瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

怪異小説

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(88)

昨日と同じく、これもダイアリーからブログへの移行に際して一通り目を通した下書き記事から。 「 蓮華温泉(1)」との仮題で、2011年8月13日の晩に登録・保存されてそのままになっていた。 その後の記事に書いたために重複してしまった事項もあるが、今は…

村松定孝『わたしは幽霊を見た』考証(14)装幀

この記事は、ブログへの移行に際して久し振りに目を通した1000件近い下書き記事の中から取り出したもので、2011年2月1日夜に登録して、2011年2月15日の晩まで加筆している。番号は(12)だったが、2011年4月1日付(13)まで進んでいるので(14)に改めた。 …

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(87)

・末広昌雄「山の伝説」(11) 小松和彦監修『日本怪異妖怪大事典』と、その基礎になった国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」について、12月19日付(85)に、問題点を述べて見ました。もっといろいろ突っ込んだ批判を加えるべきかと思う…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(86)

昨日の続きで、さらに突っ込んだ批判を加えることも、出来なくはないのだけれども、そこまで広げるだけの余裕も準備も出来ていない。かと云って、ちょっと虚脱状態で、かつ今日は、都内を西に東に移動して草臥れていて、俄に他のことに着手出来ないので、8月…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(74)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(10) 平成4年(1992)の「あしなか」第弐百弐拾四輯に掲載された「山の伝説」には、「山の宿の怪異」の添え物のようにもう1話「山の神の伝説」があるのですが、昭和31年(1956)の「山と高原」二月号(第二三三号)の「雪の夜の…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(73)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(9) 普通に考えたらどうなるのか、と云うのが私の基準です。常識的に考えておかしなところを突っ込んでみると、大抵そこに隙間があるのです。別に奇を衒っている訳ではありません。そして、その隙間には――上手く繋がっていない…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(72)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(8) 昨日の続きで、今回は「山と高原」第二三三号54〜56頁に掲載された「雪の夜の伝説」の1話め「山の宿の怪異」の結末を抜いて、9月14日付(55)に見た、「あしなか」第弐百弐拾四輯13〜17頁「山の伝説」の1話め「山の宿の怪…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(71)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(7) 末広氏が書いた「山の宿の怪異」の2つの本文のうち、「山と高原」第二三三号54〜56頁に掲載された「雪の夜の伝説」の本文について、今回は8月12日付(31)及び9月10日付(51)に見た、【K】子供の怯えたものに当たる箇所…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(70)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(6) 末広氏が書いた「山の宿の怪異」の2つの本文のうち、「山と高原」第二三三号54〜56頁に掲載された「雪の夜の伝説」の本文について、今回は8月12日付(31)及び9月9日付(50)に見た、【J】巡査による男の捕縛と説明に当た…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(69)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(5) 末広氏が書いた「山の宿の怪異」の2つの本文――「山と高原」第二三三号54〜56頁に掲載された「雪の夜の伝説」、「あしなか」第弐百弐拾四輯13〜17頁に寄稿した「山の伝説――古い山日記より」との比較の続き。 順を追って見て…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(68)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(4) 今日も、昨日の続きで「山と高原」第二三三号54〜56頁に掲載された「雪の夜の伝説」の「山の宿の怪異」本文を、その36年後に「あしなか」第弐百弐拾四輯13〜17頁に寄稿した「山の伝説――古い山日記より」の「山の宿の怪異」…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(67)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(3) それでは昨日の続きで「山と高原」第二三三号54〜56頁に掲載された「雪の夜の伝説」の本文を、既に見た、36年後に末広氏が「あしなか」第弐百弐拾四輯13〜17頁に寄稿した「山の伝説――古い山日記より」と比較しつつ確認して…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(64)

・岡本綺堂「影」(8) さて、戯曲では、小説と違って地の文が使えません。「木曾の旅人」は台詞の間に適切に差し挟まれた地の文が、緊張感を高める効果を上げていたのですが、戯曲では台詞か、舞台の様子や登場人物の動きを説明するト書きだけになります。…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(57)

堤邦彦「「幽霊」の古層」(3) それでは早速、「二 江戸怪談の影響力」の章の3節め「亡霊と旅する男」*1の、昨日の続きから最後まで見て行きましょう。 * * * * * * * * * * と、先月28日(か29日)に8月30日付(47)として書き始めたのですが、…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(55)

・末広昌雄「山の伝説」(09) それでは最後に、9月11日付(52)にて後回しにした結末部分を見ておきましょう。 「深夜の客」及び「蓮華温泉の怪話」では、仮に【L】男の述懐とした、留置場もしくは処刑直前の犯人の述懐があるのですが「山の宿の怪異」には…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(54)

