瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

映画

手塚治虫『ブラック・ジャック』(6)

・大林宣彦監督『瞳の中の訪問者』(6) 「殺される瞬間に見た光景」が「焼き付いた」ならば、それに類する経験をした人物が苦しめられるPTSDと同じような、――すなわち、殺人犯の一部には殺害の光景が、そして殺人未遂の被害者には襲われたときの光景が不意…

手塚治虫『ブラック・ジャック』(5)

・大林宣彦監督『瞳の中の訪問者』(5) 映画の楯与理子(ハニー・レーヌ)は、パリ留学中に、やはり留学中のピアニスト風間史郎(峰岸徹)に出会い、同棲する。しかし史郎の愛に圧迫感を感じていたところに、たまたま日本の実家から(史郎の存在を知らずに…

手塚治虫『ブラック・ジャック』(4)

・大林宣彦監督『瞳の中の訪問者』(4) 映画では自分の愛する女性を傷つけてしまった男性が、回復のために奔走した結果、ブラック・ジャックに逢着するのだが、原作ではこの辺りの経緯が曖昧である。 ただの角膜白斑なら普通に眼科を受診して手術を受けれ…

手塚治虫『ブラック・ジャック』(3)

・大林宣彦監督『瞳の中の訪問者』(3) 本作(映画)については記憶に頼って書いているので、ここでは原作「春一番」(秋田文庫版『BLACK JACK①』28〜46頁)を基に、異同を確認して置くこととする。 患者の千晶は、原作では女子高の生徒である。33頁2コマ…

手塚治虫『ブラック・ジャック』(2)

・大林宣彦監督『瞳の中の訪問者』(2) 昨日の続き。 9月15日に新文芸坐で見た。目的は本作よりも『HOUSE/ハウス』の方で、私は常光徹等の『学校の怪談』がブームになる以前から学校の怪談に注目して聞書きなどをしており、小学校入学前の映画なので…

手塚治虫『ブラック・ジャック』(1)

・大林宣彦監督『瞳の中の訪問者』(1) 昭和52年(1977)11月26日公開。瞳の中の訪問者 デラックス版 [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント発売日: 2003/08/22メディア: DVD クリック: 15回この商品を含むブログ (7件) を見る瞳の中の訪問…

水島新司『ドカベン』(16)

・鈴木則文監督『ドカベン』(14) 昨日の続き。 花園学院との団体戦(文庫版②50〜63頁)で、副将を務めた山田は、相手の副将・麻島を持ち上げてしまう。原作では丹下が「投げろ山田!!」と声を掛けるが山田は動かない。丹下は「山田 どうして投げぬ/そのま…

水島新司『ドカベン』(15)

・鈴木則文監督『ドカベン』(13) 丹下は映画では「複雑怪奇骨折」させられた後は登場しない*1が、原作では柔道部に留まっていて、登場人物の心境について解説的な感慨や台詞を口にするなど、隻眼だが真実を見抜く眼力を持っており、大会の対戦校の情報を伝…

水島新司『ドカベン』(14)

・鈴木則文監督『ドカベン』(12) やはり映画本編と付き合わせないとうろ覚えのところも多いので何とも不安だが、なかなかそこまでやって検討する余裕がない。――それでも、ざっとメモして置く。 山田は柔道部に入るのだが、その切っ掛けは雨の中、柔道部退…

水島新司『ドカベン』(13)

・鈴木則文監督『ドカベン』(11) 9月23日付(12)の続きで、原作と映画について、ざっと比較して置く。但し映画を再見する機を得ていないので、記憶に拠っている。従って、先月見た折にメモした内容以外の細部には及ばないことにした。 運動部員たちと岩鬼…

水島新司『ドカベン』(12)

・鈴木則文監督『ドカベン』(10) 一昨日までオープニングにクレジットされる出演者について見て来たが、まづはこれに続く、岩鬼正美(高品正広)と他の運動部員たちとの乱闘シーンについて。 ここで私が注目したのは、――黒帯の空手部員が掛け声とともに仁…

水島新司『ドカベン』(11)

・秋田文庫(1) 以下本編について、現在映画を見直すことが出来ないが、見たときにメモして置いた点について順次挙げて行こうと思ったのだが、映画を見返すことが出来ない上に、原作も参照出来ないようでは、映画の内容に限って論じるとしても、何とも不安…

水島新司『ドカベン』(10)

・鈴木則文監督『ドカベン』(9) 昨日の続きで、オープニングの最後まで。 【23】青地「じっちゃん/吉田義夫/校 医/南 利明」白球を打ち返す山田「教 師/佐藤蛾次郎/岩鬼の父/小松方正」 ここから再び主要な役が並ぶ。 吉田義夫(1911.1.3〜1986.12.…

水島新司『ドカベン』(09)

・鈴木則文監督『ドカベン』(8) 9月18日付(08)の続きで、出演者について。 【21】赤地にスライディングをブロックする山田(単行本⑨のカバー絵) 【22】青地「徳田雅之/高木哲也/芹澤秀史/地濃義昭/渋木克昌/鈴木孝英/伊東ひろみ/黒野恭子/杉本…

水島新司『ドカベン』(08)

・鈴木則文監督『ドカベン』(7) 昨日の続きで、出演者について。 【20】黄緑地「千葉智彦/飯塚仁樹/勝 光徳/八木徳之/小貫千恵子/福岡康祐/渡辺義文/溜 健二/佐藤 昇/佐川二郎/吉沢高明/山浦 栄」 千葉智彦は「山口」役、他に映画・TVドラマへ…

水島新司『ドカベン』(07)

