瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

改版

赤いマント(337)

・鈴木邦男『竹中労』(2)生年月日⑦ 91~141頁「第三章 群れるから無力なのだ」の後半、鈴木氏が東郷健の芝居を襲撃した事件についての鈴木氏を始めとする当事者たちの記憶の食い違いは、回想と云うものが如何に信用ならないものであるかの好例として興味…

柴田隆行『片倉の自然』(5)

一旦切り上げるに際し、幾つか気になったところをメモして置こう。 ・①48頁5行め③48頁1行め「宮沢賢二」は「宮沢賢治」。 ・①50頁11~12行め③50頁7~8行め「‥‥思い返した(ただ残念なことに、この雑木林も近日|中に私立高校/建設の為*1、姿を消すそうだ)…

柴田隆行『片倉の自然』(4)

柴田氏の出身地は①38頁8~9行め③39頁2~3行め「‥‥、多摩川辺り*1|で子供時代/を過した私にとっては、*2旧知のもので、今でもこの声を聞くと少年の日々を|思い出す。」とあるが、①56頁1~8行め③55頁12行め~56頁5行め、 片倉に越して来てから、夏の楽しみ…

柴田隆行『片倉の自然』(3)

2022年2月27日付「八王子事典の会 編『八王子事典』(12)」に参照した、科学技術振興機構のデータベース型研究者総覧「researchmap」の「柴田 隆行/シバタ タカユキ (Takayuki Shibata)」項は、現在(更新日: 2022/09/19)となっている。柴田氏の所属は「…

柴田隆行『片倉の自然』(2)

①1980年初版と③1987年改訂版の比較。細かい改訂が多いので、まづは時期についての処理を拾って置こう。改行位置は①「/」③「|」で示した。 なお、この間に挟まる②1982年改訂版は未見だが、昨日の最後に述べたように、③は②をほぼそのまま増刷したもののよう…

柴田隆行『片倉の自然』(1)

著者の柴田隆行(1949~2021.11)は『八王子事典』の編著者「八王子事典の会」の結成当初からのメンバーであった。 同じく「八王子事典の会」結成当初からのメンバーである相原悦夫の著書、かたくら書店新書51『随想 春秋一会 私の人ごよみ』の記述に拠りな…

『稲川淳二の恐怖がたり』(4)

・竹書房文庫『ライブ全集①'93〜'95 稲川淳二の恐怖がたり〜祟り〜』(4) 本書に載る話のうち、既に検討を始めている首なし地蔵と淡谷のり子の体験談については、別記事にて検討する予定である。今、他の話について細かく検討する余裕はない。ここでは差当…

『稲川淳二の恐怖がたり』(3)

・竹書房文庫『ライブ全集①'93〜'95 稲川淳二の恐怖がたり〜祟り〜』(3) さて、本書に関しては2022年12月28日付「『稲川淳二のすご~く恐い話』(6)」に触れたように、刊行当時本書を見た中山市朗が、自分の話が使われ、かつ話の提供者と云う扱いになっ…

道了堂(116)

昨日の続き。 ・『稲川怪談 昭和・平成・令和 長編集』第三章「怖い場所」の4話め、154~170頁「八王子の首なし地蔵」は、154頁2行め~161頁「お地蔵さんの祟り」に続いて、162~170頁「八王子怨霊地帯」と題する、道了堂跡の首なし地蔵の話になる。冒頭を抜…

八王子市の首なし地蔵(08)

2022年12月2日付(01)の冒頭に、稲川淳二が有名にした(と云って良いと思う)道了堂の首なし地蔵に関連して「‥‥。その上、稲川氏は近著に収録した「八王子の首なし地蔵」で余計な(!)改変を加えたため、今後、新たな混乱の発生が懸念されるのである。」な…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(189)

これも今日投稿しないと2022年は投稿なしになってしまうので急遽準備して投稿することにした。 2021年12月19日付(188)に続いて、叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』に収録される小説の設定を検討したものを(189)と(190)として準備してい…

稲川淳二『稲川怪談』(8)

念のために断って置くと、私は『新耳袋』は殆ど読んでいない。何冊か借りて見たのだが、昨日の最後の方に述べたように、私はどうしても背景、すなわち、時代や場所、人間関係などの説明に具体性がなくて、体験そのものだけが書かれたものにはリアリティを感…

『稲川淳二のすご~く恐い話』(6)

昨日の最後に取り上げた、「中山市朗ブログ」の2009年04月15日「マスコミについて」に、稲川氏が『新耳袋』と共通の話をライブで語り、書籍にも載せていることについて「‥‥。で、あの人はライブで話したことを本にする(ゴーストライターが、ですけど)んで…

稲川淳二『稲川怪談』(7)

細かいところを見て行くと際限がなくなる上に、私はそもそも稲川淳二のことをそんなに知らぬので、このまま続けても勘違いをしては後でそのことに気付いて訂正また訂正と云うことになりそうだ。そんな訳で、この辺りで本題である稲川氏が取り上げて有名にな…

稲川淳二『稲川怪談』(5)

昨日取り上げた②『昭和・平成・令和 長編集』第二章【4-2】「ピンクの女」は、昨日も注意したように【4-1】「闇夜の赤ん坊」と抱き合わせて【4】「ナオ・バーズ・バー」として纏められている。 そのため、初出『稲川淳二のすご~く恐い話(PARTⅠ)』第34話「…

稲川淳二『稲川怪談』(4)

