瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

昭和史

反町茂雄『一古書肆の思い出』(3)

・『一古書肆の思い出5 賑わいは夢の如く』一九九二年 六 月 五 日 初版第一刷発行・口絵+ⅲ+目次+400+15頁一古書肆の思い出 (5) 賑わいは夢の如く作者:反町 茂雄平凡社Amazon・平凡社ライブラリー 277『一古書肆の思い出 5 賑わいは夢の如く』1999年1…

反町茂雄『一古書肆の思い出』(2)

本書の版元は平凡社で、まづ四六判上製本で、次いで平凡社ライブラリー(ライブラリー判・並製本)で再刊された。 ・『一古書肆の思い出1 修業時代』一九八六年 一 月十四日 初版第一刷発行・定価 三〇〇〇円・ⅳ+目次+401+12頁一古書肆の思い出 (1) (修…

竹中労の前半生(05)

昨日取り上げた備仲臣道『美は乱調にあり、生は無頼にあり』については、194~196頁「参考文献」と各章末の「注」、そして197~208頁、備仲臣道編「竹中英太郎年譜」にまだ触れておりませんが、これは他の2冊の竹中英太郎の伝記と比較しながら取り上げること…

竹中労の前半生(04)

2006年は竹中英太郎生誕100年になるので、伝記が2点刊行されている。順序として、先に刊行されたものから見て置こう。美は乱調にあり、生は無頼にあり―幻の画家・竹中英太郎の生涯作者:備仲 臣道批評社Amazon・ 備仲臣道『美は乱調にあり、生は無頼にあり 幻…

竹中労の前半生(03)

・竹中労 編『百怪、我ガ腸ニ入ル―竹中英太郎作品譜―』(2) 紬風のエンボスで淡い紫色の見返し(遊紙)は横に縞目を出していましたが、扉は黒で見返しよりも少し厚く、表は紬風のエンボスの縞目を縦にして、裏地は平滑で14行(1行43字)のリード文を青白い…

竹中労の前半生(02)

さて、ある人物の経歴、特に生年(月日)に関わる前半生を考証するためには、その家族の検討も不可欠となります。 竹中氏の場合、その父親が竹中英太郎(1906.12.18~1988.4.8)と云う、昭和初期の探偵小説の「幻の挿絵画家」として知られる(?)人物なので…

竹中労の前半生(01)

竹中労の赤マント流言体験を(ごく僅かな記述ですが)取り上げようと思って検討を始めてすぐに、竹中氏の生年月日が明確にされていない、と云う事実に突き当たりました。 私はこういう体験を検討する際には、年齢・学年・場所を押さえて置きたいと思っておる…

道了堂(119)

・Wikipedia「道了堂跡」項の修正 以前から私は Wikipedia「道了堂跡」項の記述には問題があると思っておったのですが、2022年5月16日付(054)に述べたように、2022年5月10日に為された加筆を切っ掛けにして、下線を引いた箇所(Wikipedia では点線で表示)…

赤いマント(364)

昨日の続き。 ・關寛之『日本児童宗教の研究』(6) 赤マント流言の時期は、長らく明確にされていなかった。年表類にも載せていないものが多い。 当ブログで拾い集めて来たように、少なからぬ数の体験者が回想を残している。正しい時期(?)に回想している…

赤いマント(363)

昨日の続き。 ・關寛之『日本児童宗教の研究』(5) 本書の中に赤マント流言のことはもう1箇所、この「E 迷 信 の 傳 播」の章の結論を述べた、三四〇頁2行め~三四三頁5行め「5 迷信の傳播に關する學説の批判」の節の最後に、持ち出されている。この節は…

赤いマント(362)

昨日の続き。 ・關寛之『日本児童宗教の研究』(4) 次に来るのは、三三四~三三八頁「3 宗教及び傳承の傳播の文獻的研究」で、「序説」の「研究の範圍」では「民族的研究―その穩和傳播型―」の次にあった「民族的研究―その急激傳播型―」は、飛ばされた恰好…

赤いマント(361)

一昨日からの続き。 ・關寛之『日本児童宗教の研究』(3) この研究の目的、経過、調査方法、調査対象、期間等は三~九九頁「序説」に説明されている。 当初、この「序説」の内容についても細かく確認する必要があると思って、それが私をして本書を取り上げ…

赤いマント(360)

昨日の続き。 ・關寛之『日本兒童宗教の研究』(2) 関寛之(1890.12.3~1962.12.23)の伝記については、当時筑波大学大学院博士課程芸術学研究科芸術学専攻の大学院生だった茨城大学教育学部学校教育教員養成課程教科教育コース美術教育教室教授・向野康江…

赤いマント(359)

昨日見た「大日」第二百三十四號掲載の水島爾保布「巢鴨より」の続きは、別の流言の紹介になる。赤マント流言そのものには特に戦時色は指摘出来ないが、続いて紹介される2種類の流言は戦時色を色濃く湛えている。思い当たる資料及び先行研究の全てに目を通す…

赤いマント(358)

昨日の続き。 ・「大日」第二百三十四號(昭和十五年 十 月廿八日 印刷納本・昭和十五年十一月 一 日 發 行・定 價 金 參 拾 錢・八二頁) 七五~七六頁*1、水島爾保布「巢鴨より」は全体が流言を扱ったものとなっている。冒頭から中段13行めまで抜いて置こ…

