瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2024-01-01から1年間の記事一覧

津留宏『一少女の成長』(6)

私が本書を手にしたのは、本書が研究資料として活用している「一少女」の日記に、2021年3月23日付「赤いマント(315)」に見たように赤マント流言の記述があるからであった。 しかし、当時はこの「一少女」が何者であるか突き止められなかった。 津留氏は『…

赤いマント(373)

・黒井千次『禁域』(2) 昨日の続きで、「花鋏を持つ子供」の設定を確認して置こう。 7~15頁「一」の冒頭部(7頁2行め~8頁11行め)が場所の説明になっている。長くなるので7頁5行め~8頁4行めを抜いて置こう。 省線の駅から大通りを来て左へ折れるその道…

赤いマント(372)

当ブログではこれまで黒井千次(1932.5.28生)の著書を2点取り上げている。初回の記事はそれぞれ、2022年9月1日付「黒井千次『たまらん坂』(1)」と2023年1月1日付「黒井千次『漂う』(1)」である。 黒井氏の小説は、海外に赴任することになった知人から…

赤いマント(371)

昨日の続き。 ・加藤廣『昭和からの伝言』(2) 加藤氏は現在の東京都新宿区高田馬場で生れている。このとき父親はまだ生きていたが、療養生活に入っていて同居はしていなかったのであろう。 加藤氏の家は、16頁14行め「ボクの家のような新興住宅」或いは17…

赤いマント(370)

もう1つ、昭和5年(1930)生れの人の回想を挙げて置こう。 実はこちらの方が、松尾羊一『テレビ遊歩道』よりも先に、3年半前には気付いていたのだけれども、内容をどの程度紹介するか、迷っているうち、図書館で見掛ける度に借りて来てはいたのだが、記事に…

赤いマント(369)

・松尾羊一『テレビ遊步道』(2) 昨日の続き。 松尾氏は翌週(Ⅱ)132頁12行め~134頁3行めに、再度赤マント流言に触れている。 赤マントと酒鬼薔薇 七月十一日 「おい、赤マントってなんのことだ」と何人かの友人から問い合わせがあった。い/つだったかこの…

赤いマント(368)

昭和10年代の文献などは検索を掛けては拾って行っていたのだが、一昨年末に国立国会図書館デジタルコレクションが全文検索出来るようになって、かなりの数の未見の資料が引っ掛かるようになった。それ以前に引っ掛けていて未見、もしくは一応見たけれども詳…

赤いマント(367)

今年も東京の赤マント流言の時期(!)になって来た。森満喜子の著書及び経歴の調査もまだ継続するつもりだけれども、ここで季節の話題(?)に触れて置かねばなるまい。 さて、まだ私の手許には100件を超える未紹介の資料がある。尤も、85年前の騒ぎを、そ…

森満喜子「濤江介正近」拾遺(09)

森氏は最晩年に旧著を2冊、新装版として再刊しているが、どちらにも森氏が新たに加えた要素はない。 うち1冊は旧版をそのまま用いている。もう1冊は全面的に組み直している。 ⑨『沖田総司・おもかげ抄 <新装版>』 本書は④『定本 沖田総司――おもかげ抄』ほ…

森満喜子「濤江介正近」拾遺(08)

続けて単著の⑨⑩に及ぼうと思っていたのだが、昨日も述べたように、ともに<新装版>で、何ら新しい情報もないので、ここでは森氏の経歴を最も詳細に記している、次の共著を見て置くことにする。 ⑸ 新人物往来社編『沖田総司読本』第一刷(1990.10.15) 番号…

森満喜子「濤江介正近」拾遺(07)

昨日の続き。 ⑧『新選組青春譜――勇と歳三と総司と』 森氏は昭和47年(1972)刊①『沖田総司哀歌』以来、昭和51年(1976)を除いて毎年1冊ずつ合計7冊、著書を新人物往来社から出し続けていたが、昭和54年(1979)刊⑦『遙かなる沖田総司』からしばらく途切れて…

森満喜子「濤江介正近」拾遺(06)

返却期限が来て図書館に返したり、別の本を借りたりでなかなか思うに任せないが、毎日投稿しないことにしたので単著の最後まで、脇道にそれずに済ませてしまおう。 ⑤『沖田総司落花抄』 本書は特別区及び都下の公立図書館に殆ど所蔵がなく、私は第一刷(1977…

森満喜子「濤江介正近」拾遺(05)

一昨日からの続き。 ③『沖田総司幻歌』 これは今、私の手許に3冊ある。第一刷(1974.11.15)が2冊、第二刷(1976.10.15)が1冊、前者のうち1冊については2023年12月9日付「森満喜子「濤江介正近」(01)」にて、受入印や愛に溢れた書入れを紹介して置いた。…

森満喜子「濤江介正近」拾遺(04)

昨日の続き。 ②『沖田総司抄』 私が見たのはカバー裏表紙に「60年3月25日」とある「受入」票が貼付されている第七刷のみである。 そこで2023年12月24日付「森満喜子「濤江介正近」(16)」に上げた第三刷と第五刷のオークションサイトの画像も参照して…

森満喜子「濤江介正近」拾遺(03)

前回、1月17日付(02)に森氏の著作リストを作成して見た。 単著に①②③……、共著に⑴⑵⑶……と番号を打って整理した。 単著はこれで全てだと思う。 共著(寄稿)は投稿後『沖田総司読本』を追加した。今後も見付かるかも知れない。その場合はその都度(必要があれ…

