瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

塩嘗地蔵(04)

・大人の街歩き⑥『鎌倉 湘南』 大人の街歩き編集部 編集・2006年4月20日発行・定価1000円・成美堂出版・175頁。A5判。横書き。大人の街歩き〈6〉鎌倉・湘南 (大人の街歩き (6))作者: 大人の街歩き編集部出版社/メーカー: 成美堂出版発売日: 2006/03/01メディ…

塩嘗地蔵(03)

昨日紹介したガイドブック、いきなり、記述がないのから始めてしまったが、同じもののはずなのにAmazon詳細ページの書名がまちまちである。 ・2002年 鎌倉―気ままに電車とバスの旅 (てくてく歩き) ・2004年 鎌倉―気ままに電車とバスの旅 (ブルーガイド―てく…

塩嘗地蔵(02)

6月13日付(01)の続き。 早速永井路子の著述を紹介しようかと思ったのだが、俄に見られない(持っているのだがすぐに出て来ない)ので、後回しにして、図書館に立寄るごとに地誌やガイドブックの棚に寄って眺めてみた。私が調査したのは平成5年度(1993年度…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(16)

【B】の続き。最後まで。 『それだからね。』と、重兵衞さんは仔細らしく息をのみ込んだ。『おれも急にぞつとし/たよ。いや、俺にはまつたく何にも見えなかつた。彌七にもなんにも*1見えなかつたさ/うだ。が、小兒は顫へて怖がる。犬は気狂ひのやうになつ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(15)

昨日は無駄話をして本題に入れなかったが、改めて末尾を比較してみたい。 【B】『近代異妖篇』では一六七頁2行め(一)、一七七頁9行め(二)、一八九頁2行め(三)、の3節に分かれているのだが、【A】『子供役者の死』では切れ目は同じだが、九八頁1行め…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(14)

今度は末尾を比較してみたい。 『近代異妖篇』については、近代デジタルライブラリーで初版本が閲覧出来るし、紀田順一郎・東雅夫編『日本怪奇小説傑作集1(創元推理文庫)』(2005年7月15日初版・2005年11月11日4版・定価1,100円・東京創元社・489頁)が、…

蓋にくっついた話(8)

後半を並べて見よう。 【A】やまざれば、をやぢ、はらを立、うらをほりて、かのまりをうめんとせられしに、まり、箱よりづつといで、をやぢにむかひて、しるしにやなぎをうへてたべというた。*1 【B】さてよく日まりの箱みて、内義にもうされけるは、これ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(13)

【A】の冒頭。 その頃の輕井澤は寂れ切つてゐたよ。それは明治廿四年の秋で、あの邊も衰微/の絶頂であつたらしい。何しろ昔の仲仙道の宿場がすつかり*1寂れてしまつて、土/地には何にも産物は無いし、殆どもう立ち行かないことになつて、ほか土地へ立/退…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(12)

【B】の続き。踊り字のうちくの字点は「 く 」「 ぐ 」とした。 わたしは一向面白くなかつたが、親父は閑寂で好いとかいふので、その輕井澤の大/きい薄暗い宿屋*1に四日ばかり逗留してゐました。考へてみると隨分物好きです。する/と、その三日目*2は朝か…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(11)

まず、冒頭を比較してみる。【A】は『子供役者の死』所収本文、【B】は『近代異妖篇』所収本文。それぞれの書誌の詳細は後述する。 【A】は97頁(頁付なし)の中央に縦書きで「木曾の旅人」と題が入り、九八頁から本文。まず2行分取って6字下げで「上」と…

中井義幸『鴎外留学始末』(1)

鴎外留学始末作者: 中井義幸出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/07/26メディア: ハードカバー クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る鴎外留学始末 (岩波人文書セレクション)作者: 中井義幸出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/12/11メディ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(10)

1月に(01)から(09)まで上げていたが、その後随分時間が経ってしまった。国会図書館所蔵の雑誌に載る類話について報告するつもりで、原文も筆写し*1記事(10)の前書きも準備していたのだが、私の筆写にどうも脱文があるらしく、折角だからもう一度見て置…

蓋にくっついた話(7)

前半を並べてみる。 【A】まりずきなむすこ有。そのをやぢ殊外きらい、町人のまり遊、をごりのいたりと、だん%\ゐけんせられけれど、*1 【B】まりずきなむすこ有。をやぢ、はなはだきらい、町人のまりのけいこ、むやくのいたりと、だん/\異見して、*2 …

蓋にくっついた話(6)

江戸時代中期には町人層に蹴鞠が流行ったらしい。その辺りの背景も調べれば面白いのだろうが、たこ焼きとは離れる一方なので止して、堅物の親父と、色々な遊藝にハマり込む道楽息子との対立というお定まりのパターンに「鞠」が使われている話を拾って、と云…

蓋にくっついた話(5)

さて、同時にあれもたこ焼きだ、と閃いた話というのは、高校のときに新刊で買った武藤禎夫校注『安永期 小咄本集 ――近世笑話集(中)――(岩波文庫30-251-2)』(1987年12月16日第1刷発行・定価600円・岩波書店・402頁)で読んだ話だった。これもまさにたこ焼…

蓋にくっついた話(4)

