瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(226)

・北川幸比古の学年(5)
 谷川俊太郎との関係は「谷川俊太郎 作、北川幸比古 編、中山智介 画」の次の本を見れば分かるでしょうか。
・美しい日本の詩歌⑥『谷川俊太郎詩集 いしっころ』1995年11月10日・定価1,500円・岩崎書店・102頁・B5変

 未見、データは版元HPに拠りました。しかし「ジャンル 対象年齢 > 小学校中学年」とありますから、何らかの記述があったとしても、そこまで詳しい説明ではなさそうです。
 この辺りの資料漁りは、いつか、非日常が日常になりつつある日常が非日常から日常に戻った日に、果たすこととしましょう。
 一旦、この件について切り上げる前に、もう1つ、北川氏本人の記述したところを見て置きましょう。
 2011年1月22日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(07)」に紹介した松谷みよ子『現代民話考 Ⅴ あの世へ行った話・死の話・生まれかわり』の、157~422頁「第二章 死の話」337頁5行め~359頁1行め「八、死んだあと姿を見せる」は、337頁6行め~359頁1行め「死んだあと姿を見せる」の1項のみ。 文庫版の書影は2016年10月21日付「七人坊主(52)現代民話考」に貼付しました。文庫版は今手許にないので、頁等は後日(これもいつになるか)追記することとします。
 単行本には33話収録されているが、その14番め、345頁15行め~346頁11行め(2行めからは1字下げだが詰めた)、

○東京都中野区。昭和二十五年の夏のこと。豊多摩高校で同学生であった僕と安西君とは、同じ/東中野に住んでいたが、僕は住吉町、彼は踏み切りの向う、クラスも違い、僕は文科系彼は理/科系志望であまり親しい友達ではなかった。しかし、たまには電車の中で一緒だったり、学校/【345】で顔を合せたりした。いつも身体の具合が悪そうに、青白いさえない顔色だった。多分結核だ/ったのでは。七月のある夕方、新宿駅総武線のホームで彼に逢った。相かわらずさえない顔/色だったけど特別、常と変ってはいなかった。当時の学生は夏でも黒っぽい服を着ていたが、/彼はそんな学生服らしい物も着ていなかったので、多分、大学受験に失敗したのだろうと思/い、大学のことにはふれず、あまり内容のある話ではなかったが言葉を交わした。夕方の電車/なのでけっこう混んでいる電車に乗り、大久保、東中野で一緒に電車を降りた。ホームの階段/を上って僕は左、彼は右へと別れ、僕は駅の階段を降りながらハッと気付いた。そうだたしか、/彼は死んだとうわさになっていた! すぐに公衆電話にむかい鍛治君(現在映画監督をしている)/に電話をした。「なにいってんだ、あいつは本当に死んでしまったんだよ」。僕はブルブルふる/え背中には冷汗が流れていた。
  回答者・北川幸比古(東京都在住)


 中野区「住吉町」は「東中野駅」の北側、現在の東中野4丁目辺りです。「ホームの階段を上って僕は左、彼は右」と云うのですから、北川氏が利用していたのは西口ではなく東口です。「踏み切りの向う」の踏切は2013年3月3日付「小池壮彦『怪談 FINAL EDITION』(4)」に述べた、駅の東側にあった「桐ヶ谷の踏切」で、現在の中野区東中野1丁目、当時は東側の神田川に近い辺りが川添町、西側の台地上が氷川町でした。
 当時の北川氏の住所については、詩集を中心に取り扱っている古書店「書肆田高」の北川幸比古『詩集 草色の歌』(1951年9月10日印刷・1951年10月1日發行・北川幸比古・¥.200)の「商品詳細を見る」と、奥付に「東京都中野區住吉町17」とあります。同じ町内に、やや遅れて住吉書店という版元が活動していたことには、2011年3月28日付「平山蘆江『東京おぼえ帳』(3)」及び2011年3月31日付「平山蘆江『東京おぼえ帳』(4)」に述べたことがありました。
 それはともかく、昭和25年(1950)7月に学生らしくない服装をしている友人を「大学受験に失敗したのだろう」との記述から、北川氏も谷川俊太郎と同じ昭和25年豊多摩高校卒業であることはほぼ確実と思います(記憶違いの可能性が皆無とは云えないが、小学校在学時期よりは確実なはず)。そして「鍛君(現在映画監督をしている)」は鍛昇(1931.8.16生)でしょう。「協同組合日本映画監督協会」HP会員名鑑「鍛冶昇」項に拠ると、出身は「三重県」で「54慶応義塾大学仏文科卒。日活撮影所に入り、主に滝沢英輔市川崑斎藤武市の助監督をつとめる。‥‥」とあります。昭和25年に慶應義塾大学に入学して4年在学して昭和29年(1954)卒業で勘定が合います。
 「日活作品データベース」で検索すると昭和33年(1958)から昭和44年(1969)まで39作品がヒットしますが、脚本や助監督として参加している作品が多く、監督作品のうちDVD化されているのは次の1作のみです。

青春の鐘 [DVD]

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  • 発売日: 2007/05/03
  • メディア: DVD
青春の鐘[レンタル落ち] [DVD]

青春の鐘[レンタル落ち] [DVD]

  • 発売日: 2008/04/18
  • メディア: DVD
 以後はTVドラマの監督を務めていたようです。
独身のスキャット DVD-BOX

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  • 発売日: 2013/03/21
  • メディア: DVD
 特撮ヒーロー物にも参加しています。
帰ってきたウルトラマン(7) [VHS]

帰ってきたウルトラマン(7) [VHS]

  • 発売日: 1990/07/01
  • メディア: VHS
帰ってきたウルトラマン 5 [VHS]

帰ってきたウルトラマン 5 [VHS]

  • 発売日: 1995/08/25
  • メディア: VHS
帰ってきたウルトラマン 全13巻セット [DVD]

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  • 発売日: 2004/01/23
  • メディア: DVD
帰ってきたウルトラマン Blu-ray BOX

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  • 発売日: 2015/11/26
  • メディア: Blu-ray
 そして鍛冶氏も、谷川氏と同じ昭和6年度生なのです。(以下続稿)