瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(155)

志村有弘 編訳『山峡奇談』(2)
 本書が典拠を「杉村顕道『信濃怪奇伝説集』」とするのは、昨日引用した「あとがき」に「二作品」とあったように、「◆近代」の5話め、197頁5行め~199頁3行め「人骨をかじる狐の話」と、9話め、214頁8行め~221頁(14行め)「蓮華温泉の怪話」との2話である。
 今、手許に荒蝦夷版『彩雨亭鬼談』がないので、国立国会図書館デジタルコレクション『信州百物語』にて比較して見よう。現代仮名遣いに改めた他にも漢字を平仮名に開き、段落を改めたり続けたり、句読点を追加・改変・省略するなど多々異同があるが、全ては拾わなかった。なお、2019年9月3日付(108)の「杉村顯『信州百物語/信濃怪奇傳説集』の諸本(1)」と題して仮に示して置いたように、『信濃怪奇伝説集』は再版以降の標題で、昭和9年(1934)の初版は『信州百物語』と呼称すべきである。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

【28】七一頁4行め「人骨をかぢる狐の話」=197頁6行め「人骨をかじる狐の話
・七一頁5行め、冒頭の一文に続く「こゝに次のやうな怪譚がある。*1」を省き、6行め「 此の村には昔からよくバカビが‥‥」を、197頁7行めは段落分けせずに続け「バカビ」に傍点「ヽ」を打つ。
・七一頁9行め「段々」→197頁9行め「段々と」
・七一頁11行め「冬の」→197頁11行め省略。
・七二頁3行め「横ぎつてゐると、前方にとろ/\」→197頁14行め「横ぎっていた。そのとき、前方にとろとろと」
・七二頁5行め「何故と云つて、」→198頁1行め省略。
・七二頁6行め「通らねばならなかつたのだ。」→198頁2行め「通らなければならなかった。」
・七二頁7行め「吐きつぽく」→198頁3行め「吐きたく」
・七二頁8行め「今‥‥けれども、」→198頁4行め「今に‥‥けれど、」
・七二頁11行め「 で」→198頁7行め「 それで」
・七二頁12行め「後に」→198頁8行め「後ろに」
・七三頁4~5行め「常套な云/ひ草だが、*2」→198頁13行め省略。
・七三頁5行め「慓然*3」→198頁14行め「慄然*4
・七三頁6行め「が、次の瞬間には」改段落だが字下げなし→198頁15行め「 だが、つぎの瞬間、」
・七三頁8行め「ではないか」→198頁17行め省略。
・七三頁10行め「後」→199頁2行め「後に」

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

【19】四五頁1行め「蓮華温泉の怪話」=214頁9行め「蓮華温泉の怪話
・四五頁2行め「云ふも」→214頁10行め「いう」
・四五頁4行め「誠に少い。」→214頁12行め「少ない。」
・四五頁10行め「確かに*5」→215頁5行め省略。
・四六頁4行め「何かなしそわ/\‥‥見えぬ」→215頁8~9行め「どこかそわそわして‥‥見/えない」
・四六頁10行め「幸に*6」→215頁16行め「幸い、」
・四六頁13行め「糸魚川*7」→216頁2行め「糸魚川
・四七頁1行め「今山鳥を燒いてたんですが」→216頁3行め「今、山鳥を焼いていたんですが」
・四七頁6行め「失つて」→216頁8行め「失い、」
・四七頁7行め「だったが、」→216頁9行め「であったが、」
・四七頁8行め「坊や。」→216頁10行め「坊」
・四八頁13行め「静寂を破つて、反響して、*8」→217頁11行め「静寂を破つて反響し、*9
・四九頁1行め「で」→217頁12行め「それで」
・四九頁2行め「洋服は*10」→217頁13行め「洋服の男は」
・四九頁4行め「で、果して」→217頁15行め省略。
・四九頁6行め「向けて」→217頁17行め「向かって」
・四九頁8行め「が‥‥吠え出てるし、」→218頁2行め「だが、‥‥吠えているし、」
・五一頁1行め「ある。」→219頁4行め「いる。」
・五一頁6行め「突つ立つてゐた。」→219頁9行め「立っていた。」
・五二頁10行め「あゝ殺人犯人だ。越中*11」→220頁9行め「ああ、殺人犯だ。越中(富山)で」
・五三頁3行め「さして」→220頁15行め「そして」
・五三頁6行め「座つてる時にね―」→221頁1行め「座ってているときにね。――」
・五三頁9行め「えつ」→221頁4行め「えっ。――」
・五三頁12行め「坊やの顔みて*12」→221頁7行め「ぼくの顔を見て、」
・五三頁13行め「小僧*13」→221頁8行め「おい、」

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 若干、書き換えなくても良いのでは、と思われるところ(稀に改悪)もあるが、ほぼ原文のままで、ここには拾わなかった句読点の調整など、大体に於いて読み易く、整えられている。(以下続稿)

*1:ルビ「くわいだん」。

*2:ルビ「じやうたう」。

*3:ルビ「べうぜん」。

*4:ルビ「りつぜん」。

*5:ルビ「たし」。

*6:ルビ「さいはひ」。

*7:ルビ「いとい がはぐち」。

*8:ルビ「こ だま」。

*9:ルビ「しじま・こだま」。

*10:ルビ「やうふく」。

*11:ルビ「えつちゆう」。

*12:ルビ「ぼう」。

*13:ルビ「こ ざう」。