瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

日本の民話35『越中の民話』(3)

 2019年12月21日付(1)に書影を示した、カバーの掛かった①第一刷を見た。
 カバーの地色は深紅で、カバー表紙の左上に白で標題(約12.5×2.5cm)。本体表紙の同じ位置に金文字で入っている標題(約10×2.5cm)に良く似ており、同一人物の筆蹟と思われる。イラストは、前半「呉東地方」の8話め、33~35頁「和尚はんに負けた赤鬼中新川郡」の、35頁1行め「手のひらにのるほどにな」った、34頁12行め「小さいねねま*1になっ」た赤鬼。33頁上に挿絵に右手に乗った、表情と角の形、手の位置がことなる同じ「ねねま」が描かれる。すなわち、挿絵では角は少し彎曲し、鼻は垂れておらず、口は開いており、右手は袖に隠れているが帯の上、胸に当て、左手は左に下ろして袖をつかむ。右下に「YaSuO.M」のサインがある。下部に横組み白抜きで左に「日本の民話 35」右に「未 来 社」。
 カバー背表紙の白の標題は本体の金文字の標題よりも若干下に位置する。大きさは同じだがカバー表紙の標題の縮小。中央やや下にやや縦長のゴシック体で「伊藤・石崎・佐伯編」とある。最下部に未来社のロゴなどがあるようだが分類票貼付のため見えない。
 カバー裏表紙、左下に黒のやや細いゴシック体で「定価380円」とある。中央やや右寄りにあるイラストは、26話め、84~88頁「山鳩と蜂の恩がえし  下新川郡」に基づいている。84頁上の挿絵と構図が似るが、挿絵では椀に汲んだ水に鳩の頭部が映っていたのが、このイラストでは水の量が少なく映っていない。また、挿絵では同じ椀の手前に蜂も止まっていたが、このイラストには見当たらない。背後では井桁の脇に立つ笠を被った百姓が、撥釣瓶を扱っているが、本文では85頁8行め「カラカラと釣瓶*2のまわる音がして」とあるから、井戸屋形に滑車を吊った釣瓶井戸であろう。また、86頁13~14行め「‥‥。すると百姓は不承不承*3、おわんに一ぱいずつ、だまって山鳩と蜂に分け/てくれました。」と云うのだから挿絵に鳩と蜂が同じ椀から水を飲んでいるのもおかしい。挿絵には右下に「YaSuO.M」のサインがある。
 カバー折返しは表紙折返しは1.3cm、裏表紙折返しは1.5cmほど深紅で、残りは白地だが私の見た本ではカットされているらしく、元々どのくらいの大きさがあったか分からない。カバー表紙折返しの白地部分の右端、下寄りにゴシック体縦組みでゆったりと「カ バ ー・さ し え  松 川 八 洲 雄」とある。本体には、松川八洲雄(1931.8.12~2006.10.11)の名は見当たらない。(以下続稿)

*1:「ねねま」の右傍に「(赤ん坊)」と注記。

*2:ルビ「つるべ 」。

*3:ルビ「ふしようぶしよう」。