瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

岡野玲子『ファンシイ ダンス』(1)

平成元年(1989)12月23日公開の周防正行監督映画「ファンシイ ダンス」については、2017年4月17日付「周防正行『シコふんじゃった。』(5)」に触れました。当時、貼付出来なかった関連商品を上げて置きましょう。 ・パンフレット 映画パンフ「ファンシイ…

昭和50年代前半の記憶(7)

これまで、昭和50年(1975)7月から昭和55年(1980)3月まで私が過ごした場所を「地方都市」として来た。2018年3月28日付「回想の目録(1)」にて「中部地方某市」としたのだけれども、もう40年も前のことであり、7月3日付(6)に述べたような恥ずかしい思…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(46)

堤邦彦「「幽霊」の古層」(2) 昨日の続きで、「二 江戸怪談の影響力」の章の3節め「亡霊と旅する男」*1について、細かく見て置きましょう。197頁29〜31行め、 文芸から口碑への変遷という視点から、今ひとつの事例に目を向けてみたい。第/二の話は山村民…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(45)

・堤邦彦「「幽霊」の古層」(1) 堤邦彦が「ゆうれい【幽霊】」項を担当した小松和彦監修『日本怪異妖怪大事典』が刊行された4ヶ月後、2013年11月25日から27日に掛けて、後に小松和彦 編『怪異・妖怪文化の伝統と創造──ウチとソトの視点から/――国際研究集…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(44)

・小松和彦編『日本妖怪学大全』(2) 昨日の記事に書いて置くべきでしたが、小松和彦「あとがき」を見るに、堤邦彦はこの共同研究のメンバーではありません。ゲストスピーカーとして第一四回*1に「江戸時代人のオソレ感覚――怪談の位相」と題する発表を行っ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(43)

・小松和彦編『日本妖怪学大全』(1) 日本妖怪学大全作者: 小松和彦出版社/メーカー: 小学館発売日: 2003/03メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見る・2003年4月20日 第1版第1刷発行・定価4,800円・小学館・677頁・A5判上製本…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(42)

・小松和彦監修『日本怪異妖怪大事典』(2) 昨日の続きで、堤邦彦執筆「ゆうれい【幽霊】」項から、この系統の話に関連する解説文を抜いて置きましょう。 堤氏は、582頁上段19〜21行め「今日の民俗社会で語られる幽/霊話」のルーツとして、まづ「説教僧の…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(41)

昨日の続き。 ・小松和彦監修『日本怪異妖怪大事典』(1) この事典は項目を名称で細分化せずに大きく現象で捉えています。話型索引ではないので話の展開によってさらに項目分けするようなこともしていません。従ってこの話は、堤邦彦執筆の「ゆうれい【幽…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(40)

・朝里樹『日本現代怪異事典』(3) 昨日*1引いた粗筋に対する朝里氏のコメントを見て置こう。78頁下段9行め〜79頁上段3行め、 これは妻を殺した夫の話よりさらに古/くから語られているようで、小松和彦監/修『日本怪異妖怪大事典』によれば、山/村民俗…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(39)

・朝里樹『日本現代怪異事典』(2) 8月18日付(35)の続き。 78頁中段21行め〜下段8行め、 また殺した人間を背中に背負っているこ/とに子どもが気付く怪談には他に、温泉宿【中段】などに現れた客をその宿の主人の子があま/りに怖がるので、宿から出てい…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(38)

・日本の現代伝説『ピアスの白い糸』(3) 昨日の続きで、大島広志「Ⅳ 家族」の3節め「父の背中」の最後を見て置こう。 昨日見た「〔参考〕背中に殺した女」には、特にコメントはない*1ように見えるが、続く全体の纏めのコメントに、効かしてある。171頁15…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(37)

・日本の現代伝説『ピアスの白い糸』(2) 昨日の続きで、大島広志「Ⅳ 家族」の3節め「父の背中」に、171頁3行め「〔参考〕背中に殺した女」として添えられている「蓮華温泉の怪話」のヴァリエイションを見て置こう。4行めから13行めまで、上に話の引用を示…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(36)

・日本の現代伝説『ピアスの白い糸』(1) 昨日の続きで、大島広志「Ⅳ 家族」の3節めの例話は、166頁14行め「父の背中」と云う題で、167頁6〜7行めに「〔出所〕報告者は、東京の専門学校の女子学生。妹に聞いた話を大島にレポートとして提出。(大/島広志編…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(35)

それでは、8月8日付(27)及び8月15日付(34)に触れた、灰月弥彦(及び東雅夫)のtweetにより教えられた「おんぶ幽霊」について、確認して置こう。 ・朝里樹『日本現代怪異事典』(1) 本書の書影は3月13日付「田中康弘『山怪』(2)」に貼付し、5月30日…

笠原和夫『大日本帝国』(1)

年度替りの頃に図書館の棚で見掛け、先年、同じ監督・脚本の『二百三高地』をDVDで見たところであったので、それほど期待せずに借りて見た。――母が五木ひろし(1948.3.14生)のファンで、演歌の番組をよく見ていたから、主題曲は何度も聞いたことあるが、映…

