瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Giuseppe Tomasi Di Lampedusa “Il Gattopardo”(2)

・映画(2)
 ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『山猫』について、2016年6月2日付(1)に、Risorgimento(イタリア統一運動)の知識がなくてこの映画の世界に入って行けるものか、疑問に思ったのだけれども、まぁ色々と見所*1はあるから其処を気にしなくても見られそうだ。けれども、原作と違っていきなりガリバルディの上陸・転戦の一報から始まる訳だし、以後の展開も、舞踏会にまでガリバルディが絡んで来る訳で*2、やっぱりそこら辺りの知識はあった方が良いと思うのだ。一応の説明は新宿テアトルタイムズスクエアで上映された【イタリア語・完全復元版】にも、冒頭にちらっと入っていた。
・DVD(KKDS-223)2005年盤
 このDVDは【イタリア語・完全復元版】の商品化な訳だから、件の説明も収録されているかと思った(思っていた)のだけれども、今回改めて見直して見るに、私が劇場で何度も目にした冒頭の字幕は収録されていない。その説明と云うのは、――真っ黒の画面に例の字幕独特の白文字で、1860年5月、イタリア統一を目指すガリバルディ率いる赤シャツ隊がシチリア島に上陸し、王国軍との決戦が迫っていた、みたいな内容だったが冒頭部に無理に差し込んだらしく表示されたのは10秒あったかどうか、読むのがやっとでメモを取ることも出来なかった。かつ、この字幕が入った分だけ、最初の音楽が若干切れていたのである。そこで、こんなものを付けるくらいなら、当時のイタリア地図に1858年7月21日のプロンビエールの密約以後の流れを、サルデーニャ王国首相カヴール伯爵(1810.8.10~1861.6.6)と彼の政策に不満でシチリア遠征に乗り出したジュゼッペ・ガリバルディ(1807.7.4~1882.6.2)の2人を軸にして、別に2分くらいに纏めたものを最初に流せば良かったのに、と思ってしまうのである。
 それはともかく、このDVD、再生し始めるとまづ、探照灯の動く20世紀FOXのロゴが12秒ほど、一旦暗くなって時代がかった白黒の「Titanus 」と筆記体で浮き上がらせた紋章風ロゴがやはり12秒くらい写って、それからまた暗くなって主題曲、と云うことになっているが、その直後にまづ映し出される青空に黄色で「GOFFREDO LOMBARDO / presenta」と示されるのが、イタリアの映画会社ティタヌスの経営者で映画プロデューサーのゴッフレード・ロンバルド(1920.5.15~2005.2.2)である。
・DVD(KKDS-644)2011年盤
 その後発売された Blu-lay はさらに新しい修復版に拠っている。私はこの Blu-ray を入手しなかったが、同じ修復版に基づいたDVDが複数の図書館に収蔵されていて、そちらで確認した。茶色で印刷したの特製解説ブックレット(18.0×12.0cm)が封入されており、中綴じで表紙裏から裏表紙の裏まで頁付があって10頁、表紙から裏表紙まで連続した写真は舞踏会の折に涙を浮かべた侯爵。その 09 頁「Restoration 」に以下のように説明されている。改行位置は文中に「/」が使用されているので「|」で示し、また、アルファベットや算用数字は3字で全角2字分だが半角で示した。まづ1段め(2~7行め)、冒頭4行(2~5行め)の字数が少ないのは6字分、山猫の紋章が入っているからである。

 本DVDは、2010年に完成した新しい修復版のHDマスターから|制作されています。この修復作業は、欧州や米国のフィルム・アー|カイヴ、映像/音声ラボ、映画会社の協力によってなされたもので、|修復の資金はグッチとザ・フィルム・ファウンデーションによって提|供され、デジタル技術による画像の修復は米国ソニー・ピクチャーズのカラーワー|クスが、音声の修復作業はイタリアのリマジネ・リトロヴァータで行われました。


 それで再生の冒頭、5秒ほどタンクレディとアンジェリカのテーマをBGMに Cinefil Imagica のロゴが表示されてすぐ、5秒ほど「RESTORATION FUNDING PROVIDED BYGICCIandTHE FILM FOUNDATION」と示され、さらに一旦暗転して修復に関わった機関が表示される(2画面)。それから映画本編が始まっている。
 1行分空けて2段め(8~13行め)と3段め(14~18行め)に画像の修復について、1行分空けて4段め(19~21行め)には音声の修復について述べ、1行分空けて最後の5段め(22~28行め)、

 2011年6月、このマスターからブルーレイ・ディスク(BD)を製作し発売しまし|たところ、多くのファンの方から大変なご高評をいただきました。と同時に、普|段、DVDで映画をご覧になっている皆様からも「観たい」という沢山のお声を頂|戴し、今回、同じHDマスターからDVD化した次第です。もし将来的にBDを観ら|れる環境が整うならば、ぜひともBDで改めて観治していただければと思いま|す。きっと、1ランクも2ランクも上の『山猫』体験をご堪能いただけることで|しょう。


 20世紀FOX と Titanus のロゴはなくなっている*3
 最後に前回貼付出来なかった昭和39年(1964)日本初公開時のパンフレットの書影を示して置こう。

 アラン・ドロン(1935.11.8生)の写真だけれども映画とは無関係。(以下続稿)

*1:アラン・ドロンが格好良いとか、調和を乱して捻じ伏せてしまうクラウディア・カルディナーレの存在感とか、ドン・カロージェロが吉田鋼太郎っぽいとか。

*2:ガリバルディは『夏の嵐』同様に登場しない。この冒頭の、見えざるガリバルディに怯える侯爵夫人の姿など、新型コロナウィルスに怯えるオバサンたちみたいではないか。尤も我等がオバサン勢は行動力があって、ちり紙や米や買い占めているけれども。

*3:20世紀FOXのロゴは、茶色の双郭(間が黄色)でパッケージ裏面の右下(0.8×1.0cm)とディスクの下部(0.9×1.2cm)に入っている。