瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

映画

松本清張『砂の器』(09)

昨日の続き。 本作のシナリオが、映画公開の5年前のシナリオ作家協会 編『年鑑代表シナリオ集 一九六八年版』に掲載されているのは、1968年度のシナリオ賞の「特別賞」に選ばれたからだった。これは「同年度の公刊雑誌などに発表された未映画化シナリオの中…

松本清張『砂の器』(08)

野村芳太郎監督映画『砂の器』については、2017年8月8日付(06)に取り上げた樋口尚文『『砂の器』と『日本沈没』70年代日本の超大作映画』の解釈について、それから山田洋次が脚本執筆時のことを何度か回想しているが、その異同についても検討するつもりで…

斎藤澪『この子の七つのお祝いに』(1)

1月に Amazon で買物をした際に、間違って「prime をためしてみる」と云うボタンをクリックしてしまった。別に試すつもりもないので解除しようと思ったのだが、既に1ヶ月無料体験会員にされてしまっていた。厄介なことになったように思ったのだけれども、会…

岡野玲子『ファンシイ ダンス』(1)

平成元年(1989)12月23日公開の周防正行監督映画「ファンシイ ダンス」については、2017年4月17日付「周防正行『シコふんじゃった。』(5)」に触れました。当時、貼付出来なかった関連商品を上げて置きましょう。 ・パンフレット 映画パンフ「ファンシイ…

笠原和夫『大日本帝国』(1)

年度替りの頃に図書館の棚で見掛け、先年、同じ監督・脚本の『二百三高地』をDVDで見たところであったので、それほど期待せずに借りて見た。――母が五木ひろし(1948.3.14生)のファンで、演歌の番組をよく見ていたから、主題曲は何度も聞いたことあるが、映…

川端康成『古都』(13)

・新潮文庫1833(4) 2014年8月11日付(03)の続き。 2014年11月に映画の写真がカバー表紙に使用されている①三十六刷を某区立中央図書館のリサイクルコーナーで入手した。それから家人の蔵書に①七刷があることに気付いたのだけれども、比較しないまま来てし…

Marguerite Duras “Hiroshima mon amour“(2)

昨日の続きで、清岡卓行(1922.6.29〜2006.6.3)訳について。 ・マルグリット・デュラス『ヒロシマ、私の恋人 かくも長き不在』 筑摩書房・282頁・四六判上製本 3冊見たが、いづれも新装版第2刷であった。 書名はカバー背表紙に拠る。著者名は右上にやや小さ…

Marguerite Duras “Hiroshima mon amour“(1)

・映画(Alain Resnais 監督)昭和34年(1959)6月公開 二十四時間の情事【字幕版】 [VHS]出版社/メーカー: カルチュア・パブリッシャーズ発売日: 1997/11/28メディア: VHSこの商品を含むブログ (2件) を見るHiroshima mon amour (neu restauriert) [DVD]メ…

今井正監督『ここに泉あり』(09)

・日本シナリオ文学全集・9『水木洋子集』(6) 昨日引いた、映画で写される合同演奏会のポスターに示されているのはリスト「交響詩「前奏曲」」とチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」そしてモーツァルト「交響曲」第40番の3曲で、脚本の当該箇所「54 …

今井正監督『ここに泉あり』(08)

・日本シナリオ文学全集・9『水木洋子集』(5) 昨日の続きで、各シーンごとに登場人物を拾って行けば良いのだが、手間が掛かって今日中に済みそうにないので、6月18日付(04)に取り上げた、ピアニストとして本人役で出演した室井摩耶子の出演シーンにつ…

今井正監督『ここに泉あり』(07)

・日本シナリオ文学全集・9『水木洋子集』(4)細目 それでは、前回の記事の末尾に示した要領に従って、それぞれのシーンの1行め、番号と場所を原文の通りに抜き、頁と段、行を添えた。 但し、シーン5〜8はタイトルバックで「8 野道(タイトルバック)」…

今井正監督『ここに泉あり』(06)

・日本シナリオ文学全集・9『水木洋子集』(3) 昨日引用した「主な配役」だけでも20人と多いのだが、それ以外に姓名の判明している役者も含めると40人以上にもなる。――とにかく登場人物が多い。脚本を読んでいても、誰が誰だか、忘れた頃に出て来たりする…

今井正監督『ここに泉あり』(05)

・日本シナリオ文学全集・9『水木洋子集』(2)主な配役 6月14日付(02)の続き。 175頁(頁付なし)左上に縦組みで「ここに泉あり」とあり、右下に横組みで以下のようにある。最初の2行、 ▲1955年(昭30)作品▼ 演 出 今 井 正 1行めの▲は左向き、▼は右向…

今井正監督『ここに泉あり』(04)

昨日の続きで室井摩耶子『わがままだって、いいじゃない。』とその文庫版『96歳のピアニスト』に見える、本作出演に関する記述を見て置こう。単行本98〜99頁、文庫版92〜93頁、文庫版は本文が92頁に収まって、93頁は上部は余白で下部に、着飾って YAMAHA のグ…

今井正監督『ここに泉あり』(3)

映画の中で、市民フィルハーモニーが山田耕筰(1886.6.9〜1965.12.29)指揮するオーケストラと合同演奏会を開く場面、チャイコフスキーのピアノ協奏曲が演奏されるのだが、ピアノを吹替なしでプロのピアニストが担当している。 ・室井摩耶子『わがままだって…