中学の修学旅行(1)

・京都旅行会館(1) 私の中学は所謂マンモス校で、1学年が12クラス500人であった。それでも私の入学した年に学区のうち電車通学が許可されていた辺りに中学が新設されたから減ったので、それまでは16クラスで全校生徒2000人であったのである。 そうすると…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(34)

・白銀冴太郎「深夜の客」(10) 8月8日付(27)の最後に引用した、東雅夫のtweetは、灰月弥彦と云う人のtweetに応じてのものであった。 灰月弥彦の2018年1月24日21:19のtweetは、まさに「『日本現代怪異事典』の「おんぶ幽霊」の件」に触発されて呟かれたも…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(33)

・白銀冴太郎「深夜の客」(9) ここ数日、8月8日付(27)に引いた、東雅夫がtwitterで示した①白銀冴太郎②杉村顕道同一人説、及び8月11日付(30)に引いた、岡本綺堂「木曾の旅人」との関係についての東雅夫の示唆に導かれて、①「深夜の客」及び②「蓮華温泉…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(32)

・白銀冴太郎「深夜の客」(8) 昨日の続きで、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の比較の最後。構成については8月7日付(26)に対照させてある。 【L】男の述懐 ①一九八頁1〜7行め 痴情ゆえに女を殺した彼は糸魚川警察署でおびえなが…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(31)

・白銀冴太郎「深夜の客」(7) 8月10日付(29)の続きで、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の比較。構成については8月7日付(26)に対照させてある。 【J】巡査による男の捕縛と説明 ここも全文を抜いて対照して置こう。①一九六頁4…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(30)

・白銀冴太郎「深夜の客」(6) 一昨日からの続きで、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の比較を最後まで済ませるつもりだったのだけれども、前回、事実尊重と云う点を問題にしたので、今回はこの点をもう少々詰めて置こうと思う。 『…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(29)

・白銀冴太郎「深夜の客」(5) 昨日からの、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の比較の続き。構成については8月7日付(26)に対照させてある。 【E】泣き、怯える子供 【F】吠える二匹の犬 【G】主人の疑いと行動〜狐・鉄砲 【H】…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(28)

・白銀冴太郎「深夜の客」(4) 前回の最後に触れた灰月氏のtweetから朝里樹『日本現代怪異事典』に及んでも良いのだが、その前に8月7日付(26)の続きで、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」を、頭からざっと比較して見よう。 【A】導…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(27)

・白銀冴太郎「深夜の客」(3) 昨日の続きで『山怪実話大全』の編者東雅夫が、白銀冴太郎「深夜の客」と杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の関係をどう捉えているのか、確認して置こう。 『山怪実話大全』の「編者解説」では、8月6日付(25)に引用した箇所に続…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(26)

・白銀冴太郎「深夜の客」(2) 昨日の続きで、『山怪実話大全』の東雅夫「編者解説」が「奇妙な相似形を成す」とする白銀冴太郎「深夜の客」と杉村顕道「蓮華温泉の怪話」について、確認して見よう。本文は『山怪実話大全』により、一九〇〜一九八頁「深夜…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(25)

・白銀冴太郎「深夜の客」(1) 昨日の続きで、東雅夫が『山怪実話大全』にて新たに紹介した2作品のうち、白銀冴太郎「深夜の客」について。 『山怪実話大全』の「編者解説」には、当ブログへの言及があるのだけれども、東氏の紹介によってアクセスが増えた…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(24)

3月18日付「田中康弘『山怪』(5)」に関連本として取り上げた、東雅夫 編『山怪実話大全 岳人奇談傑作選』には、3月30日付「田中康弘『山怪』(8)」に示したように、「蓮華温泉の怪話」と、岡本綺堂「木曾の旅人」の導入部に使われている「木曾の怪物」…

高濱虚子「杏の落ちる音」(3)

7月6日付(1)に、小田光雄のブログ「出版・読書メモランダム/出版と近代出版文化史をめぐるブログ」の2014-08-18「古本夜話414 高浜虚子「杏の落ちる音」と内田魯庵「『杏の落ちる音』の主人公」」の疑問箇所を引いて置いた。 残念ながら、「杏の落ち…

Paul Heyse “L’Arrabbiata” (3)

・岩波文庫2999―3000『改訳 片意地娘 他三篇』(1) 第一六刷を第19刷と比較して見た。第19刷については2017年6月16日付(2)に第18刷と比較しつつメモしている。 第一六刷は現行の分類番号ではなく★の番号になっている。すなわち本書は「定価★★」で、岩波…

北村薫『いとま申して』(1)

慶應義塾大学文学部国文科で折口信夫(1887.2.11〜1953.9.3)に師事した宮本演彦(1909.3.29〜1992.8.17)の日記を元に、息子の宮本和男――小説家北村薫(1949.12.28生)が書いた史伝小説の3部作。四六判上製本。 ①『いとま申して 『童話』の人びと』 『童話…