瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小説の設定

山本禾太郎「東太郎の日記」(22)本文⑫完

日記の11日め。【 34 】頁上段18行めから下段7行めまで。 下段の余白、下部に四角いお盆の上に桃を3つ盛った六角形の陶器の鉢に陶器の水差しが載っているカットがあります。 今回新たに新字で代用した漢字は「娯」です。 ×月×日 おふくさんと伏見の停留所で…

山本禾太郎「東太郎の日記」(21)本文⑪

日記の10日め。【 29 】頁上段10行めから【 34 】頁上段17行めまで。 【 29 】頁下段は3行めまでで、残りは挿絵で、10月27日付(19)本文⑨、日記の8日めの前半、真っ暗な中で2人が並んで正座して、おふくさんが東太郎の右肩に左手を掛け、東太郎の左手がおふ…

山本禾太郎「東太郎の日記」(20)本文⑩

日記の9日め。【 28 】頁下段5行めから【 29 】頁上段9行めまで。 今回新たに新字で代用した漢字は「並・述・寛・雪」です。 ×月×日 今日は四五日前から決まつてゐた圓八君夫婦の退座の日だ。これは主/として圓八君の希望によるもので、圓八君はおふくさん…

山本禾太郎「東太郎の日記」(19)本文⑨

日記の8日め。【 27 】頁下段11行めから【 28 】頁下段4行めまで。 28頁上段12行めまでの字数が少ないのは、この頁の右上に階段を描いた挿絵があるからで、床に届こうという暖簾により階段の先は隠れています。暖簾は「江ん」つまり「××さん江」の下部が描か…

山本禾太郎「東太郎の日記」(18)本文⑧

日記の7日め。【 27 】頁上段11行めから下段10行めまで。 今回新たに新字で代用した漢字は「望」です。 ×月×日 今日二時間ばかり自分の部屋にゐたおふくさんは、いろ/\と身の上/話をした。*1 若州の小濱近在の生れださうな、父母もなければ兄弟もない。浪…

山本禾太郎「東太郎の日記」(17)本文⑦

日記の6日め。【 25 】頁下段18行めから【 27 】頁上段10行めまで。 【 26 】頁の上下段とも6行と行数が少ないのは、左側に、おふくさんが旅館の薄暗い廊下を自室へ戻って行く場面が描かれているからです*1。右上に [哲] 印(1.0×0.6cm)があります。これは2…

山本禾太郎「東太郎の日記」(16)本文⑥

日記の5日め。【 25 】頁上段4行めから【 25 】頁下段17行めまで。 今回新たに新字で代用した漢字は「脱・煙・喫・嘘」です。 ×月×日 今日から〃曾我兄弟〃の改作だ。大圓氏自筆のネタ本を見ると、頼朝/のことを〃ヨリ友〃なぞ隨所にヘンなことが書いてある…

山本禾太郎「東太郎の日記」(15)本文⑤

日記の4日め。【 21 】頁上段10行めから【 25 】頁上段3行めまで。 【 22 】頁と【 23 】頁は見開きの挿絵で、10月21日付(14)本文④に示した日記の3日め、楽屋で京山大圓が圓八・おふく夫婦と対面する場面でしょう。【 22 】頁、姿見の前に立って弟子たちに…

山本禾太郎「東太郎の日記」(14)本文④

日記の3日め。【 19 】頁上段2行めから【 21 】頁上段9行めまで。 要領はこれまでに示した通りで、新字で代用した漢字は「習・記・墨・浮・掻・産・寝・騒・絶」です。 ×月×日 大圓氏はいつも旅邢へ床屋へ招いて調髪する習慣だのに、けふは珍ら/しく床屋へ…

山本禾太郎「東太郎の日記」(13)本文③

日記の2日め、【 15 】頁上段14行めから【 19 】頁上段1行めまで。【 16 】頁と【 17 】頁の下段は挿絵で、並べた座布団の上に腹這いになって巻紙に何か書き始めようとしている男性。 入力の要領は前回示した通りです。新字で代用した漢字は、前回に示したも…

山本禾太郎「東太郎の日記」(12)本文②

それでは日記の1日めの本文を紹介します。【 13 】頁上段4行めから【 15 】頁上段13行めまで。 用字はなるべくそのままにしようと思ったのですが、表示不可能な文字及び外字の一部は検索の便宜を考えて新字にしました。順に「羽・黒・急・縁・者・節・説・要…

山本禾太郎「東太郎の日記」(11)本文①

10月16日付(09)の続き。 まず、10月15日付(08)に見た、昭和9年(1934)1月1日発行の「週刊朝日」新年特別号(第25巻第1号)について、若干の補足をして置きましょう。 【 223 】頁は太い破線で囲われた「編輯後記」は、5段組で収録作品や企画について編…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(09)

昨日の続きで、細川涼一「小笛事件と山本禾太郎」に示される「抱茗荷の説」梗概が「‥‥田所君子という娘が、八歳まで育ててくれた祖母の死後、流れ流れてふたご池のほとりにある豪家(実は母の実家)に女中として雇われるという因縁譚」としていることについ…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(08)

9月27日付(02)に、単行本『抱茗荷の説』を「実見しての記事」は「ネット上に‥‥見当たらないのです」と書いたのですが、 ゆーた @latteteddy 2014年5月22日 『論創ミステリ叢書15 山本禾太郎探偵小説選Ⅱ』の解題で「黒子」を〝単行本に収録されるのは今回が…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(07)

