瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

生歿年

赤いマント(333)

・KAWADE 道の手帖『竹中 労』(5)生年月日⑤ 断って置くが、私は別に新説を立てようとしている訳ではない。本書の「竹中労略年譜」が、従来行われいていた①昭和3年(昭和2年度)生、③昭和5年(昭和5年度)生の2説とは別に、②昭和5年(昭和4年度)生説を殆…

赤いマント(332)

どうも、余計な話で長くなった。 ・KAWADE 道の手帖『竹中 労』(4)生年月日④ 寺島珠雄「美的浮浪者の過程 ――私記・竹中労」の〔3〕「年齢と上野・浅草」の続きを見て置こう。136頁下段2~18行め、 年齢にこだわる理由はあと回しにもう少し計算してみる/…

赤いマント(331)

一昨日からの続き。 ・KAWADE 道の手帖『竹中 労』(3)生年月日③ それでは寺島珠雄「美的浮浪者の過程 ――私記・竹中労」から、「竹中労 年譜」に関する記述を見て置こう。 まづ〔1〕「夜から朝へ」にて、年齢の問題を次のように遠回しに切り出す。133頁上…

赤いマント(330)

昨日の続き。 ・KAWADE 道の手帖『竹中 労』(2)生年② 巻末の編集部 作成「竹中労略年譜」には、生年月日を昭和5年(1930)3月30日生としている。だから平成3年(1991)5月19日に満61歳で死去したことになる。 ところが、収録されている文章や対談等を読ん…

赤いマント(329)

私は4年前に「赤マント流言」に関する本を出したいと当ブログに書いたのだが、実はその後、消極的になっている。 構想としては『昭和十四年の「赤マント」』と題して、新聞・雑誌・日記等から拾った当時の記事を順を追って辿りながら、赤マント流言の発生・…

八王子事典の会 編『八王子事典』(8)

・牛魂碑の建立年と井草甫三郎の生歿年 ①29頁13~19行め②31頁8~14行め、 井草甫三郎*1 ?~1951年(昭和26)1月8日.酪農家.松木出身.東京立/志塾で村田直景に農村経営法を学び,1892年(明治25)先進酪/農地千葉県房総を視察,ホルスタイン種牝牛1頭…

八王子事典の会 編『八王子事典』(6)

・2人の朝倉甚五郎 ①初版15頁7~13行めと14~20行め②改訂版15頁26行め~16頁3行めと4~10行めの連続する2項目、50音順なので息子の方が先に出ているが、そのまま抜いて置こう。 朝倉菊太郎*1 1889年(明治22)1 月2 日~1960年(昭和35)1 月22日.大正/期…

中島悦次『傳説の誕生』(2)

昨日の補足。 中島氏の祖父と父だが、オークションサイトの説明に以下のようにあった。 森廣陵 もり・こうりょう。(明治七・1874~大正十・1921)は名廉、本姓中島、前橋の南宗画家、霞巌の子。寺崎廣業の門人。 出典を示していないが美術関係の人名事典か…

平野威馬雄『お化けについてのマジメな話』考証(01)

2016年8月17日付「淡谷のり子「私の幽霊ブルース」考証(2)」に、本書に載る淡谷のり子(1907.8.12~1999.9.22)の談話を紹介した。淡谷氏はこの話を度々語っているので、比較検討しようと思っていたのだが、当時、幽霊となって現れたとされる人物の子息が…

伊藤正一『黒部の山賊』(8)

今回も私の手許にある②新版、③定本、④文庫版について。 ・見返し(2) それでは②裏表紙見返しの「山賊たちのプロフィール」について、③220~221頁④300~301頁と比較して見よう。前回注意したように②には(昭和三十九年当時)と註記してあって、基本的に4人…

伊藤正一『黒部の山賊』(2)

昨日の続きで①初版、②新版、③定本、④文庫版の関係について、まづ①初版、②新版の関係を確認して置こう。 と云って、昨日も述べたように私は①を見ていない。 しかしながら、②を見るに、装幀は昨日示したように違っているが、本文1~223頁は①をほぼそのまま覆刻…

赤いマント(245)

・北川幸比古の学年(6) 児童文学作家・詩人の北川幸比古(1930.10.10~2004.12.25)の学年とその時期について、松谷みよ子『現代民話考』の中で一定していないことを、これまで指摘して来ました。 まづ2013年10月24日付(003)にて、北川氏が『現代民話考…

同盟通信社調査部 編『國際宣傳戦』(1)

昨日の続きで当初、「赤いマント(244)」と題して投稿したのですけれども、本の説明がしばらく続きそうで赤マント流言には及びませんので、書名の方を題にしました。 * * * * * * * * * * 本書の書影はナカネくんの2019年4月2日22:04の tweet に…

赤いマント(225)

・北川幸比古の学年(4) 昨日の続き。 Wikipedia「北川幸比古」項の、北川氏が「谷川俊太郎とは高校の同級生で」の根拠となったのは、「図書新聞」No.3033(2011年10月08日)掲載の内堀弘の連載「古書肆の眼」の「的場書房のこと――たった二年間の活動なが…

湯浅初江、もしくは湯浅初枝(4)

・『ローム ミュージック ファンデーション SPレコード復刻 CD集 日本SP名盤復刻選集 Ⅳ』解説書(3) 一昨日からの続き。 49頁3行め~65頁14行め「CD3 日本人音楽家海外録音」の解説は、11月15日付(2)に述べたように、49頁4行め~60頁16行め、ク…

