瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

丸尾末広『パノラマ島綺譚』(1)

・BEAM COMIX(エンターブレイン・A5判並製本)パノラマ島綺譚 (BEAM COMIX)作者: 江戸川乱歩,丸尾末広出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2008/02/25メディア: コミック購入: 5人 クリック: 88回この商品を含むブログ (83件) を見る・2008年3月…

夏目漱石『それから』の文庫本(10)

・角川文庫321(8) 2012年8月16日付(1)に貼付した、角川文庫の現行のカバーを見た。改版七十一版で、本体は2012年8月16日付(1)に略述した。今、わたせ氏のカバーの掛かった改版七十一版と並べている。 カバー表紙折返し、顔写真と略伝は一致。最下部…

近藤ようこ『説経 小栗判官』(6)

単行本は「あとがき」の次に奥付、左上に秀英初号明朝縦組みで、1行めは小さく上部「(説経 小栗判官 奥付)」下部に横転「JETS COMICS 136」、2〜3行め「平成二年五月一日 初版発行/平成六年五月十五日 第三刷発行」、4行め「著 者 近藤ようこ」著者名の左脇…

近藤ようこ『説経 小栗判官』(5)

昨日の続きで本体について。 単行本及び文庫版6頁(頁付なし)、説経の語り出しが上部に14行。句読点を用いず改行を多くして11行と3行に分けているのは共通だが、単行本は秀英初号明朝で最後の3行の前の空白は1行分。文庫版は楷書体で最後の3行の前の空白は4…

近藤ようこ『説経 小栗判官』(4)

ここまでカバーについて眺めたので、次に本体について見て置こう。 単行本の見返し・遊紙は赤紙。次いでアート紙の口絵があって、上から幣を付けた笹の葉が伸び、その葉先をつかもうとする白い左手、そして左下部に豊かな髪を下ろした白い顔の美女、背景も明…

近藤ようこ『説経 小栗判官』(3)

昨日は午後外出して帰りも遅くなり、文庫版のカバーの折返しについて詳述する余裕がなかった。昨日の記事に追加するべきなのだがその気力がないまま夜になってしまったので、昨日の記事には手を入れずに、別の記事として補って置く。文字は全て横組み。 文庫…

近藤ようこ『説経 小栗判官』(2)

文庫版のカバー表紙の文字は明朝体太字で、匡郭(13.3×9.1cm)の右上に縦組みで「説経/小栗判官」この標題の下に小さく「おぐりはんがん」と添えるが、その背景の雲に乗る日輪(明るい鶯色)は「第五章餓鬼阿弥」の扉絵。イラストは「第六章物狂い」の146頁…

近藤ようこ『説経 小栗判官』(1)

研究生活にあった頃、必要があって説経についても何となく調べたのだが、この漫画を読んで初めて感動したのである。もちろん、部分部分はよく覚えていた。――覚えていたのだけれども、如何に必要に迫られて心を動かすことなく読んでいたか、反省させられたの…

桂米朝「百年目」(1)

たまに「吉朝に聞いとくなはれ」もしくは「吉朝に聞いてくれ」で検索して当ブログに逢着する人がいる。――3年前にとにかく書いてしまって、その後特に気を付けている訳ではなかったのだが、今、自分でも検索してみると2012年10月6日付「四代目桂文團治の録音…

山岸凉子『妖精王』(12)

1月15日付「山岸凉子『妖精王の帰還』(1)」に紹介した『妖精王の帰還』は、その標題からしても『妖精王』と対照するべきなのだけれども、1月16日付「山岸凉子『妖精王の帰還』(2)」等にて『アラベスク』完全版との対応を確認したのみであった。 そこで…

山岸凉子『妖精王』(11)

私の借りている花とゆめコミックス『妖精王2』には「2007/12/15」を返却期限とする感熱紙の「貸出メモ」が挟まっていた。「2007年12月01日 土曜日 午後04時24分 発行」すなわち貸出期間は2週間である。 誰のものだか分からないので参考までに借り出された本…

芥川龍之介『羅生門』の文庫本(17)

・新潮文庫1804『羅生門・鼻』(4) 2013年8月21日付(12)に追加した八十三刷は、南氏のカバーではない。外側はウェブカラーのチョコレート色地■で本体に接する内側は白。外側に細かい粟粒或いは爬虫類の鱗のような模様を刷り出しており、用紙が薄いので内…

宮澤賢治の文庫本(4)

・角川文庫1631『セロ弾きのゴーシュ』(4) カバー裏表紙折返し、右下隅にKBマークがあるのは同じ。 改版二十六版と改版五十四版は横組み。最上部にゴシック体で「角川文庫/宮沢賢治作品集」とあって1行分空けて明朝体で、改版二十六版は4点「注文の多い…

宮澤賢治の文庫本(3)

父は昭和13年(1938)生で終戦時に國民學校2年生、旧制中学だった新制高校に進学して都市の子供(といっても地方都市だけれども)との実力差を痛感させられるまで、田舎町で神童と云われていたのだけれども、男性教員が復員する以前で人材が不足していた終戦…

宮澤賢治の文庫本(2)

・角川文庫1631『セロ弾きのゴーシュ』(2) カバー背表紙、改版二十六版は淡い黄緑色地で、上部に明朝体で標題、中央やや下に著者名、下部にゴシック体で「角川文庫 緑 四〇 ―2 ― 300」。 改版五十四版は淡い黄色地で、最上部に「み|1-2」半角分空けて横長…

