瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

怪異小説

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(105)

・青木純二『山の傳説』(7) さて、8月15日付(102)まで4回に分けて引用した青木純二「晩秋の山の宿(白馬岳)」本文の、白銀冴太郎「深夜の客」との異同について、8月16日付(103)に何例か挙げて杉村顕道「蓮華温泉の怪話」は「晩秋の山の宿」に依拠し…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(104)

『山怪実話大全』の第一刷から第三刷に掛けての時期、その編者の東雅夫が杉村顕(顕道)と「サンデー毎日」の関わりについて tweet していたことは、2018年8月8日付(027)にも触れましたが、8月8日付(095)に改めてその全文を引用して確認し、8月9日付(09…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(103)

・青木純二『山の傳説』(6) さて、昨日までの本書の「晩秋の山の宿(白馬岳)」本文を、昭和3年(1928)7月の「サンデー毎日」に懸賞入選作として掲載された白銀冴太郎「深夜の客」との異同を指摘しつつ引用して見た。殆ど同文であることが明らかになった…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(102)

・青木純二『山の傳説』(5) 昨日の続きで、最後。 昨日引用した箇所は特に書き替えが少なかったが、ここもやはり若干手を入れている程度である。 家に歸つた主人は子供に向つて云つた。*1 『あの男は怖ろしい人殺しをしたやつだったが、俺ぁ不思議でなら…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(101)

・青木純二『山の傳説』(4) 一昨日からの続きだが、この辺りは特に書き換えが少ないようである。なお、傍点「ヽ」を打たれている文字は、ルビと同様に再現出来ないので仮に太字にして示した(「深夜の客」には傍点はないようだ)。106~109頁1行め、 『父…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(100)

・青木純二『山の傳説』(3) 昨日に続く場面を引用する。要領は昨日に同じ。102頁9行め~105頁、 飯の仕度をいそいでゐる主人はふと、奥の部屋で、八つになる男の子が、はげしく泣き出す聲/をきいた。*1 『これ、何を泣くんだ。』*2 子供のところへ飛んで…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(099)

・青木純二『山の傳説』(2) 前置きが長くなったが、「晩秋の山の宿」の本文を全文引用する。 なお、従来、本文の引用・比較に当たっては、2018年8月7日付(026)にように分割して検討して来た。しかしながら「晩秋の山の宿」の本文は「深夜の客」とほぼ同…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(098)

それでは、早速、杉村顕『信州百物語』の「蓮華温泉の怪話」が下敷きにした、と、断定して良いと思うのだけれども、その話と出典について確認して置こう。 ・青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』(昭和五年七月 七 日印刷・昭和五年七月十七日發行・定價一…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(097)

・白銀冴太郎は杉村顕道に非ず(3) 前回、根拠を示さずに少々過激とも取れる結論の一端を述べてしまった。 これからその根拠を挙げて行くつもりだけれども、当ブログでは結論だけ述べて根拠となる資料の検討をやったのかやらなかったのか、曖昧にして置く…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(096)

・白銀冴太郎は杉村顕道に非ず(2) さて、問題の東雅夫 編『山怪実話大全』第三刷(二〇一七年一一月二五日 初版第一刷発行・二〇一八年 一 月二八日 初版第三刷発行・定価1200円・山と溪谷社・二三五頁)の追記だが、二二三~二三五頁「編者解説」の、昨…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(095)

・白銀冴太郎は杉村顕道に非ず(1) 当ブログではこれまで、岡本綺堂「木曾の旅人」を源とするとおぼしき怪異談についてブログ開始直後の2011年1月3日付(002)に、阿刀田高「恐怖の研究」に於ける再話や、2011年1月23日付(008)にて松谷みよ子『現代民話…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(91)

・TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(1) 昨日まで、二見WAi WAi文庫『東京ミステリー/とっておきの怖い話』を取り上げて、60話中10話を紹介して見た。 ここまでは実は、前置きみたいなものである。――私が…

東京RADIO CLUB「東京ミステリー」(09)

一昨日(及び昨日)の続きで、TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(二見WAi WAi文庫)について、最後の章からまづ1話、最後を取り上げて見る。 ・第六章 語りつがれてきた戦慄の怪奇譚(1) 「目次」の10頁1…

事故車の怪(19)

・TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(2) 昨日の続きだが、6月9日付(18)と同じく事故車の話なので標記の題にした。第五章「日常を切り裂く凶々しき出来事*1」の10話め。 【50】不幸を招き寄せるバイク―――…

東京RADIO CLUB「東京ミステリー」(08)

昨日の続きで、TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(二見WAi WAi文庫)について。 ・第五章 日常を切り裂く凶々しき出来事(1) 「目次」の9頁5~15行め、章題*1に続いてやはり10題。 165頁(頁付なし)がこ…

東京RADIO CLUB「東京ミステリー」(7)