それでは9月30日付(05)の続きで、細川涼一「小笛事件と山本禾太郎」に示されている「抱茗荷の説」梗概の疑問点について、確認して置きましょう。例によって「抱茗荷の説」の引用は、論争ミステリ叢書15『山本禾太郎探偵小説選Ⅱ』に拠ります。 主人公の両親…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(06)

主人公田所君子の母は双生児の姉娘です。昨日示した記述からも明らかでしょう。 何故、こんなにも明瞭に記述されているのに、山下氏・細川氏は取り違えてしまったのでしょうか。 これは、9月28日付(03)の最後に触れたように「ラストシーン、最後の一文」で…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(5)

もう少し、ネタばらしにならない形で本作の設定を確認して置きましょう。 それというのも、8月31日付「山本禾太郎『小笛事件』(1)」に書影を示した『京都の女性史』に収録されている(147〜182頁)細川涼一「小笛事件と山本禾太郎」の最後の節、173頁11行…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(4)

昨日の記事の末尾、梗概の改定案に山下氏の「復讐のため」と云う表現をそのまま使い回していましたが、読み直すうちに「復讐」が目的であれば、幼い娘を同行させる必要はなかったろう、と思えて来ました。以下「抱茗荷の説」の引用は論創ミステリ叢書15『山…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(3)

昨日の記事に対し思いがけず、芳林文庫より矢作京一(1912〜1983)『蔦の家殺人事件』を購求した方からコメントがありました。私は、矢作氏については「小林文庫の新ゲストブック」で初めて知ったくらいで、全くどうしようもないのですが、山下氏の蔵書散逸…

森鴎外『雁』の年齢など(2)

2011年1月1日付(1)に言及した高峰秀子主演の映画がDVDになっていた。その少し前には若尾文子主演の映画もDVDになっている。 ・高峰秀子主演 昭和28年(1953)9月15日公開 監督 豊田四郎(1906.1.3〜1977.11.13)雁 (1953) [DVD]出版社/メーカー: KADOKAWA…

川端康成『古都』(12)

一昨日からの続き。 ・時期(4)昭和35年4月 それはともかく、どうしてこんなことになったのだろうと思って、一番詳しい川端氏の伝記である小谷野敦『川端康成伝 ――双面の人』(2013年5月25日初版発行・定価3000円・中央公論新社・650頁)を見た。川端康成…

川端康成『古都』(11)

・時期(3) 前回、昭和36年(1961)4月の京都府立植物園の再開、さらに同年7月の京都市電北野線(堀川線)廃止を取り入れて、昭和35年(1960)の曲水宴を「去年」のこととしているのだから、作中の時間は昭和36年(1961)に違いないのだが、最初の章「春の…

川端康成『古都』(10)

・時期(2)出来事 前回、年中行事の開催状況についての記述が多いことを指摘して、実際はどうだったか殆ど調べていないのだけれども、曲水宴と吉井勇の一事からしても、作中の時間はWikipedia「古都」項に指摘されている通り、昭和36年(1961)らしいので…

川端康成『古都』(09)

・時期(1)年中行事 Wikipediaの「古都」項の「概要」を見るに、 ‥‥。小説に描かれたのは、1961年(昭和36年)の春から冬にかけての京都であり、実際の年中行事や出来事が盛り込まれている。 とある。確かに、「秋深い姉妹」の冒頭に、194頁2行め「祭のじ…

加賀乙彦『永遠の都』(2)

・新潮文庫 各巻のカバー表紙折返しには「主要登場人物」が示される。右下に「カバー装幀 司 修」とあるのは共通。 「主要登場人物」は1行めに時代と一部の巻では年齢についての注記が1行で示され、次いで横線で区切って上下2段組にしたところに主要な人物が…

中島京子『小さいおうち』(37)

そう思って本書を細かく見て行くと、やはりおかしなところが散見される。 まず、やっぱり時代設定が確認しづらいらしい。その最大の原因は第一章2の「すでに米寿を越え」である。 作家本人が混乱しているケースについて、当ブログでも過去に、2013年4月7日…

中島京子『小さいおうち』(36)

・直木賞の選評(1) こんなに長く本書について書き連ねるつもりはなかったのだけれども、私には、直木賞選評に、例えば浅田次郎(1951.12.13生)が、 中島京子氏の作品はそれぞれが個性的で、通読して飽きることがない。好奇心が旺盛でかつ書くことが好き…

中島京子『小さいおうち』(35)

・Wikipediaの説明について(3) 一昨日からの続きで「登場人物」の節の、残り3人について。平井の説明と重なるところがあるためか、玩具会社の社長は取り上げられていない。 健史(たけし) タキの大甥(妹の孫、甥の次男)。力仕事などタキにはできない生…

中島京子『小さいおうち』(34)

・Wikipediaの説明について(3)――主人公とヒロインの年齢(2)―― 昨日の続きで「登場人物」の節を確認して見る。 書き換えた方が良さそうだということなら、全文添削してしまいたい誘惑に駆られるのだが、そうなるとお前がWikipediaの項目を書き直せと言…

中島京子『小さいおうち』(33)

・Wikipediaの説明について(2) 一昨日の続きで「登場人物」の節を確認して見る。 布宮 タキ(ぬのみや タキ) 元女中。女中として培った家事の知恵などをまとめた書籍を出版し、好評を得る。編集者に2作目の執筆を勧められ、自身の回想録を出版できないか…