瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

改版

祖母の蔵書(50)池波正太郎⑤

・文春文庫『鬼平犯科帳』 2022年8月5日付(18)に取り上げた(四)までの4冊の続きは、応接間の隅の簞笥の中に収まっていた。 142―9(五)1978年5月25日 第1刷・1979年12月15日 第3刷・定価 300円・286頁鬼平犯科帳 (5) (文春文庫)作者:池波 正太郎文藝…

祖母の蔵書(49)池波正太郎④

2022年8月26日付(33)に、応接間の隅にある簞笥での発見を報告した文庫版『鬼平犯科帳』の揃いだが、まづ1段め(最上段)に入っていたものについて見て置こう。背を上にして、きちんと詰めない状態で並べてあったので撓んでいたのだが、しばらく横にして積…

赤堀又次郎伝記考証(49)

ここで、反町茂雄が「辞書のはなし」で赤堀氏旧蔵『文明六年本節用集』の信頼すべき評価として引いていた、次の本を見て置こう。 ・川瀬一馬『古辭書の研究』大日本雄弁会講談社・口絵+四+三二+九五七頁 国立国会図書館デジタルコレクションでは何故か奥…

赤堀又次郎伝記考証(47)

・赤堀又次郎の歿年(2) 前回稿の後半の主要部分は2月22日付「赤いマント(357)」と同時に書き上げていた。そのまま投稿しても良かったのだが、2ヶ月半かかってしまった。 2月下旬は84年前に赤マント流言が東京市を席捲した時期なので、国立国会図書館デ…

赤堀又次郎伝記考証(42)

さて、赤堀氏の伝記的な研究としては4月20日付(30)に列挙したブログ記事のうち【⑨書物蔵】が引用する石井敦 編著『簡約日本図書館先賢事典(未定稿)』の「赤堀又次郎」項が簡略ながら先駆的なもので、次いで2011年にブログ記事【⑦書物蔵】2011-06-30「赤堀…

赤堀又次郎伝記考証(38)

・『書物通の書物随筆』第一巻『赤堀又次郎『読史随筆』』(8) 佐藤哲彦「解題」の「赤堀又次郎について」の検討の続き。しばらくブログ記事に言及していなかったが、当記事では4月20日付(30)に与えた整理番号により、これにHNを添えた4月21日付(31)…

赤堀又次郎伝記考証(34)

昨日の続き。 ・『書物通の書物随筆』第一巻『赤堀又次郎『読史随筆』』(5) 佐藤哲彦「解題」の「赤堀又次郎について」は、続いてⅱ頁5~15行め、古典講習科について説明する。これは石井敦 編著『簡約日本図書館先賢事典(未定稿)』の「赤堀又次郎」項に拠…

赤堀又次郎伝記考証(33)

・『書物通の書物随筆』第一巻『赤堀又次郎『読史随筆』』(4) 昨日及び一昨日の続き。 国立国会図書館デジタルコレクションは『国語学書目解題』を2つ公開しているが、どちらも改装本らしく元の表紙がどうなっていたかが分からない。扉に「東京帝國大學御…

赤堀又次郎伝記考証(31)

・『書物通の書物随筆』第一巻『赤堀又次郎『読史随筆』』(3) 昨日の続きで、しばらく佐藤哲彦「解題」の「赤堀又次郎について」の出典(及び直接の依拠資料)について確認することとしたい。昨日列挙したブログ記事については【①空山】の如く、記事公開…

赤堀又次郎伝記考証(30)

・『書物通の書物随筆』第一巻『赤堀又次郎『読史随筆』』(2) さて、4月16日付(26)に佐藤哲彦「解題」の「赤堀又次郎について」の最初と最後を抜いて、HN「神保町のオタ」のブログ「神保町系オタオタ日記」とHN「書物蔵」のブログ「書物蔵 古本オモシロ…

赤堀又次郎伝記考証(29)

昨日の続き。 ・石井敦 編著『簡約日本図書館先賢事典(未定稿)』(3) もちろん、石井氏は不完全であることを謙退しつつも、4頁23~25行め「‥‥,/今回のチャンスに,少しでも多くの研究者に役立てば,/と,全くの未定稿のままだけれど,お贈りすることに…

赤堀又次郎伝記考証(27)

昨日の続き。 ・石井敦 編著『簡約日本図書館先賢事典(未定稿)』1995年3月30日 初版発行・非売品・石井敦(横須賀)・150頁・新書判並製本 石井敦(1925.9.20~2009.5)は「近代日本図書館史研究の先駆者」なのだそうだが、ネットで検索すると書籍通販サイト…

赤堀又次郎伝記考証(26)

3月28日付(07)に触れた、書誌書目シリーズ(97)『書物通の書物随筆』全8巻*1のうち、赤堀氏の著作2点を借りて来た。 ・宮里立士/佐藤哲彦[編集・解題] 書誌書目シリーズ(97)『書物通の書物随筆』ゆまに書房・A5判上製本 ・第一巻『赤堀又次郎『読史随筆』…

赤堀又次郎伝記考証(06)

今日は市谷加賀町二丁目、そして早稲田南町への転居について筆を及ぼすつもりであったが、もう少々それ以前の学歴・職歴・住所に関する資料を漁って置きたい。 ・『東京帝国大学一覧』 「大学一覧」は大学の年間予定、沿革、法令、規程、在職の教員と在学生…

赤堀又次郎伝記考証(2)

昨日の続き。 ・赤堀又次郎『御即位及大嘗祭』大正三年三月 十 日印刷・大正三年三月十五日發行・大八洲學會 ・赤堀又次郎『御即位及大嘗祭』大 正 三 年 三 月 十 日 印 刷・大 正 三 年 三 月十五日 發 行・大 正 四 年 五 月 二 日 再版印刷・大 正 四 年…

