた作品が発掘される可能性が考慮されているのであろう。
 さて、このCDに注目したのは解説書3頁め「<インタビュー/interview>」の冒頭に、旧宅について語っているからである。2~12行め、

――芥川さんと音楽との出会いというのは、なんと、ストラビンスキーなんですって?――
  “そうなんです。幼稚園の頃だったですね。ぼくの家は、ひじょうに暗い陰惨な家だったんですね。|おやじ(龍之介)が生前、書斎を建て増ししたんです。その建て増しで、わが家の家相がとても悪く|なったっていうんですね。こんな悪い家相の家、見たことないって……書斎を建てた翌年、おやじが|自殺して、その翌年におじいさんが死んだ。ぼくの記憶によれば、一年おきに人が死んだんですよ。|親戚の人が来て、うちで病気になって死んだり……それでいつもぼくはおふくろがもうじき死ぬと思|っておびえていました。例えば、おふくろが火鉢に炭をいれて、ぱちっと火花が散ると、これがおふ|くろが死ぬ前兆でありませんようにと祈ったとかね……、いつもそういう風におびえながら育ちました。
 そんな中で、唯一の救いはレコードだったんです。蓄音機、――ビクトローラってやつですね。手|回しで、ラッパが上についてなくて下の方から音が出てくるタイプです。それにレコードが何枚かあ|ったんです、その中の大半をしめるのがなんとストラビンスキーでね。‥‥


 この辺りの細かいことは、追々、他の人の書いたものを参考にしながら、確認して行くこととしよう。(以下続稿)