瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

柳田國男・尾佐竹猛「銷夏奇談」(4)

昨日の続き。 ・「日本人と想像力」筑摩叢書版255頁上段17行め〜258頁上段4行め→学研M文庫版760頁8行め〜761頁14行め 相当端折られている。筑摩叢書版では前の節「本所の馬鹿囃子」の最後の発言(255頁上段15〜16行め)となっているのが、学研M文庫版760頁…

柳田國男・尾佐竹猛「銷夏奇談」(3)

一昨日からの続きで、筑摩叢書版と学研M文庫版の異同について。 ・「本所の馬鹿囃子」筑摩叢書版253頁上段13行め〜255頁上段16行め→学研M文庫版758頁7行め〜760頁7行め この辺り、学研M文庫版758頁3〜11行めを抜いてみよう。 柳田 矢張り暗示でしょう。吾…

柳田國男・尾佐竹猛「銷夏奇談」(2)

・「お札の降る話」筑摩叢書版251頁上段1行め〜253頁上段12行め→学研M文庫版756頁4行め〜758頁6行め まず柳田氏の「メソジストの牧師」になった「紀州の藩の酒井という人」の「伊勢の松阪」での体験談、芥川氏の「母の話」が語られた後、757頁7〜8行め、 菊…

柳田國男・尾佐竹猛「銷夏奇談」(1)

5月9日付「芥川龍之介「河童」(2)」に引用した「河童」についての発言を含む座談会は、学研M文庫から刊行されていた東雅夫編の「伝奇ノ匣series」の「3」754〜772頁にも収録されていた。 ・『芥川龍之介 妖怪文学館』平成14年 2002年7月15日 初版発行・…

田山花袋『東京震災記』(2)

なお、現代教養文庫版が刊行された平成3年(1991)の、12月に博文館新社から復刻版『東京震災記』が刊行されている。この復刻版には東京大学新聞研究所の廣井脩が解説を書いており、2月26日付「赤いマント(126)にて触れた「廣井アーカイブス」にて、4頁の…

田山花袋『東京震災記』(1)

22日の帰りに図書館に立ち寄ったら夕立で出られなくなった。職場を出るときに北方と東方に積乱雲を目撃していたのだが、油断して置き傘を持たずに出てしまった。それですぐに出て来れば良かったものを、例によってぐずぐずしているうちに、出られなくなって…

夏目漱石『草枕』の文庫本(5)

・岩波文庫31-010-4(1) ①1929年7月5日第1刷発行 ②草枕 (岩波文庫)作者: 夏目漱石出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1990/04/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 29回この商品を含むブログ (53件) を見る③1990年4月16日第76刷改版発行(223頁) ・1991年…

中島京子『小さいおうち』(1)

2013年12月21日付「赤いマント(61)」に示した書影では、単行本と文庫版の地色が違うように見えるが、実物を並べて見るに同じである。但し単行本のカバーは布目であるのに対し、文庫版のカバーはコート紙で、その違いが写りの違いになっているのかも知れな…

松本清張『死の枝』(3)

・新潮文庫2226(3) 昨日の続きで、「家紋」のヒントとなった著作について。但し私が見たのは松本氏が参照した版ではなく、後年改題されたものである。 ・中野並助『犯罪の通路』昭和六十年十月二十五日印刷・昭和六十年十一月十日発行・定価398円・中央公…

松本清張『死の枝』(2)

・新潮文庫2226(2) 2012年10月9日付(1)の続き。 ②71〜102頁③85〜122頁「家紋」の冒頭、1頁めは扉で2頁めは1行分空白、ついで2行取り5字下げで節番号「1」があって、次のような書出しである。②の改行箇所を「/」で、③のそれを「|」で示した。 《或る…

勝海舟の談話(1)

・角川文庫2885『氷川清話』(1) ①昭和四十七年四月三十日初版発行 ・昭和四十七年八月三十日五版発行(380頁)¥240 ② ・平成五年十月三十日四十一版発行(406頁)定価621円氷川清話 (角川文庫) (1972年)作者:勝 海舟,勝部 真長角川書店Amazon 勝部真…

織田作之助「續夫婦善哉」(1)

・岩波文庫31-185-2『夫婦善哉 正続 他十二篇』(1) 夫婦善哉 正続 他十二篇 (岩波文庫)作者: 織田作之助出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/07/18メディア: 文庫この商品を含むブログ (17件) を見る・2013年7月17日第1刷発行(402頁)定価800円 ・201…

山ン本眞樹『怪の壺』(3)

一昨日からの続きで、本体の奥付について。 奥付も同じレイアウトで、子持枠(10.5×8.9cm)の大きさも周囲の火山岩風の石の表面のように見える模様も同じ。子持枠の中は横組みで、初版は25行だったが復刻版は行数が30行に増えている。 1行めは「怪の壺 あや…

山ン本眞樹『怪の壺』(2)

昨日の続きで、本体について。 扉は和紙風の白紙に濃淡ある灰色で、上部にカバー表紙と同じ標題ロゴに、淡い灰色でカバー表紙と同じ髪の毛がカバー表紙より大目に被さる。中央やや下に「山ン本眞樹◆編」◆は「×」に白線が入って◆が4つに分割されている。カバ…

山ン本眞樹『怪の壺』(1)