湯浅初江、もしくは湯浅初枝(2)

・『ローム ミュージック ファンデーション SPレコード復刻 CD集 日本SP名盤復刻選集 Ⅳ』解説書(2009年5月発行・財団法人 ローム ミュージック ファンデーション・218頁) 11月8日付(1)に触れたように、湯浅氏についてネット上で最も充実した伝記…

湯浅初江、もしくは湯浅初枝(1)

湯浅初江(1902.6.22~?)は日露戦争の第三回旅順港閉塞作戦で戦死した海軍少佐湯浅竹次郎(1871~1904.5.3)の娘で、ドイツで活躍したソプラノ歌手である。 ネット上で最も詳細な伝記である Wikipedia ドイツ語版「Hatsue Yuasa」項は「湯浅初枝」と漢字を…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(133)

・青木純二の経歴(2) 先行研究で、青木氏の経歴について最も充実した調査結果を示しているのは、10月15日付(132)に触れた、牧野陽子(1953生)の論文によって批判された、遠田勝(1955生)の次の本である。 ・遠田勝『〈転生〉する物語――小泉八雲「怪談…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(130)

・杉村顕道の家系(3) さて、杉村氏の父について、明治期に官界・実業界で成功を収めた人物として、まづ国立国会図書館デジタルコレクションにて『人事興信録』に当たってみることにした。 ・『人事興信録』明治三十六年四月十五日印刷・同 三十六年四月十…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(129)

・杉村顕道の家系(2) 杉村顕(1904.5.26~1999.6.11)と杉村惇(1907.9.7~2001.8.13)は生歿年月日も判明している。 いや、叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』435~455頁、杉村顕道の次女・杉村翠の談話「父・顕道を語る」には、歿年月日は4…

杉村顕道の著書(1)

・杉村顕道『増補 近代名医伝』昭和三十三年九月二十日印刷・昭和三十三年十月 一 日発行・定価 二八〇 円・槐書院・374頁・B6判並製本 「増補」は角書。 見返しの遊紙、扉、吉田富三「序」1頁(頁付なし)「昭和三十三年九月上浣」付で裏は白紙。武藤完雄「…

吉行淳之介『贋食物誌』(2)

・吉行淳之介の誕生日(1) 吉行淳之介の年譜としては、当初、近所の市立図書館等で目にした次の本に載るものを参照していた。 ・新潮現代文学42『砂の上の植物群・夕暮まで』 昭和五十四年六月 十 日 印刷・昭和五十四年六月十五日 発行・定価一二〇〇円・…

『三田村鳶魚日記』(18)

・皆川家との関係(4) 昨日引いた『三田村鳶魚日記』昭和七年六月二十六日(日)条ですが、書き振りからしてこれが、5月4日付(15)に見た、大正11年(1922)8月13日に絶縁を申し渡して以来10年振りの、皆川豊治(1895.4.25~1948.5.11)との再会であった…

『三田村鳶魚日記』(06)

【4月18日追記】「赤いマント」記事に使用する資料の確認と云うことで始めたのですが、赤マントに話が及ぶ前が随分長くなってしまいました。これは別の記事にするべきだと思い直して、今更ながら『三田村鳶魚日記』に改称します。すなわち「赤いマント(181…

小金井喜美子『鴎外の思ひ出』(8)

・特別展図録『私がわたしであること』(2) 昨日の続き。 51頁(頁付なし)も全面に写真で「鴎外博士のお子様 観潮楼の縁側で 「婦女界」12巻3号 大正4年9月」茉莉(満12歳)類(満4歳)杏奴(満6歳)。 巻頭論文・巻末論文は3段組。 4〜5頁、金井景子(早…

小金井喜美子『鴎外の思ひ出』(4)

単行本は口絵に続いて「序にかへて」が4頁で頁付は単独。 まづ一頁、3行取り6字下げでやや大きく「序 に か へ て」と題し、さらに1行空けて2字下げで短歌。 文庫版5頁は4行取り4字下げでやや大きく「序にかえて」とあり、3字下げで短歌。 あ や し く も 重…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(84)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(19) 今回は昨日の続きで、ここまでの検討につき一応の結論を述べるつもりでしたが、その前に細かいことを2つ、取り上げて置きましょう。 * * * * * * * * * * 「嫁子ネズミの話」の「一」節めの類話が、同じ佐々木喜…

田辺貞之助『江東昔ばなし』(7)

・田辺氏の家族の生歿年(4) 昨日の続き*1。 ・妻 2016年12月26日付「田辺貞之助『女木川界隈』(4)」の最後に引いた『女木川界隈』の「お稲荷さま(二)」の節に拠れば、昭和5年(1930)秋の妹の死と、昭和7年(1932)の母の死の間に結婚している。昭和6…

田辺貞之助『江東昔ばなし』(6)

・田辺氏の家族の生歿年(3) 12月27日付「田辺貞之助『女木川界隈』(5)」の続き*1。 ・姉(2) 12月27日付「田辺貞之助『女木川界隈』(5)」に「姉は1人しか登場しない。」と書いた。しかし、「江東の女たち」の節の「お直ちゃん」に、このお直ちゃ…

田辺貞之助『女木川界隈』(5)

・田辺氏の家族の生歿年(2)*1 昨日見たように『女木川界隈』では家族の生歿年を曖昧にしていたのが『江東昔ばなし』ははっきりさせている。これは『江東昔ばなし』の前年に「改葬の嘆き」を執筆して、家族の年忌について確認する機会を得たためであろうか…