・鈴木則文監督『ドカベン』(6) 昨日の続きで、出演者について。 【18】黄緑地「貝之瀬一夫/田口和政/大泉公孝/水島慶司郎/竹内えみ子/蓮見里美/松香由美/高野明彦/森 祐介/高橋利通」*1 貝ノ瀬一夫は花園学院柔道部の次鋒「白目」役。映画に昭…

水島新司『ドカベン』(6)

・鈴木則文監督『ドカベン』(5) 9月1日付(5)の続きで、出演者について。 【16】青地「中田博久/高月 忠/城 春樹/宮地謙吾/大蔵 晶/川口裕子/谷本小代子/田辺節子/遠藤 薫」 中田博久(1943.3.9生)は「河村」役で撮影開始時に満33歳。 高月忠…

朝日新聞名古屋本社社会部『映画風土記』(5)

9月13日付(4)の続き。 上製本『映画風土記』にのみ収録される「記者座談会」の6回めを、202頁から204頁まで、としたのだが、――確かに座談会形式になっているのは204頁までなのだけれども、続く205頁には作家・映画通・映画監督・女優の計4人のコメントが…

朝日新聞名古屋本社社会部『映画風土記』(4)

昨日の続き。 9月11日付(2)に引いた、文庫版「あとがき」211頁4〜13行めが、上製本の当該箇所・4頁1〜3行めに比して具体的になっていると述べたが、これは上製本4頁3〜4行めに「連載中、二カ月ごとに一回、取材の裏話を記者座談会のスタイルで紙面にのせ…

朝日新聞名古屋本社社会部『映画風土記』(3)

昨日からの上製本『映画風土記』の「まえがき」と文庫版『日本シネマ紀行』の「あとがき」の比較の続き。 上製本4頁7〜16行め、 執筆に当たったのは、当時、名古屋社会部と愛知、三重、岐阜県下の支局、通信局に在任し/た次の記者たちです。 井上隆生、菊地…

朝日新聞名古屋本社社会部『映画風土記』(2)

8月28日付(1)の続きで、【上製本】朝日新聞名古屋本社社会部『映画風土記』と【文庫版】現代教養文庫1492『日本シネマ紀行』の比較。 由来は上製本3〜5頁「まえがき」、文庫版211〜212頁「あとがき」に説明されている。 上製本から見て置こう。3頁2〜7行…

水島新司『ドカベン』(5)

・鈴木則文監督『ドカベン』(4) 昨日の続き。 【14】黒地 鷹丘中学柔道部の大会出場の5人と学ランに松葉杖のメガネ(単行本①のカバー絵)*1 以下、現在も俳優として活動している人は少ない(子役としての活動に止まる人物も多い)ようで、当時の文献を漁…

水島新司『ドカベン』(4)

・鈴木則文監督『ドカベン』(3) 8月27日付(3)の続きで、出演者について。 【12】黄色地「山田 太郎/橋本三智弘」悪球を打つ岩鬼と声を掛けながら返球する山田と上手投げの長島「長 島 徹/永島敏行/岩鬼 正美/高品正広」以下のキャストは赤字 以下…

朝日新聞名古屋本社社会部『映画風土記』(1)

・現代教養文庫1492『日本シネマ紀行』 朝日新聞社会部著・1993年6月30日初版第1刷発行・定価505円・社会思想社・212頁日本シネマ紀行 (現代教養文庫)作者: 朝日新聞社会部出版社/メーカー: 社会思想社発売日: 1993/06メディア: 文庫この商品を含むブログ…

水島新司『ドカベン』(3)

8月24日付(1)の続き。 ・鈴木則文監督『ドカベン』(2) 冒頭の朝日奈書店及びドカベン登場のシーンに続いて、「ドカベン」のタイトルロゴ(右下に「映倫」マーク)が出て、アニメと同じ主題歌が、漫画のカラー原画とスタッフ・キャストとともに流れる。…

水島新司『ドカベン』(1)

私は昭和40年代の生れだから、当然『ドカベン』は知っているけれども、本編(?)止まりで『大甲子園』や『プロ野球編』などは読んでいない。『ドカベン』のアニメは小学校低学年のとき、級友がみんな見ていて、私も見ていたのだが、ある日、来客があってテ…

幸田文『おとうと』(2)

先月は下旬に野球場に出掛けて1試合で黒くなったのだが、今月は随分涼しくなってしまった。今週は雨が続く予報で、先週には今日から雨の予報だったので、なるべく溜めてからまとめて洗濯しようと思っていたら、昨日から雨になった。こんなことなら一昨日洗濯…

幸田文『おとうと』(1)

女子高の講師をやっていた時分、毎年卒業式に出席していた。講師は入学式には出席しない。もちろん呼ばれもしないが、卒業式には事務からも声が掛かるのである。 当日は講師も半分くらいは出席して、例えば進学が危ぶまれた生徒についてしみじみと語り合う。…

本多猪四郎監督『ゴジラ』(1)

・『ゴジラ』 昭和29年(1954)11月3日公開ゴジラ [VHS]出版社/メーカー: 東宝発売日: 1991/12/01メディア: VHSこの商品を含むブログ (1件) を見るゴジラ [DVD]出版社/メーカー: 東宝発売日: 2001/02/21メディア: DVD購入: 1人 クリック: 53回この商品を含む…

大澤豊監督『せんせい』(4)

・川村湊『銀幕のキノコ雲――映画はいかに「原子力/核」を描いてきたか』 2017年4月10日第1刷発行・定価2500円・インパクト出版会・261+xxvii頁・四六判並製本銀幕のキノコ雲―映画はいかに「原子力/核」を描いてきたか作者: 川村湊出版社/メーカー: インパ…