私はこの話を読んで、「あ、ここにたこ焼きがあった」と三嘆これ久しうしたのであった(三島由紀夫風に*1)が、普通の人には別にたこ焼きなど見えないので、念頭にあるとないとで、文学作品の読みは大幅に変わってしまう。私はそういうのは嫌なので、まだ業…

蓋にくっついた話(3)

2月4日付(1)と2月5日付(2)から随分間が空いてしまった。いつでも書けると思うとやらないもので、そういうネタが(仕事も……)他にもいくつもある。この話の場合、ネタは2つあって、1つは本を1冊借りてくれば済むのだが、もう1つは少々ややこしい。そこ…

塩嘗地蔵(01)

かつて、鎌倉は十二所の塩嘗地蔵について調べたことがあった。大学の授業のレポートとして提出した。秘かに期するところがあったのだが空振りで、教授からは何の反応もなく、そのままお蔵入りと相成ったが、その後も図書館に寄ってガイドブックの棚や、地理…

柳田國男『遠野物語』(02)

先月、菊池照雄『山深き遠野の里の物語せよ』(1989年6月20日第1刷発行・定価1680円・梟社・253頁)を通読した。いろいろ気になるところがあるのだが、「伝承の里、家と人と」の章(203〜250頁・49〜58節)の「55 毒キノコで一家全滅した孫左エ門」の節(233…

高木敏雄『日本神話傳説の研究』(2)

昨日、大正14年版と昭和18年版以外の版は、見ようと思えば見られるが、少々面倒なので差当り大正14年版と昭和18年版のことだけ書いて、他の版はネットでの調べを挙げるに止める、といったようなことを書いた。いや、昨日書いたのではなくて、1ヶ月以上前に書…

高木敏雄『日本神話傳説の研究』(1)

高木敏雄の没後、生前の著書『日本傳説集』『比較神話學』が再刊され、また遺稿集『日本神話傳説の研究』が編まれた。主な版としては大正14年(1925)版と昭和18年(1943)版、それから平凡社東洋文庫の増訂版(1973〜1974)がある。 本書については、2月25…

柳田國男『遠野物語』の文庫本(23)

「遠野物語」は、7頁(頁付なし)が扉、8頁(頁付なし)の中央に「この書を外国にある人々に呈す」の献辞。9〜11頁が自序、12〜14頁が「題目」、15〜72頁が本文、73頁(頁付なし)は白紙で、74〜75頁(頁付なし)見開きは「遠野郷本書関係略図」である。1頁1…

柳田國男『遠野物語』の文庫本(22)

ちくま文庫版『柳田國男全集4』は、第五刷と第七刷を借りて来た。 奥付はほぼ同じ。縦書きで「柳田國男全集4|一九八九年十月三十一日 第一刷発行/一九九一年十二月五日 第五刷発行|著 者 柳田國男(やなぎた・くにお)/発行者 関根栄郷/発行所 株式会…

柳田國男『遠野物語』の文庫本(21)

ちくま文庫には、『遠野物語』が2つある。柳田国男全集〈4〉 (ちくま文庫)作者: 柳田国男出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1989/11/01メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る柳田國男集 幽冥談―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)作者: …

柳田國男『遠野物語』の文庫本(20)

改版四十六版(角川文庫1295)と新版初版(角川文庫13359)とを比較しつつ、その違いを記述してみたい。 1頁(頁付なし)は扉で、11.5×7.6cmの単郭の上部に4.5×4.9cm(内寸)の子持ち枠がある。新版はやや大きいようだがほぼ同じ。子持ち枠内に横書きで、上…

柳田國男『遠野物語』の文庫本(19)

改版四十六版(角川文庫1295)のカバー表紙折返しには、縦書きで「●柳田国男(やなぎだ くにお)」の略歴が載る。これは新版(角川文庫13359)にも同じ位置に横書きで「柳田国男/やなぎた くにお」として、以下ほぼ同文が載る。異同は「雑誌「民間伝承」を…

柳田國男『妖怪談義』(08)

以下の5種を対照させた目次を作ってみた。 ・1『妖怪談義(現代選書)』(昭和三十一年十二月二十日初版發行・昭和三十二年二月十五日三版發行・定價二三〇圓・修道社・252頁)*1 ・2『定本 柳田國男集』第四卷(昭和三十八年四月二十五日發行・定價一一…

柳田國男『遠野物語』の文庫本(18)

ところで、角川文庫1295『遠野物語』の改版が、昭和44年(1969)頃に行われていることは、大藤時彦「解説」の最後の段落から、見当は付けられた。 『遠野物語』は日本民俗学開眼の書であるが、その初版刊行以来、今日まで文学の書としても味読されてきた。昭…

柳田國男『遠野物語』の文庫本(17)

角川文庫13359『新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺』の初版も借りて来ていたのに前回(16)を書くとき物に紛れて忘れていた。 カバーは新版八版と同じである*1。奥付がかなり違う。新版八版との奥付の文字の異同を挙げておくと、まず「昭和三十年十月五日 初版…

柳田國男『妖怪談義』(7)

「各版対照の目次」などということを思いついて、遅ればせながら刊行中の『柳田國男全集』の、第二十巻(一九九九年五月二十五日初版第一刷発行・筑摩書房・769頁)を借りてきた。柳田国男全集〈20〉月曜通信・新たなる太陽・妖怪談義・少年と国語・炭焼日記…