副題は「あやしい古典文学」で、座敷浪人のサイト「座敷浪人の壺蔵」の怪異談の現代語訳「あやしい古典文学の壺」からの選集。山ン本眞樹(1951.11生)は単行本(四六判並製本)刊行に当たっての筆名。怪の壺作者: 山ン本真樹出版社/メーカー: 学習研究社発…

二葉亭四迷『浮雲』(2)

・新潮文庫279(2) 5月11日付(1)の続き。 本体について、②の諸刷を比較してみるに、214頁まで一致。 ②六十七刷「文字づかいについて」は「六」項目、②七十八刷・八十刷「文字づかいについて」は同版で「四」項目。 奥付の前に目録8頁、うち最後の3頁が…

浅沼良次編『八丈島の民話』(6)

2011年10月28日付(5)の続きは別に用意していたのだが、そのままになってしまった。今回は2011年10月24日付(1)の続きのつもりで、本書の成立事情について①及び④1〜5頁の「昭和四十年七月」付、浅沼良次「はしがき」から関係する記述を拾い、「七人坊主…

芥川龍之介『杜子春』の文庫本(4)

・新潮文庫1806『蜘蛛の糸・杜子春』(4) 4月6日付(3)の続きで、本体の異同について。 ②は扉から「文字づかいについて」(「六」項目)まで一致*1。 これに続く目録について、まず高松氏のカバーの諸刷を比較して見るに、②三十九刷・五十三刷・五十五刷…

柳田國男『遠野物語』(03)

2011年6月12日付(02)の続きで、2011年6月14日に書いてそのままにしていたのだが、もうそろそろ続きを書きたいと思って、本文には手を加えずに、補足・修正は注に【追記】として上げて置くこととした。 * * * * * * * * * * 明治41年(1908)から…

徳冨蘆花『不如歸』の文庫本(1)

・岩波文庫31-015-1『小説 不如帰』(1) ①1938年7月1日第1刷発行 ②1971年4月16日第34刷改版発行(229頁) ・1977年5月10日第41刷発行 ¥200 *1 ・1986年6月20日第50刷発行 定価400円 ・1987年10月15日第52刷発行 定価400円 ・1988年5月16日第53刷発行 定価…

二葉亭四迷『浮雲』(1)

・新潮文庫279(1) ①昭和二十六年十二月十五日発行 ②昭和四十三年九月十五日三十四刷改版(214頁) ・昭和五十四年六月五日五十三刷 定価200円*1 ・昭和六十年六月二十五日六十六刷 定価240円 ・昭和六十年九月二十日六十七刷 定価240円 ・平成五年七月十…

鉄道人身事故の怪異(09)

5月6日付(08)の続き。 小池氏は「中川鉄橋」の「追ってくる屍体」について説明する前に、145頁3〜9行め、下山事件(1949)や三河島事故(1962)、それから沿線で起きた首都圏女性連続殺人事件(1968〜1974)、女子高生コンクリート詰め殺人事件(1989)、…

芥川龍之介「河童」(2)

だから「よんでください」という記憶自体は間違いとは言えないので、実のところは「河童」の文字を「カッパと読んで下さい」という、発音の指定なのであった。しかしながら、家人は「読んで」ではなく「呼んで」と発音したので、何時しか「発音して」が「読…

芥川龍之介「河童」(1)

昨年の12月21日に第82回全日本フィギュアスケート選手権の男子ショートプログラムの中継を見ていたら、次の選手の演技の最後の、決め(?)ポーズのところ*1で、家人が、 「どうかカッパと呼んでください」 と言って笑ったのである。 私は、度々言及している…

太宰治『走れメロス』の文庫本(11)

・角川mini文庫180『走れメロス』平成11年8月25日初版発行・定価200円・127頁走れメロス (角川mini文庫 (180))作者: 太宰治出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1999/08メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 11.2×8.7cm、並製本のペーパーバック。 角川mi…

鉄道人身事故の怪異(8)

昨日の続き。 ここまで小池壮彦『東京近郊怪奇スポット』64〜65頁について確認して見ました。この時点では轢断後も生存していた「事実」談として「野方の踏切」事故を位置付けようとしていたのでしたが、14年後の『日本の幽霊事件』では、そのようなことはあ…

鉄道人身事故の怪異(7)

昨日の続き。 小池氏は、この手の「伝説」がこれほどまでに流布したのは、「事実」あった事故に拠っているからだと考えているのですが、『東京近郊怪奇スポット』の時点では、その「事実」を「野方の踏切」事故と考えていたので、いろいろな理屈を付けて、こ…

鉄道人身事故の怪異(6)

一昨日からの続きで、今回からしばらく、小池氏の「追ってくる屍体」について、『日本の幽霊事件』143頁に「その当時のことだが、私は東京の西武新宿線にある野方という駅に近い踏切で、この伝説のもとになったような出来事が起きたという話を本に書いたこと…

鉄道人身事故の怪異(5)

昨日の続きで小池壮彦『日本の幽霊事件』の「追ってくる屍体」について。 小池氏は導入として稲川怪談を2つ紹介してから、この手の話の解説に入ります。143頁10行め〜144頁8行め、 ‥‥。「追ってくる上半身」という話は、実に多くの人/の記憶の中に棲むらしい…

鉄道人身事故の怪異(4)

4月23日付(3)の続き。 この、列車により下半身を轢断された上半身が這って追って来る、という話は、小池壮彦『日本の幽霊事件(幽BOOKS)』(2010年7月16日初版第一刷発行・定価1300円・メディアファクトリー・238頁・四六判並製本)でも取り上げられてい…