瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(31)エド・マクベイン

 昨日、いきなり翻訳小説を取り上げてしまったが、祖母は海外の推理小説が好きで、ドイル、クロフツ、クリスティを始めとしてかなりの冊数がある。――終戦後、恩給が停止され戦争未亡人として子供を抱え、女学校の同級生が始めた小料理屋を手伝ったり、三兄の紹介で雑誌社に勤めて米軍住宅に取材に行ったりしたそうだが、陸軍中将だった父親に相談したところ、父親の部下の口利きでGHQの地図局に就職出来た。そして立川の都営住宅から片道2時間掛けて通勤していたのだが、行き掛けに貸本屋推理小説を借りて、往復の電車で読んでしまって帰りに返してしまう。毎日そんなことをしているうちに、その貸本屋で読んでいない推理小説がなくなってしまった。「新しいの、ないんですか?」と責っ付くと、貸本屋の親父が「奥さんの読みようが早いから。もっとゆっくり読んでくれなくちゃあ」と言われたそうだ。
 それはともかくとして、貸本屋以前はどうだったのか分からないが、とにかく相当量の読書量を誇る海外推理小説の、有名作家の分を後回しにしているのは、日本の小説も佐伯泰英から取り上げたように、祖母の蔵書をそのまま残して置けないから(もちろん幾らかは取って置くつもりだけれども)処分することを前提に整理しているからで、私と違って流行作家の人気作を好んだ祖母の蔵書は、却って今の時世、処分に困るのである。昭和のベストセラーは、何かの序ででもない限り、何処も引き取ってくれないらしい。
 しかし、愚図々々してはおれないから、取り敢えずブックオフに引き取ってもらえそうなものから片付けているのである。――もし、譲って欲しいと云う人がおれば(物によってはお断りするかも知れませんが)応じたいとは思っているのだけれども、元の定価で送料等はこちらが負担するとすれば、丁度良い値段になるであろうか。
2023年7月17日追記2022年8月26日付(033)の最後に触れた、居間の隅の9段の簞笥の上から2段めにあったものを印を附して追加して置く。排列であるが全シリーズの半数以上を訳している井上一夫を(第1作から担当しているが)後にして、点数の少ない訳者を前にした。
ハヤカワ・ミステリ文庫『87分署シリーズ』 早川書房
田中小実昌*1
404〈HM⑬-2〉『通り魔』一九七六年四月 三十 日 発 行・一九九三年五月三十一日 十三刷・定価505円・292頁

高橋泰邦 訳*2
438〈HM⑬-4〉『ハートの刺青』一九七六年 七 月十五日 発行・一九九二年十一月三十日 十刷・定価447円・268頁
中田耕治*3
470〈HM⑬-5〉『麻薬密売人』一九七八年九月 三十 日 発行・一九九三年三月三十一日 十刷・定価505円・279頁
 これは初刊時のカバーらしい。祖母が持っていたのは前後の巻と同じ装幀である。
・久良岐基一 訳
937〈HM⑬-18〉『10プラス1』一九七九年十一月十五日 発行・一九九三年 六 月三十日 九刷・定価505円・286頁・井上一夫 訳
403〈HM⑬-1〉『警官嫌い』一九七六年 四 月三十日 発行・一九九二年十一月三十日 二十刷・299頁
 これのみ、カバーが失われているので定価が分らない。
418〈HM⑬-3〉『われらがボス』一九七六年 五 月三十一日 発行・一九九二年十月三十一日 十刷・247頁
670〈HM⑬-11〉『キングの身代金』一九七七年 九 月 三十 日 発 行・一九九二年十二月三十一日 十三刷・302頁
886〈HM⑬-16〉『空白の時』一九七九年一月 十五 日 発行・一九九四年二月二十八日 八刷・296頁
1109〈HM⑬-29〉『夜と昼』一九八〇年五月 十五 日 発行・一九九三年三月三十一日 七刷・定価505円・278頁 これは初刊時のカバーらしい。祖母が持っていたのは前後の巻と同じ装幀である。
1110〈HM⑬-30〉『サディーが死んだとき』一九八〇年五月十五日 発行・一九九三年六月三十日 六刷・定価505円・283頁
 これも初刊時のカバーらしい。祖母が持っていたのは前後の巻と同じ装幀である。
2130〈HM⑬-31〉『死んだ耳の男』一九八六年十一月 十五 日 発行・一九九三年十二月三十一日 三刷・定価505円・298頁
2255〈HM⑬-32〉『糧』一九八七年七月 十五 日 発行・一九九三年八月三十一日 三刷・定価544円・307頁2439〈HM⑬-33〉『血の絆』一九八八年六月 十五 日 発行・一九九三年七月三十一日 三刷・定価485円・260頁2650〈HM⑬-36〉カリプソ一九八九年七月 十五 日 発行・一九九三年二月二十八日 三刷・定価563円・351頁2876〈HM⑬-38〉『幽霊』一九九〇年九月十五日 発行・一九九三年四月三十日 二刷・定価544円・313頁3219〈HM⑬-43〉『稲妻』一九九二年八月 二十 日 印刷・一九九二年八月三十一日 発行・定価621円・453頁※ 帯あり、裏表紙側「HAYAKAWA MYSTERY FAIR '92 ハヤカワ文庫」●九月上旬より/全国書店にて開催
3372〈HM⑬-45〉『八頭の黒馬』一九九三年七月 二十 日 印刷・一九九三年七月三十一日 発行・定価602円・383頁※ 帯あり、裏表紙側「スピルバーグ超大型映画化」7月17日全国東宝系ロードショー『ジュラシック・パーク(上・下)
3504〈HM⑬-47〉『毒薬』一九九四年五月 二十 日 印刷・一九九四年五月三十一日 発行・定価621円・409頁 これも何箇所かに分散されていたのでまだあるかも知れない。(以下続稿)

*1:2023年7月17日追加。

*2:2023年7月17日追加。

*3:2023年7月17日追加。