瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

Agota Kristof “Le Grand Cahier” (3)

アゴタ・クリストフ/堀茂樹 訳『悪童日記』(3) 単行本の13版と14版のカバーは一致。 本体の異同は、明朝体横組みの奥付のみ。それぞれの発行日と、最後の1行が13版は「Printed and bound in Japan」だったのが、14版ではその下に小さく、 落丁・乱丁本は…

朝里樹『日本現代怪異事典』(1)

本書については3月13日付「田中康弘『山怪』(2)」に書影を貼付し、3月27日付「事故車の怪(7)」に言及した。A5判並製本、3段組で500頁、定価2,200円は強気の価格設定である。版元はこれまでこの種の本を余り出していなかった笠間書院。――出していなかっ…

Agota Kristof “Le Troisième Mensonge” (1)

アゴタ・クリストフ/堀茂樹 訳『第三の嘘』(1) 昨日の続きで『悪童日記』三部作の3作めについて。 ・単行本 四六判上製本第三の嘘 (Hayakawa Novels)作者:アゴタ クリストフ早川書房Amazon・1992年6月10日 初版印刷・1992年6月15日 初版発行・定価1553…

Agota Kristof “La Preuve” (1)

アゴタ・クリストフ/堀茂樹 訳『ふたりの証拠』(1) 昨日の続きで『悪童日記』三部作の2作めについて。 ・単行本 四六判上製本ふたりの証拠 (Hayakawa Novels)作者:アゴタ クリストフ早川書房Amazon・1991年11月10日 初版印刷・1991年11月15日 初版発行・…

Agota Kristof “Le Grand Cahier” (2)

アゴタ・クリストフ/堀茂樹 訳『悪童日記』(2) 昨日の続きで、4章め「労働」の、文庫版初刷に於ける疑問箇所が「若干の手直しを加え」る前はどうなっていたのかと思って、単行本を比較して見た。 まづ、発表の順序は逆になるが私の見た順序に従って、文庫…

Agota Kristof “Le Grand Cahier” (1)

アゴタ・クリストフ/堀茂樹 訳『悪童日記』(1) ・単行本 四六判上製本悪童日記 (Hayakawa Novels)作者:アゴタ クリストフ早川書房Amazon・1991年1月10日 初版印刷・1991年1月15日 初版発行(244頁)定価1553円*1 ・1991年1月15日 初版発行・1992年…

三軒茶屋の思ひ出(1)

大学2年まで、私は最寄り駅でもないのに三軒茶屋から通学していた。 当時は暇だったので、辺りを随分歩き回ったものだったが、とにかく歩いているばかりで店や施設には、駅前のハナマサやライフ、立食い蕎麦のかしわやに入るくらいだった。二十歳を過ぎた頃…

今野圓輔『怪談』(7)

昨日の続きで、現代教養文庫版を基準に、中公文庫版と対照させつつ、2章め「Ⅱ 幽霊の歴史性」の細目を見て行くこととする。要領は昨日に同じ。 「一、夏芝居・盆興行と幽霊」32〜40頁11行め →「Ⅱ―1 夏芝居・盆興行と幽霊」32〜40頁 「盛況の幽霊ばなし」32…

今野圓輔『怪談』(6)

それでは、現代教養文庫版及び中公文庫版について、1章め「Ⅰ 幽霊・妖怪の登場」の細目を見て行くこととする。図版はキャプションの前に掲載位置を示した。キャプションの位置は下に小さく明朝体横組みである。本文には図版等、現代教養文庫版にない要素はな…

今野圓輔『怪談』(5)

昨日の続きで、現代教養文庫版の「参 考 文 献」と、小池壮彦「解説」に手を入れて組み込まれた「参考文献」について、幾つか取り上げて比較して見ようかと思ったのだが、それでは5月20日付(3)に細目を確認しようと述べたことから離れてしまうので、「参…

今野圓輔『怪談』(4)

昨日の続き。 今回は現代教養文庫版にない「あとがき」が中公文庫版にあることと、現代教養文庫版の巻末、209〜216頁「参考文献」が、中公文庫版の小池壮彦「解説」の3節め、227〜236頁「三・旧版掲載の参考文献について」に改編されていることについて見て…

今野圓輔『怪談』(3)

昨日の続きで、中公文庫版の小池壮彦「解説」に小池氏が転載している写真について、先に見て置こうと思っていたのだが、やはり細目を先に見て置くことにする。 現代教養文庫版・中公文庫版ともに1頁(頁付なし)扉、2頁は白紙で3〜6頁が目次。現代教養文庫版…

今野圓輔『怪談』(2)

・中公文庫(2) 現代教養文庫版と中公文庫版との違いについて、細目を比較しても良いのだけれども、どうも疲れてしまって頭から細かく確認する作業に耐えられそうにないので、私が現代教養文庫版を見ようと思った切っ掛けである、中公文庫版の小池壮彦「解…

今野圓輔『怪談』(1)

・現代教養文庫175『怪談 民俗学の立場から』 ①昭和32年7月25日 初版第1刷発行 ②昭和50年 初版第19刷発行(216頁) ・昭和50年10月30日 初版第20刷発行 ・昭和51年5月30日 初版第21刷発行 ・中公文庫『怪談 民俗学の立場から』 怪談―民俗学の立場から (中…

François Boyer “Jeux interdits” (3)

