瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

冲方丁『光圀伝』(1)

 昨日の続き。
 山折哲雄と云えば何年か前に現天皇(昭和の頃は今上天皇と呼ばされたものだが、今「キンジョウ」とは殆ど聞かない)に自発的に廃太子されるよう、現在休刊中の「新潮45」に寄稿したことがあって、私は天皇家の存続について、そんなに興味がなかったので読んでいない。
 私は江戸城跡(皇居)とか宝物、文書の保全という意味で皇室はあっても良いと思っていたけれども、退位宣言以降、その気持ちが薄れて来た。いや、現皇后に対するバッシングが盛り上がったとき、――どうしても男系子孫を残さないといけないのであれば、周囲は無理にでも現皇后以外の相手を推して早々に結婚させるべきで、現皇后も現天皇に対して元来どの程度気持ちがあったのか知らないが、外交官の仕事を続けたいと思っていたらしいから、そこを殿下(当時)の意思を押し通させて置きながら、今更文句を言うのはおかしいし、この場合、言う相手は女性の方ではなく男性の方だろうと思ったし、だとしても絶対男の子を挙げないといけない、どうしても天皇にならないといけない、とは基本的人権も何もあったものでなく、基本的人権を保障しながら、それが適用されない「象徴」を戴く憲法って何だ、と思ってしまったのである。
 無理になくさなくても良いと思っているけれども、無理矢理、女性宮家を拵えたり、旧宮家を復活させたりしてまで存続させなくても良いと思う。
冲方丁『光圀伝』平成24年8月31日 初版発行・定価1900円・角川書店・751頁・四六判上製本

光圀伝

光圀伝

  • 作者:冲方 丁
  • 発売日: 2012/09/01
  • メディア: 単行本
平成24年10月10日 5版発行・定価1900円*1
 徳川光圀の修史事業には『新編鎌倉志』など、私も研究上いろいろお世話になっているのだが、どうも、私は水戸学が苦手で、何と云っても尊皇攘夷が正気の沙汰と思えない。開国せずに済まされるのならともかく、そんな状況になかった訳で、そして、長州藩尊皇攘夷を叫んでのさばりながら、最後はイギリスと結んで倒幕したと云うのがいよいよ訳が分からない。いや、狂的に尊皇攘夷を叫んで朝廷工作やテロリズムにまで走ったから「安政の大獄」になった訳だし、戦後「志士」と「新撰組」の逆転現象が起こったのも当然で、好い加減「志士」と云う呼び方は止めた方が良いだろう。まぁ「倒幕派」くらいで。――もちろんそれは幕末の話で、徳川光圀の頃は、そこまでの「尊皇」でもなく「攘夷」なんて、まづ問題にしなくても良かった訳だけれども、それでもどうも、腰が引けてしまう。
 それはともかく、本書についても図書館蔵書では保存されない帯について、記述して置こう。
 なお、奥付とカバー裏表紙は Amazon 詳細ページの試し読みで閲覧出来る。
 帯(6.5×46.0cm)は黒地に白抜きもしくは黄色で文字等が入れてある。表紙側にはまづ明朝体白抜きでやや大きく「『天地明察』をしのぐ最新時代小説!」とあり。次に一部が黒っぽくグラデーションの付いた黄色で大きく「太平の世を駆け抜けた/熱き“虎”――水戸光圀。」そして下部左にゴシック体白抜き中央揃え「尋常ならざる熱量で/その鮮烈な生き様を活写した、/魂ふるわす渾身の1500枚!」さらに下に黒みがかった黄色の明朝体で小さく「角川書店」とある。その右には黄土色(2.0×7.3cm)に塗りつぶして上辺の左右の角は少し丸くして、上辺と左右両辺の少し内側を白線で囲って(下辺はそのまま地で切れている)上部に黄色で「映画天地明察」〈9月15日/ 公開! 〉」公開日はゴシック体で割書、黒丸(0.9cm)に重ねてある。下部に白抜きゴシック体で「原作:冲方丁 出演:岡田准一、宮﨑あおいほか」とある。
 背表紙側には縦組みの、明朝体太字の白で3行「『天地明察』の/異才が放つ、/時代小説第二弾!」2行めの下に黒みがかった明朝体縦組みで「角川書店」。
 裏表紙側には横組みで、まづ黄色の明朝体でやや大きく「   生き切る、とはこういうことだ。  /誰も見たこともない〈水戸黄門〉伝、開幕!」とあって、白のゴシック体で、

なぜ「あの男」を自らの手で殺めることになったのか――。老齢の光圀は、水戸・西山/荘の書斎で、誰にも語ることのなかったその経緯を書き綴ることを決意する。
父・頼房に想像を絶する「試練」を与えられた幼少期。血気盛んな “傾奇者” として/暴れ回る中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水/戸藩主となった若き “虎” は「大日本史」編纂という空前絶後の大事業に乗り出す――。

とあり、黒みがかった黄色のゴシック体中央揃えで「なぜ、この夜に歴史が必要なのか――。/『天地明察』と対を為す、大河エンタテインメント小説!」として、やや小さくゴシック体白抜きで2行、

  『光圀伝』の最新情報はオフィシャルサイトで → http://mitsukuniden.jp/
Facebookの『光圀伝』ページも開設! http://www.facebook/com/mitsukuniden

とあるのだが、ともにリンク切れ。「対をなす」は「為す」ではなく「成す」だろう。(以下続稿)

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 事務局長が東京五輪入場券の払い戻し不可を否定するような発言をしたそうだ*2
 規約上、払い戻し不可で良いだろう。私ら、東京五輪招致に賛成したこともなく、観戦に行こうなどと云う経済的余裕などまるでない人間にまでこれ以上、負担を押っ被せないでいただきたい。
 今、例によって与党が国民1人当たり12000円給付とか云う、馬鹿みたいなバラマキ政策を進めようとしている。所得税減税とか云う意見もあるらしい。そして、一部野党が主張する消費税減税案には一顧だにしないらしい。赤木俊夫の遺書にも一顧だにしないようだ。それはともかく、私ら所得の少ない人間には、所得税が若干減ったところで殆ど助けにならない。Abenomics で景気が良くなるなんてのは初めから幻想で、株価をそれなりに維持して景気が良い振りをしつつ、所謂氷河期世代を見捨てたままにして非正規雇用を大量に生み出した分でその穴埋めをしているだけではないか。コロナウィルスがなくても消費税増税と云う愚策によって消費は冷え込んでいたではないか。しかし消費税に触れると首相の “政治決断” の責任を問うような按配になるから、そこには触れられないらしい。しかしそんなものは例の所謂「ごはん論法」と、マスコミ支配で何とでも誤魔化せるだろうに。支持率も上がったみたいだし。
 それはともかく、国民全員に給付と云うのはその方が事務手続きが簡単だから、と云う理由らしい。それなら、大損害の上に余計な事務手続きが発生し、しかもその新たな負担を東京五輪不賛成の私らにまで押っ被せることになる払い戻しなど、絶対しないでいただきたい*3。規約を大学入試センター試験の後継になるはずだったテストに対応出来る程度の学力で普通に読めば、払い戻さなくても良いのは明らかである。少しでも損害を少なくして、これ以上、余計な負担をさせないで欲しい。

*1:2020年3月20日追加。

*2:以下は3月10日付「図書館派の生活(4)」の続き。

*3:事務手続きを関係団体が「ボランティア」でやってくれるのなら、――いや、それでも払い戻した分が大損害だ。