昨日の続きで、TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(二見WAi WAi文庫)について。 ・第四章 時空を超えて彷徨う哀しき魂(1) 「目次」の8頁9行め~9頁4行め、章題*1に続いてやはり10題。 123頁(頁付なし)…

東京RADIO CLUB「東京ミステリー」(6)

昨日、もしくは一昨日の続きで、TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(二見WAi WAi文庫)について。 ・第三章 世にも不思議な恐怖の怪現象(1) 「目次」の7頁12行め~8頁8行め、章題に続いてやはり10題。 83…

事故車の怪(18)

・TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(1) 昨日の続きだが、今回は話の内容を記事の題にした。第二章「血も凍らせる怨霊たちの呻き」の7話め。 【17】いわくつきの不気味な中古車―――H・Sさん(十九歳) 72…

東京RADIO CLUB「東京ミステリー」(5)

昨日の続きで、TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(二見WAi WAi文庫)について。 さて、第一章「理不尽にも開かれた冥界への扉」には「目次」の6頁3~12行めに10題挙がっているが、昨日一昨日のペースで粗筋…

東京RADIO CLUB「東京ミステリー」(4)

昨日の続きで、TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(二見WAi WAi文庫)について。 ・第一章 理不尽にも開かれた冥界への扉(2) 【03】セピア色の湖に遊ぶ妖しい母子―――Y・Mさん(十七歳) 19~22頁 「私が…

東京RADIO CLUB「東京ミステリー」(3)

5月29日付(2)の続きで、TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(二見WAi WAi文庫)について。 6~10頁(頁付なし)「目 次」。末尾、10頁12行め中央やや下に「本文イラスト……日野浦 剛」とある。 11頁(頁付な…

阿部主計『妖怪学入門』(3)

2018年4月8日付(1)に挙げた諸版のうち、今手許に⑤平成4年(1992)雄山閣ブックス19と⑦平成16年(2004)新装版、⑧平成28年(2016)雄山閣アーカイブス 歴史篇の3冊がある。今回は口絵(20頁、頁付なし)について見て置こう。 ⑤と⑦はアート紙、⑧は本文共紙…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(90)

・「炭燒の話」と「木曾の旅人」(1) 昨日、千葉俊二と東雅夫が、岡本綺堂「木曾の旅人」の「初出」を、2人とも「改題改稿して」としつつ「やまと新聞」連載の「五人の話」のうちの、其四「炭焼の話」としていることに注意した。 いろいろと違っていながら…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(89)

・文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション(2) 2018年12月20日付(86)の続き。 このシリーズは各作品の本文末に、下寄せでやや小さく初出について注記している。『霊 星新一・室生犀星ほか』93~132頁「木曾の旅人」では、132頁2行めまでが本文で、3~4行めに9…

東京RADIO CLUB「東京ミステリー」(2)

2018年8月21日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(38)」に書影を貼付した、TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(二見WAi WAi文庫)について、昨日の続き。 カバー表紙折返しは白地で、下部には横組…

東京RADIO CLUB「東京ミステリー」(1)

2018年8月21日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(38)」に書影を貼付した、TBSラジオ/東京RADIO CLUB 編『東京ミステリー/とっておきの怖い話』(二見WAi WAi文庫・1993年5月25日 初版発行・1995年6月25日 4版発行・定価485円・…

岡本綺堂の文庫本(13)

・岩井紫妻の「恋」と「死」(4) 一昨日からの光文社時代小説文庫『女魔術師』177~192頁「岩井紫妻の死」と、中公文庫『怪獣』117~130頁「岩井紫妻の恋」の比較の続きで、今回は「下」について。 ・『女魔術師』187頁9行め「座敷に這入って」は、『怪獣…

岡本綺堂の文庫本(12)

・岩井紫妻の「恋」と「死」(3) 昨日からの光文社時代小説文庫『女魔術師』177~192頁「岩井紫妻の死」と、中公文庫『怪獣』117~130頁「岩井紫妻の恋」の比較の続き。 前回の引用からも分かるように、『怪獣』は歴史的仮名遣いのまま(振り仮名を除く)…

岡本綺堂の文庫本(11)

・岩井紫妻の「恋」と「死」(2) 昨日の続き。昨日敬体だった文体が常体になっているのは気分で、深い意味はありません。 それでは光文社時代小説文庫『女魔術師』177~192頁「岩井紫妻の死」と、中公文庫『怪獣』117~130頁「岩井紫妻の恋」を比較して見…

岡本綺堂の文庫本(10)

・岩井紫妻の「恋」と「死」(1) 2月22日付(09)にて、光文社時代小説文庫『傑作情話集 女魔術師』に収録されている「岩井紫妻の死」が「新演藝」大正12年(1923)3月号に掲載された初出で、中公文庫『怪獣 岡本綺堂読物集七』に収録された「岩井紫妻の恋…