反町茂雄『一古書肆の思い出』(5)

反町氏の死により本書は未完に終わったが、続いて何が書かれるはずだったのかは、青木正美 作成「反町茂雄年譜」の昭和28年(1953)以後を辿って行けば、その大概を察することが出来る。 かつ、そこで書かれるはずだった内容も、反町氏は著述活動も活発に行…

反町茂雄『一古書肆の思い出』(4)

・奥付裏の目録 編成は第一巻『修業時代』の「おわりに」では全四巻、それが第三巻『古典籍の奔流横溢』の「首に」で、当初『古典籍の奔流横溢』に予定していた内容をもう1冊、第四巻『激流に棹さして』にも回し、当初、最終第四巻に予定していた『賑わいは…

反町茂雄『一古書肆の思い出』(3)

・『一古書肆の思い出5 賑わいは夢の如く』一九九二年 六 月 五 日 初版第一刷発行・口絵+ⅲ+目次+400+15頁一古書肆の思い出 (5) 賑わいは夢の如く作者:反町 茂雄平凡社Amazon・平凡社ライブラリー 277『一古書肆の思い出 5 賑わいは夢の如く』1999年1…

反町茂雄『一古書肆の思い出』(2)

本書の版元は平凡社で、まづ四六判上製本で、次いで平凡社ライブラリー(ライブラリー判・並製本)で再刊された。 ・『一古書肆の思い出1 修業時代』一九八六年 一 月十四日 初版第一刷発行・定価 三〇〇〇円・ⅳ+目次+401+12頁一古書肆の思い出 (1) (修…

柴田隆行『片倉の自然』(7)

図書館 OPAC で検索するに、本書には①1980年版②1982年版③1987年版の3版があることが分かるのですが、1月に取り上げたときには②を見ていませんでした。1月17日付(1)に図書館 OPAC の情報、それから③の「改訂版あとがき」が「一九八二年一二月」付であると…

赤いマント(365)

・山口瞳『男性自身』(3) 2月3日付(341)に山口瞳の生年月日と学年について確認し、2月4日付(342)に『男性自身シリーズ』に見える、赤マント流言に触れた2箇所の短い記述を取り上げた。 2月3日付(341)では、P+D MAGAZINE「【山口瞳電子全集】生誕90…

竹中労の前半生(06)

・ 備仲臣道『美は乱調にあり、生は無頼にあり』(2) 昨日引用した、鈴木義昭『夢を吐く絵師 竹中英太郎』の、鈴木氏と竹中英太郎の次女で湯村の杜・竹中英太郎記念館の竹中(金子)紫館長の対談で、鈴木氏には竹中労の描いた「フィクション」の竹中英太郎…

竹中労の前半生(04)

2006年は竹中英太郎生誕100年になるので、伝記が2点刊行されている。順序として、先に刊行されたものから見て置こう。美は乱調にあり、生は無頼にあり―幻の画家・竹中英太郎の生涯作者:備仲 臣道批評社Amazon・ 備仲臣道『美は乱調にあり、生は無頼にあり 幻…

赤いマント(352)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(7)生年月日⑰ 木村氏は昭和5年(1930)生説を採っているけれども、最後の「第十二章 別れの音楽会」でも、196頁6~7行め、 冒頭にも書いたが、私が竹中労さんと初めて出会ったのが二十五歳の時。その時、竹中さんは/三…

赤いマント(346)

続いて、1月24日付(338)に引いた鈴木邦男『竹中労』に、鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』とともに挙がっていた「父親の本」を取り上げようと思ったのだが、その前に『風のアナキスト』と同じ版元から出た、やはり竹中労と一緒に仕事をした経験のある人の…

赤いマント(341)

・山口瞳『男性自身』四六判並製本 山口瞳(1926.1.19~1995.8.30)も赤マント流言についてそのエッセイ『男性自身』で触れている。 ・男性自身シリーズ1『男性自身』昭和 四 十 年 七 月二十日発 行・昭和 六 十 年 五 月二十日二十一刷・定 価 八八〇円・…

赤いマント(338)

・鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』(1)生年⑧ 昨日まで生年月日や幼少期の回想に限ってその記述を拾って見た鈴木邦男『竹中労』124頁11~13行めに、次のように触れてある鈴木義昭(1957生)の本も借りてみた。 ‥‥、鈴木義昭さんは、竹中労の本、それに父…

赤いマント(337)

・鈴木邦男『竹中労』(2)生年月日⑦ 91~141頁「第三章 群れるから無力なのだ」の後半、鈴木氏が東郷健の芝居を襲撃した事件についての鈴木氏を始めとする当事者たちの記憶の食い違いは、回想と云うものが如何に信用ならないものであるかの好例として興味…

柴田隆行『片倉の自然』(5)

一旦切り上げるに際し、幾つか気になったところをメモして置こう。 ・①48頁5行め③48頁1行め「宮沢賢二」は「宮沢賢治」。 ・①50頁11~12行め③50頁7~8行め「‥‥思い返した(ただ残念なことに、この雑木林も近日|中に私立高校/建設の為*1、姿を消すそうだ)…

柴田隆行『片倉の自然』(4)

柴田氏の出身地は①38頁8~9行め③39頁2~3行め「‥‥、多摩川辺り*1|で子供時代/を過した私にとっては、*2旧知のもので、今でもこの声を聞くと少年の日々を|思い出す。」とあるが、①56頁1~8行め③55頁12行め~56頁5行め、 片倉に越して来てから、夏の楽しみ…