赤いマント(357)

水島爾保布(1884.12.8~1958.12.30)のことは、次の文庫本で知っているだけだった。人魚の嘆き・魔術師 (中公文庫 た 30-11)作者:谷崎 潤一郎中央公論新社Amazon だから随筆家であったことも知らなかったのだが、昭和6年(1931)2月15日創刊、昭和20年(194…

赤いマント(356)

・『新聞活殺劔』第三篇(昭和十四年十一月二十七日印刷・昭和十四年十二月 一 日發行・【定價金壹圓】・精華書房・297頁) 表紙には朱で銅器の拓本の如き絵、文字は右からの横書きの毛筆楷書で上部の子持枠に「劔殺活聞新/生 鱈 愚」中央揃え、恐らく標題…

赤いマント(355)

・前田鐵之助 編纂『全日本詩集』2/第二卷/昭和十四年度/1939版(昭和十四年八月十日印刷・昭和十四年八月廿日發行・定 價 壹圓八拾錢・詩洋社(発賣所 上田屋書店)・328頁 前田鐵之助(1896.4.1~1977.11.18)編纂、詩洋社版『全日本詩集』は昭和1…

赤いマント(354)

・松原寛 編輯「新生活」第四卷 第六號/六月號(昭和十四年五月 五 日印刷・昭和十四年五月十八日發行・誌代 貳拾錢・新生活社・66頁) 27頁、吉田三代治「都市教室(自由律短歌)」最後の7首めが、 TOKYO 燻製の空の知性 ヒラヒラ赤マントなど 羽搏い…

赤いマント(353)

・川柳きやり吟社「川柳きやり」第二十卷第五號/―214― /五月號(昭和十四年 四 月廿五日印刷納本・昭和十四年 五 月 一 日 發 行・定價 金二十五錢・52頁) 川柳きやり吟社は大正9年(1920)4月に村田鯛坊が設立した川柳の結社で2020年4月に100周年を迎…

赤いマント(351)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(6)生年月日⑯ 続いて136頁5行め、「 教師に対しても反抗的だった。小学五年生の時、新校舎が落成した。‥‥」以下、労少年が起こした2つの事件を紹介する。 小学5年生であれば父・竹中英太郎に引き取られた後、鮫浜小学校…

赤いマント(350)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(5)生年月日⑮ 大体無計画に(全く無計画と云う訳ではないが)書いているので2月10日付(346)に触れた「青春遊泳ノート」を取り上げるのが遅くなってしまった。 この「漫画アクション」の連載、『青春遊泳ノート』に収…

赤いマント(349)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(4)生年月日⑭ 昨日「対決・硬骨の二人」に触れて、竹中英太郎が長男・労が「昭和五年生まれ」と明言するところは引用されていないと述べたが、この対談について述べた箇所には、なかなか興味深い記述がある。167頁9~13…

赤いマント(348)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(3)生年月日⑬ 昨日の続きで、木村氏が昭和3年(1928)生説を採用せず、昭和5年(1930)生説に従った理由を見て置こう。 82頁1~2行め「‥‥、初めての訪沖のことは「メモ・沖縄/一九六九」に次のように記されている。」…

赤いマント(347)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(2)生年月日⑫ 昨日の続きで、年齢に関する記述を見て置こう。 木村氏は「はじめに」で、7頁3~4行め「‥‥、一九九一年(平成三年)に六十歳でこの世を去った。」とする。8頁2~4行め、 竹中さんの本名は「労」だが、通称…

赤いマント(346)

続いて、1月24日付(338)に引いた鈴木邦男『竹中労』に、鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』とともに挙がっていた「父親の本」を取り上げようと思ったのだが、その前に『風のアナキスト』と同じ版元から出た、やはり竹中労と一緒に仕事をした経験のある人の…

赤いマント(345)

・鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』(4)生年月日⑪ 昨日の続き。 さて、鈴木氏は続く「レポート1/竹中労のアナキズム」にて、恐らくこの本人による「臍の緒書き」に従って、昭和3年生として竹中氏の年齢を整理する。33頁2~3行め、 三十九歳(六七年)、…

赤いマント(344)

・鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』(3)生年月日⑩ 昨日の続きで、本書から竹中労の生年(月日)に関係する記述を抜いて置こう。 まづ「序 竹中労の語り口」、8頁3~4行めに、 竹中労の演説を初めて聞いたのは、七三年五月の神田共立講堂「大演説会」。お…

赤いマント(343)

・鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』(2)生年月日⑨ 1月24日付(338)に引いた鈴木邦男『竹中労』に「竹中労については、ともかく詳しいし、何でも知っている」と云う鈴木義昭の書いた「竹中労の本」、先月中旬には借りていて、竹中氏の年齢に関わりそうな…

道了堂(117)

昨日取り上げた柴田隆行 編集兼発行「片倉の自然」及びその臨時増刊号「絹の道―歴史と自然―」から、道了堂に関する記述を抜いて置こう。但し昨年12月に僅かな時間に取ったメモに基づいているので、誤りがあるかも知れない。かつ、もう少し他の項目についても…