森満喜子「濤江介正近」拾遺(02)

1月14日付(01)に続けて森満喜子の著書と経歴について確認して行くつもりだったのだが、どうせやるなら一通り揃えてからにしようと思って、近隣市の図書館の書庫に眠っている著書を借り集めている。既に殆どを取り上げているが、ここに纏めて示して置くこと…

名和弓雄『拷問刑罰史』(01)

そもそも昨年のうちに取り上げるつもりだったのだが、年末年始には住所録の更新を兼ねた年賀状以外に何もしないし、神社にも寺にも行く気がしないので初詣なんてもう何年も行っていなくて、私にとっては別に特別な時期ではなくて、まぁ寒い時分に仕事を休ん…

森満喜子「濤江介正近」拾遺(01)

早速、今日・明日から課金記事の投稿を始めようと思っていたのだが、仕様が違うので中々慣れない。昨日無料部分を書き終えて、今日有料部分を書き掛けたのだが、システムエラーとかで保存出来なかった。 で、気分屋の私は忽ち、どうせ売れやしないのに課金記…

課金記事について(1)

昨日は、一昨日の記事の補足とすべく、祖母の夫と陸軍士官学校で同期だった人の追想録を取り上げるつもりだったのだが、先日の Windows 更新プログラムにエラく時間が掛かったので、もう Windows 10 ではアカンのかと思って、矢鱈と奨めて来る Windows 11 を…

祖母の遺品(19)軍事郵便⑧

・(吉田)文江宛便箋【17】 姉の久枝の夫・小川武夫は陸軍士官学校本科42期、昭和5年(1930)7月19日卒業、10月25日任官、さらに陸軍大学校50期、昭和10年(1935)12月13日入校、昭和13年(1938)5月28日卒業、当時の階級は工兵大尉で、昭和20年(1945)3月…

赤いマント(366)

昭和14年(1939)の赤マント流言は東京近辺にとどまらず、大阪から九州、さらに朝鮮にまで到達していたのだが、海外でも報道されていたことが分かった。 スタンフォード大学附属フーヴァー研究所(Hoover Institution)の「邦字新聞デジタル・コレクション J…

祖母の遺品(18)軍事郵便⑦

これは軍事郵便ではなく、かつ祖母の夫の歿後のものになるが、同じ朝日出版社の封筒に纏めてあったので、通し番号を打って記事の題も仮に「軍事郵便」のままとして置く。 ・𠮷田清の通夜の案内【16】 B4判1枚謄写刷。私の家のスキャナではA4判までしか読み取…

祖母の遺品(17)軍事郵便⑥

昨日取り上げた【13】と同じ、アキコ・マコト姉弟宛の便箋を、更に2通分取り上げて置く。 ・(吉田)アキコ/マコト宛便箋【14】 B5判よりも若干小振りで、昨日見た【13】よりも薄くて紙質の良い、13行罫紙を使っている。昭和17年(1942)のものだろうか。 …

祖母の遺品(16)軍事郵便⑤

朝日出版社の封筒に纏めてあった、伯母宛の祖父からの軍事郵便について、昨日までで葉書(12通)を済ませたので、今度は残りのものを見て行くこととしよう。 これら便箋は母親である祖母宛の書簡に同封してあったのだろう、封筒はない。よって日付がなければ…

祖母の遺品(15)軍事郵便④

・ヨシダアキコ宛(昭和17年)七月二十五日付絵葉書【8】 宛名は「東京市目黒区/駒場町八〇一/𠮷田 清方/ヨシダアキコサマ」で差出人は「中支派遣/藤㐧六八六一部隊/𠮷田 清」で「七月二十五日」と添える。部隊名に重ねて赤文方印「濟閲檢|藤第六八六…

祖母の遺品(14)軍事郵便③

・吉田映子宛(昭和18年秋)絵葉書【6】 宛名は「東京都目黒区/駒場町八〇一/𠮷田清方/吉田 映子 様」で差出人は「中支派遣/呂第五五〇〇部隊/𠮷田 清」。「濟閲檢」欄には朱文円印「塚本」。宛名の下半分、橙色の横線に「廠 本 品 需 軍 陸」とあって…

祖母の遺品(13)軍事郵便②

昨日の続き。 ・ヨシダアキコ宛(昭和18年)一月廿二日付絵葉書【3】 宛名は「東京市目黒区/駒場町八〇一/吉田清方/ヨシダアキコ様」で差出人は「中支派遣/藤㐧六八六一部隊/𠮷田 清」で「一月廿二日」と添える。差出人に重ねて赤文方印「濟閲檢|藤第…

祖母の遺品(12)軍事郵便①

昨年の9月1日からしばらく、仏間の簞笥の上にあった紙箱に入っていた、関東大震災当時、東京に下宿していた3人の兄と親戚等から、朝鮮羅南にいた祖母の両親と3人姉妹に宛てた葉書や封書を紹介した。しかし、祖母に聞く訳に行かぬし、家人の父も、祖母の兄た…

祖母の蔵書(172)吉田映子①

𠮷田映子(1937.11.27~1997.1.2)は祖母の長女で、家人の伯母である。平成11年3月21日付「火葬証明書」に拠ると「本籍」は「鳥取県鳥取市材木町XXX番地」でこれは父親、つまり祖母の夫の実家である。「死亡年月日」の「平成9年1月2日午前6時21分」から「平…