・角川文庫2660『禁じられた遊び』(2) 本体、扉及び奥付の子持ち枠、三十八版は擦れる。三十四版・三十六判の奥付の子持ち枠の左下、大きく空く。四十六版は匡郭に切れ目がなく、鳳凰は翼を拡げて脚を揃えている。 222頁に著者紹介、三十六版と三十八版は…

François Boyer “Jeux interdits” (2)

・角川文庫2660『禁じられた遊び』(1) 禁じられた遊び (角川文庫 赤 258-1)作者: フランソワ・ボワイエ,花輪莞爾出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 1970/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る禁じられた遊び (1956年) (河出新書)作者: フラ…

松葉杖・セーラー服・お面・鬘(23)

・クリネックスティシューのCM(3) 2016年4月13日付(22)(及び2016年6月4日付「中山七里『さよならドビュッシー』(1)」)から随分経ってしまいました。別段深い理由があった訳ではなく、2016年3月2日付(19)及び2016年3月3日付(20)にて、一応の…

事故車の怪(14)

・別冊宝島92「うわさの本」(3) それでは一昨日からの続きで、石丸元章と大月隆寛の対談に添えられた囲み記事「うわさ投稿傑作選」について見て置こう。囲みの中も3段組で1行18字、上段の初め4行分にタイトル、1行めは上下端が半円形の黒にゴシック体白抜…

事故車の怪(13)

・別冊宝島92「うわさの本」(2) 昨日の続きで、石丸元章と大月隆寛の対談について。 早速「うわさ投稿傑作選」について述べても良かったのだが、もう少し対談そのものについて見て置くこととしたい(そんな訳で今回、話は事故車の怪に及ばないが、題はそ…

事故車の怪(12)

引き続いて日本の現代伝説『ピアスの白い糸』を見て行くべきであるが、続きはソアラの話でなくなるので後回しにして、ソアラの話の発生時期について述べた文献を見て置くことにする。 ・別冊宝島92「うわさの本」 1989年4月25日発行・1994年7月10日第26刷…

事故車の怪(11)

・日本の現代伝説『ピアスの白い糸』(2) 5月3日付(09)の続きで、5月4日付(10)からしばらく、ソアラ発売の翌年の怪異に話が逸れてしまったが、群馬県のソアラに話を戻すこととしよう。 このシリーズは節ごとに編者が分担しており、1節めの担当は常光徹…

赤いマント(159)

2016年1月12日付(146)の続き。 怪談レストラン42『紫ババアレストラン』所収、岩崎京子「赤マント」が、昭和14年(1939)に東京をパニックに陥れた赤マントとは、どうも違っているらしいことに注意しました。 私は大事件になった「赤マント」は、2月に東京…

Alphonse Daudet “Lettres de mon moulin”(2)

・岩波文庫32-542-1『風車小屋だより』(2) 昨日の続きで第60刷・第62刷・第65刷・第67刷・第82刷の本体について。 本体、第60刷と第62刷の異同は、奥付のそれぞれの発行日と目録。 第62刷と第65刷の異同は、奥付のそれぞれの発行日と、右下「Printed in J…

Alphonse Daudet “Lettres de mon moulin”(1)

・岩波文庫32-542-1『風車小屋だより』ドーデー 作/桜田佐 訳 ①1932年7月15日 第1刷 発 行 ②1940年 ③1958年10月25日 第31刷改版発行©(226頁)風車小屋だより (1958年) (岩波文庫)作者: ドーデー,桜田佐出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1958メディア: …

K病院の幽霊(3)

昨日の続き。 『幽霊物件案内』のオチは次のようになっている。前回引いた163頁15〜18行めのヤケベさんの台詞に続いて、164頁(初めに1行分の空白があって、ここで159頁14行め〜160頁6行めの、運送屋との会話と云う枠組みに戻る訳だが)1〜5行め、 その後、…

K病院の幽霊(2)

昨日の続き。 19歳の浪人生キノくんの怪我は『幽霊物件案内』には「バイクの事故で右足を骨折した」とあったが、『東京近郊怪奇スポット』では説明されていない。小池氏と会った頃の怪我の状態は、『幽霊物件案内』では具体的に説明されておらず、せいぜい、…

K病院の幽霊(1)

それでは昨日、5月4日付「事故車の怪(10)」に予告した、小池壮彦(1963.2.14生)が昭和57年(1982)夏に入院した世田谷区のK病院での体験について、平成8年(1996)刊『東京近郊怪奇スポット』と平成12年(2000)刊『幽霊物件案内』とを照合することとし…

事故車の怪(10)

事故車の怪異の話は都市伝説化して車種もソアラ、と云うことになっているようだ。――私は自動車に興味がなく、ソアラがどんな車なんだか全くイメージ出来ないくらいで、この手の話を人から聞いたこともない。 群馬県を舞台として中古車のソアラの話が広まり始…

事故車の怪(09)

ここで2017年1月3日付(03)及び2017年1月4日付(04)に小池壮彦『幽霊物件案内2』を取り上げただけで中絶していた「10年以上前の文献」の「例」を、幾つか挙げて見ようと思う。 ・日本の現代伝説『ピアスの白い糸』(1) まづ、2016年12月19日付「『夢で…

事故車の怪(08)

昭和45年(1970)6月の「週刊少年マガジン」に載った話を3月27日付(07)に紹介した。恐らく典拠があるはずなので、その探索をした上で話を進めるべきなのであるが、なかなかその余裕もないので差当りこの記事から、仮に見当を示して置くこととしたい。 3月2…