宮澤賢治の文庫本(1)

・角川文庫1631『セロ弾きのゴーシュ』(1) 3種のカバーを並べることが出来たので、取り上げてみる。 ・丸木俊のカバー 【改版二十六版】昭和四十四年二月十日改版初版発行・昭和五十七年八月二十日改版二十六版発行・定価300円・276頁 上部の暗い桃色地に…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(20)

・朝鮮烏羽玉譜(12) 安岡氏はここでも同席の人たちに李花仙との思い出を語るのだが、7月13日付(18)の引用*1よりも重要な場面が回想されている。292頁15行め〜294頁13行め、 安岡の同座の人のために、李花仙を話題の種にすることにしたようだ。 「この方…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(19)

・朝鮮烏羽玉譜(11) 私は朴氏の回想記に見える、安岡正篤の回想談に登場するソウルの李花仙は、正岡氏の逢った李花仙と同一人物だろうと思うのである。 しかし、朴氏の回想は辻褄の合わないところがある。「はじめに」2頁め7行めに拠れば「日記」に基づい…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(18)

・朝鮮烏羽玉譜(10) 安岡氏の回想とそれに対する著者等の反応を抜いて置こう。99頁5行めから、この節の末尾(100頁9行め)まで、 ソウルの鐘路にある明月館で夕食の接待を受けたことがあった。その場に端正な美貌の妓/生(芸者)が同席した。名前を李花仙…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(17)

7月7日付(13)の続き。 ・朝鮮烏羽玉譜(09) 昭和初年に正岡氏が京城の国一館で会った妓生・李花仙であるが、次の本に登場する李花仙が、同一人物なのではないかと思われる。 朴哲彦/水沼啓子 訳『日韓交流 陰で支えた男―朴哲彦の人生』2005年6月13日第1…

桂米朝『いろはにほへと』(1)

・CD『艶笑上方落語 いろはにほへと』定価2,550円艶笑上方落語 いろはにほへとアーティスト: 桂米朝出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)発売日: 1988/06/25メディア: CD クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る・CD『艶笑上方落語 続いろはに…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(16)

『艶色落語講談鑑賞』の目次は6月27日付(03)に示したが、このうち「艶色落語講談鑑賞」は『正岡 容集覧』と『完本正岡容寄席随筆』に、「わが寄席青春録」は『正岡 容集覧』には「続わが寄席青春録」及び「拾遺わが寄席青春録」とともに収録され、河出文庫…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(15)

・芸苑怪異談集粋(2) 昨日の続きで357頁3行めから最後まで。くの字点を「/\」で代用しているのと同様に、庵点を「√」で代用した。また傍点「ヽ」の打たれている字はゴシック体にして示した。 啓夫 いつか拝借して行つた明治二十年代のやまと新聞の写し…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(14)

・芸苑怪異談集粋(1) まだ「朝鮮烏羽玉譜」について述べたいことがあるのだけれども、準備が追い付かないので、先に6月30日付(06)に予告した、河出文庫版『寄席囃子 正岡容寄席随筆集』が省いているもう1篇、「芸苑怪異談集粋」を引いて置こう。なお、6…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(13)

・朝鮮烏羽玉譜(8) 滋賀県立近代美術館に日本画家三宅凰白(1893.5.2〜1957.2.26)描く「李花仙」の素描(紙本墨画)がある。同一人物かとも思われるのだが、証拠はない。滋賀県立近代美術館には他にも、三宅氏の似たような素描として「崔素玉」「張美花…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(12)

・朝鮮烏羽玉譜(7) 一昨日からの続きで「国一館の夜」の314頁6行めから最後(316頁2行め)まで。 × ――国一館へは、尤も、このゝちも、もう一ど、李基成さんと放送局の松田寿雄君と、ある夜更/けに自分は、訪れたことがある。 が、この夜は、自分は、単な…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(11)

・朝鮮烏羽玉譜(6) 昨日の続きで「国一館の夜」の続きを引いて置く。311頁14行めから314頁5行めまで。 三、四十分して、妓生が三人ほどきた。妓生はいふ迄もなく朝鮮での芸妓であるが、白いキモノ/で、冬も薄緑か水いろのスカート美しく、胡座して、酒間…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(10)

・朝鮮烏羽玉譜(5) 309頁の最後の行、15行めに9字下げ2行取りで「国 一 館 の 夜」とあって、310頁から本文。まず、311頁13行めまで引いて見る。 浪花館の寄席の高座を、あたしが丁ど二席了へて、あとのフロツク姿の四十男で新講談のほかに/四つ竹を鳴ら…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(09)

・朝鮮烏羽玉譜(4) 昨日の続きで308頁2行めから「橋南洞の夜」を最後まで引いて見る。 そこへ、二品、三品、四品、可成の料理が運ばれてきた。唐芥子*1を烈しくきかせた漬物や、肉の/佃煮みたいのや、林檎の輪切や、ニホンの胡麻よごしのやうな野菜だ。…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(08)

・朝鮮烏羽玉譜(3) 前回、時期の上限を定めたが、そのことが正岡容の年譜にどのように位置付けられるのかは「朝鮮烏羽玉譜」の最後に結論として述べることにして、今は6月30日付(06)に引いた「橋南洞の夜」の続きを見て置こう。 奇望街とは売春窟だ。陽…