今井正監督『ここに泉あり』(2)

・日本シナリオ文学全集・9『水木洋子集』(1) 昨日の続き。 判型は恐らく四六判。製本されているので、昨日貼付した書影のような表紙等は見ていないが、この表紙で不審なのは右下に「誠文堂新光社」とあることである。しかし、標題や左下にある収録作品…

今井正監督『ここに泉あり』(1)

・映画 昭和30年(1955)2月12日公開ここに泉あり [DVD]出版社/メーカー: 新日本映画社発売日: 2004/12/24メディア: DVD クリック: 45回この商品を含むブログ (3件) を見るここに泉あり [DVD]出版社/メーカー: エースデュースエンタテインメント発売日: 2004…

三軒茶屋の思ひ出(1)

大学2年まで、私は最寄り駅でもないのに三軒茶屋から通学していた。 当時は暇だったので、辺りを随分歩き回ったものだったが、とにかく歩いているばかりで店や施設には、駅前のハナマサやライフ、立食い蕎麦のかしわやに入るくらいだった。二十歳を過ぎた頃…

今野圓輔『怪談』(6)

それでは、現代教養文庫版及び中公文庫版について、1章め「Ⅰ 幽霊・妖怪の登場」の細目を見て行くこととする。図版はキャプションの前に掲載位置を示した。キャプションの位置は下に小さく明朝体横組みである。本文には図版等、現代教養文庫版にない要素はな…

今野圓輔『怪談』(5)

昨日の続きで、現代教養文庫版の「参 考 文 献」と、小池壮彦「解説」に手を入れて組み込まれた「参考文献」について、幾つか取り上げて比較して見ようかと思ったのだが、それでは5月20日付(3)に細目を確認しようと述べたことから離れてしまうので、「参…

François Boyer “Jeux interdits” (2)

・角川文庫2660『禁じられた遊び』(1) 禁じられた遊び (角川文庫 赤 258-1)作者: フランソワ・ボワイエ,花輪莞爾出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 1970/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る禁じられた遊び (1956年) (河出新書)作者: フラ…

深作欣二監督『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1)

私の生き方はある意味ヤクザみたいなものだけれども、ヤクザには惹かれないので*1ヤクザ映画は見たことがない。従って(?)深作欣二(1930.7.3〜2003.1.12)の映画も、タダ券をもらったこの映画しか見ていない。 ・映画 平成6年(1994)10月22日公開忠臣蔵…

François Boyer “Jeux interdits” (1)

・René Clément “Jeux interdits”(1) 1952年5月9日公開。邦題『禁じられた遊び』は直訳。昭和28年(1953)9月6日日本公開。禁じられた遊び [VHS]出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー発売日: 1998/02/10メディア: VHSこの商品を含むブログ (1件) を見る禁じ…

角川文庫の角川映画の広告(6)

・犬神家の一族(2) 2013年7月14日付(5)に挙げたものと異なるものを見た。比較はしておらず、当初は同じ広告かと思ったのだが、かなり違っている。 ・宇井無愁『笑辞典落語の根多(角川文庫3631)』昭和五十一年十一月三十日初版発行・¥490・634頁 …

水上勉『湖の琴』(2)

昨日の続き。 ・田坂具隆監督『湖の琴』(2) 二代目中村鴈治郎は、坊主でありながら『破戒』で藤村志保(1939.1.3生)を襲ったり『炎上』で芸者遊びをしたり(ともに市川崑監督)していたのと比べてしまったので、関係を結ぶまで随分我慢している(!)印…

水上勉『湖の琴』(1)

映画を見た。――原作からして非常に人気があったらしく、多くの版がある。湖の琴 (1966年)作者: 水上勉出版社/メーカー: 講談社発売日: 1966メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見る湖の琴 (1968年) (角川文庫)作者: 水上勉出版社/メーカー: 角川書店発…

新海誠『君の名は。』(3)

被害の見積もりは、もっと詳しい人がきちんと出してくれるだろうから、不得手な私がこれ以上踏み込むべきではないだろう。あの程度の被害で済むにはどの程度の隕石なのか、或いは、あの程度のクレーター(隕石孔)が出来るような隕石が堕ちて来た場合、どの…

新海誠『君の名は。』(2)

昨日の続き。 私がおかしいと思うようなことくらいは、恐らく他にもおかしいと思った人もいるだろうから、今更書くに及ばないだろうとは思うのだけれども。 * * * * * * * * * * ヒロインの通っていた高校の脇までが何も残らない程破壊され、高校…

新海誠『君の名は。』(1)

私はファンタジーのような、現実離れした設定に合わせることを要求する小説や映画が苦手で、ジブリ映画や指輪物語、スター・ウォーズ、ハリー・ポッターは敬遠して過ごして来た。2015年4月11日付「山岸凉子『妖精王』(2)」に述べたようにゲームブックや漫…

水島新司『ドカベン』(57)

しばらく、原作で山田が鷹丘中時代に唯一出場した野球の試合、因縁のライバル小林真司投手率いる東郷学園中戦について、確認している。――原作の確認は、もともとは鈴木則文監督の実写映画『ドカベン』の設定との比較のために始めた作業で、実写映画では山田…