瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

能美金之助『江戸ッ子百話』(10)

 さて、5月23日付「杉村恒『明治を伝えた手』(5)」に見たように、杉村恒『明治を伝えた手』の解説「職人の世界」に、江戸ッ子東魂会に触れたところがある。
 170頁12行め~172頁10行め、

 江戸っ子東魂会
 能美金之助氏は荒川区東尾久に住んでいる。十五年前から「江戸っ子東魂会」を主催している。「江戸っ子東魂会/の現在」というパンフレットには、こう記してある。
「江戸っ子東魂会は、十五年前の創立当時はいろいろ趣味本位に活動をし、殊に昭和二十八年より三十年までの春秋/に施行した、昔姿旅姿東海道五十三次徒歩旅行(一行三十名)三年間の大旅行には世人を驚かすような旅行を実行し、/【170】三条大橋まで行きました。その他色々の趣味に活躍致しましたが、現在は目覚しいことも面白いこともやっていませ/ん(会長の野生八十翁、古い会員幹部も努力の結果大分くたびれました)。
 ただ江戸っ子東魂会の誇りとしておりますのは、会員は今日の社会で立派な地位にある人々の団結であることです。/学者在り、大事業家・識者・俳人・画伯・法律家・数代続く江戸っ子通人・雅人など百人あまり、俺は江戸っ子だと/伝統精神を臍にしっかり納めている皆スッキリした方々の集団です。時には何かいたしますが、現在はたいしたこと/はいたしておりません。つまり別に面白いという会ではありません」
 能美さんは江戸の庶民の風俗歴史などをいろいろ書/いて残しているという。集大成が楽しみである。
 東海道五十三次旅姿は、先日の東京都主催明治百年/祭で、上野公園のパレードに参加している。


 2月25日付(01)に見たように『明治を伝えた手』刊行から3年経って「能美さん」が「いろいろ書いて残している」もの100話の「集大成」が出版された訳である。

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 もう少し材料を集めてから投稿しようと思っていたのだが、揃わない。このまま忘れてしまいかねないので、取り敢えず上げて置くことにした。
 この江戸ッ子東魂会及び能美氏については、他にも本書刊行頃の文献に幾つか取り上げられているらしいのだが、まだ現物を確認していない。新聞記事の検索で、昔姿旅姿東海道五十三次徒歩旅行の記事を見付けているが、私が知りたいのは本書刊行後に江戸ッ子東魂会がどうなったのか、結局「江戸ッ子百話」は何話まで書き継がれたかなのである。しかしネットの調べでは限界があるようだ。鶴見俊輔が追悼文でも書いていないかと思ったのだけれども。(以下続稿)