一昨日、12月22日付(3)に見た、②『昭和・平成・令和 長編集』の「出典・初出一覧」に『稲川淳二のすご~く恐い話』の『ベストセレクション』が入っていることに注意し、昨日、そのリイド文庫『稲川淳二のすご~く恐い話 ベストセレクション』について、12…

『稲川淳二のすご~く恐い話』(5)

昨日述べたような理由で、実物未見ながら次の本を取り上げる。 ・リイド文庫『稲川淳二のすご~く恐い話 ベストセレクション』平成13年8月2日 第1刷発行・平成17年7月11日 第2刷発行・定価457円稲川淳二のすごーく恐い話ベストセレクション (…

稲川淳二『稲川怪談』(3)

昨日の続きで今年刊行された②『昭和・平成・令和 長編集』の細目と「出典・初出一覧」を眺めて置こう。要領は昨日に同じ。 ・7頁(頁付なし)扉「第一章 怖い記憶」全面に写真、カバー裏表紙「6」に同じ。 【1】真っ赤な男(8~13頁) ユニJオフィース 【2…

稲川淳二『稲川怪談』(2)

昨日の続きで①『昭和・平成傑作選』と②『昭和・平成・令和 長編集』の細目と222~223頁「出典・初出一覧」を合わせて確認して置こう。 ①②とも222頁1行めには「本書に掲載した作品は、リイド社より刊行された、次の書籍に掲載されたものを改訂・改題したもの…

稲川淳二『稲川怪談』(1)

稲川淳二は同じ話を繰り返し語っています。語り藝ですから、当然揺れがあります*1。単に稲川氏の怪談を愉しみたいと云うのであれば、前に聞いた、或いは読んだのと違うところが、少し引っ掛かって、SNSなどに書いて、それ以上別に何ともしない訳ですが、私は…

東京八王子西ロータリークラブ『山と平野のふれあう街』(1)

①東京八王子西ロータリークラブ広報委員会 編集『山と平野のふれあう街 ―写真でつづる八王子の昔と今―』昭和56年6月26日発行・東京都八王子西ロータリークラブ(八王子)・146頁・19.5×21.5cm ②東京八王子西ロータリークラブ30周年実行委員会 編集『山と…

八王子市の首なし地蔵(1)

八王子に「首なし地蔵」と呼ばれる地蔵があって、と云う話は稲川淳二が広めてかなり有名になっているらしい。その鑓水の道了堂跡にある石地蔵だが、立像と座像の2躯があって、稲川氏は一方に指定しているのに混乱を来している。その上、稲川氏は近著に収録し…

大和田刑場跡(10)

ここで11月25日付「清水成夫『八王子ふるさとのむかし話』(06)」に挙げた、『八王子ふるさとのむかし話』の大和田刑場跡に関する記述について確認して置こう。 ・清水成夫『八王子ふるさとのむかし話』巻一83~84頁<小宮地区>《12》大和田河原刑場(八王…

清水成夫『八王子ふるさとのむかし話』(10)

昨日に続けて清水成夫『八王子ふるさとのむかし話』巻二の内容を眺めて置きたいところでなのですが、本シリーズは都内の公立図書館には揃いで所蔵しているところがなく、都下の公立図書館にも殆ど所蔵されておりません。しかしながら、それでも巻二を所蔵し…

清水成夫『八王子ふるさとのむかし話』(3)

巻一には昭和55年(1980)版、すなわち巻二刊行に合わせた増刷があったようだ。昭和52年(1977)版の巻一を借りている間に、並べて見たいとは思うのだけれども、ちょっとその余裕はなさそうだ。 * * * * * * * * * * 巻二の〔A〕と〔B〕の異同だが…

清水成夫『八王子ふるさとのむかし話』(2)

・奥付 昨日、私の手許にある2冊の巻二の、装幀が微妙に異なっていることを述べた。 奥付の発行年月は同じである。どちらが先か、俄に分からない。しかしながら、奥付も少し違うのである。 そこで今回は、巻一・1冊と巻二・2冊の合計3冊の奥付について見て置…

清水成夫『八王子ふるさとのむかし話』(1)

清水成夫の伝説蒐集に関しては、11月18日付「清水成夫 編『八王子周辺の民話』(3)」及び11月19日付「清水成夫 編『八王子周辺の民話』(4)」に、昭和43年(1968)8月刊『八王子周辺の民話』の橋本義夫「跋」にある、清水氏が「前々から長年蒐集につとめ…

清水成夫 編『八王子周辺の民話』(4)

・郷土資料シリーズ⑷『八王子周辺の民話』(4)跋② 昨日は典拠の問題で終わってしまったが、今回は橋本義夫「跋」のうち、編集について述べた箇所を見て置こう。67頁上段3~8行め、 本シリーズには都合により五十六篇だけ採録されてあ/るが、氏の手元には…

清水成夫 編『八王子周辺の民話』(3)

・郷土資料シリーズ⑷『八王子周辺の民話』(3)跋① 66~67頁上段に橋本義夫「跋」を見て置こう。66頁上段1~4行め、 編者清水成夫氏は武相地方に知られた地方史家であ/る。今日まで四十余年、生活の三分二ほどの傾けるとい/う地方紙のマニヤ的な熱心家で…

清水成夫 編『八王子周辺の民話』(1)

・郷土資料シリーズ(4)『八王子周辺の民話』昭和43年8月1日発行・東京都立八王子図書館・67+4頁・A5判並製本 表紙は淡い紫色の模造紙で、表紙の文字は明朝体縦組み、中央に太字で大きく「八 王 子 周 辺 の 民 話」と標題、その右脇上寄りに「清 水 成…