・末広昌雄「山の伝説」(8) 昨日の続きで、仮に【B】導入〜時期の説明とした箇所の「冬籠り」について検討して見ましょう。 「深夜の客」と「蓮華温泉の怪話」は、秋、浴客が下山し冬籠りの準備に取り掛かる頃、と云う事実を簡潔に述べるだけです。 とこ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(53)

・末広昌雄「山の伝説」(7) 昨日の続きで、仮に【B】導入〜時期の説明とした部分を対照させて見ましょう。要領は昨日示した通りです。 「蓮華温泉の怪話」一九九頁5〜6行め 明治も三十年を数えて、其の年の秋のことであった。浴客もすっかり山を下って、…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(52)

・末広昌雄「山の伝説」(6) 昨日の続きで白銀冴太郎「深夜の客」の最後、仮に【L】男の述懐とした箇所について見ても良いのですが、実はここに対応する本文が「山の伝説」にはありません。ではどう纏めているのか、と云うことになりますが、ここで一旦遡…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(51)

・末広昌雄「山の伝説」(5) 昨日の続きで、8月12日付(31)に引いた白銀冴太郎「深夜の客」のうち、【K】子供の怯えたものとした箇所に対応する、「山の宿の怪異」16頁上段8行め〜中段4行めを抜いて置きましょう。要領は9月8日付(49)に示した通りで、…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(50)

・末広昌雄「山の伝説」(4) 昨日の続きで、8月12日付(31)に引いた白銀冴太郎「深夜の客」のうち、【J】巡査による男の捕縛と説明とした箇所に対応する、「山の宿の怪異」15頁下段21行め〜16頁上段7行めを抜いて置きましょう。要領は前回に同じで、書き…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(49)

・末広昌雄「山の伝説」(3) 昨日の続きで、末広昌雄「山の伝説」の「山の宿の怪異」について、その原拠となったと見られる白銀冴太郎「深夜の客」の本文と対照させて見ます。しかし白銀冴太郎「深夜の客」の本文は改めて引用しません。既に当ブログにて、…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(48)

・末広昌雄「山の伝説」(2) 昨日は、何時の間にか末広氏の行文に話を限定していましたが、そもそも「あしなか」が、学術的報告ではなく、民俗に関する随筆・読物を掲載するような趣の雑誌らしいのです。――以前から昔話や怪異談に関する文献に「あしなか」…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(47)

・末広昌雄「山の伝説」(1) さて、堤邦彦「「幽霊」の古層」の8月29日付(46)に引いた箇所の続きをさらに見て行くつもりで準備して、ほぼ出来上がっていたのですが、念のため、ですが堤氏が言及している文献を確認して置くべきだと考えて、近々返却期限…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(34)

・白銀冴太郎「深夜の客」(10) 8月8日付(27)の最後に引用した、東雅夫のtweetは、灰月弥彦と云う人のtweetに応じてのものであった。 灰月弥彦の2018年1月24日21:19のtweetは、まさに「『日本現代怪異事典』の「おんぶ幽霊」の件」に触発されて呟かれたも…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(33)

・白銀冴太郎「深夜の客」(9) ここ数日、8月8日付(27)に引いた、東雅夫がtwitterで示した①白銀冴太郎②杉村顕道同一人説、及び8月11日付(30)に引いた、岡本綺堂「木曾の旅人」との関係についての東雅夫の示唆に導かれて、①「深夜の客」及び②「蓮華温泉…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(32)

・白銀冴太郎「深夜の客」(8) 昨日の続きで、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の比較の最後。構成については8月7日付(26)に対照させてある。 【L】男の述懐 ①一九八頁1〜7行め 痴情ゆえに女を殺した彼は糸魚川警察署でおびえなが…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(31)

・白銀冴太郎「深夜の客」(7) 8月10日付(29)の続きで、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の比較。構成については8月7日付(26)に対照させてある。 【J】巡査による男の捕縛と説明 ここも全文を抜いて対照して置こう。①一九六頁4…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(30)

・白銀冴太郎「深夜の客」(6) 一昨日からの続きで、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の比較を最後まで済ませるつもりだったのだけれども、前回、事実尊重と云う点を問題にしたので、今回はこの点をもう少々詰めて置こうと思う。 『…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(29)

・白銀冴太郎「深夜の客」(5) 昨日からの、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の比較の続き。構成については8月7日付(26)に対照させてある。 【E】泣き、怯える子供 【F】吠える二匹の犬 【G】主人の疑いと行動〜狐・鉄砲 【H】…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(28)

・白銀冴太郎「深夜の客」(4) 前回の最後に触れた灰月氏のtweetから朝里樹『日本現代怪異事典』に及んでも良いのだが、その前に8月7日付(26)の続きで、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」を、頭からざっと比較して見よう。 【A】導…