瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

雜誌

赤いマント(357)

水島爾保布(1884.12.8~1958.12.30)のことは、次の文庫本で知っているだけだった。人魚の嘆き・魔術師 (中公文庫 た 30-11)作者:谷崎 潤一郎中央公論新社Amazon だから随筆家であったことも知らなかったのだが、昭和6年(1931)2月15日創刊、昭和20年(194…

赤いマント(355)

・前田鐵之助 編纂『全日本詩集』2/第二卷/昭和十四年度/1939版(昭和十四年八月十日印刷・昭和十四年八月廿日發行・定 價 壹圓八拾錢・詩洋社(発賣所 上田屋書店)・328頁 前田鐵之助(1896.4.1~1977.11.18)編纂、詩洋社版『全日本詩集』は昭和1…

赤いマント(354)

・松原寛 編輯「新生活」第四卷 第六號/六月號(昭和十四年五月 五 日印刷・昭和十四年五月十八日發行・誌代 貳拾錢・新生活社・66頁) 27頁、吉田三代治「都市教室(自由律短歌)」最後の7首めが、 TOKYO 燻製の空の知性 ヒラヒラ赤マントなど 羽搏い…

赤いマント(353)

・川柳きやり吟社「川柳きやり」第二十卷第五號/―214― /五月號(昭和十四年 四 月廿五日印刷納本・昭和十四年 五 月 一 日 發 行・定價 金二十五錢・52頁) 川柳きやり吟社は大正9年(1920)4月に村田鯛坊が設立した川柳の結社で2020年4月に100周年を迎…

赤いマント(349)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(4)生年月日⑭ 昨日「対決・硬骨の二人」に触れて、竹中英太郎が長男・労が「昭和五年生まれ」と明言するところは引用されていないと述べたが、この対談について述べた箇所には、なかなか興味深い記述がある。167頁9~13…

赤いマント(348)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(3)生年月日⑬ 昨日の続きで、木村氏が昭和3年(1928)生説を採用せず、昭和5年(1930)生説に従った理由を見て置こう。 82頁1~2行め「‥‥、初めての訪沖のことは「メモ・沖縄/一九六九」に次のように記されている。」…

赤いマント(347)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(2)生年月日⑫ 昨日の続きで、年齢に関する記述を見て置こう。 木村氏は「はじめに」で、7頁3~4行め「‥‥、一九九一年(平成三年)に六十歳でこの世を去った。」とする。8頁2~4行め、 竹中さんの本名は「労」だが、通称…

赤いマント(344)

・鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』(3)生年月日⑩ 昨日の続きで、本書から竹中労の生年(月日)に関係する記述を抜いて置こう。 まづ「序 竹中労の語り口」、8頁3~4行めに、 竹中労の演説を初めて聞いたのは、七三年五月の神田共立講堂「大演説会」。お…

柴田隆行『片倉の自然』(6)

1月21日付(5)の続き。 さて、1月17日付(1)に引いた「改訂版あとがき」にあった、「片倉の自然環境」の変化による「改訂版」は結局刊行されなかった。それは「まだ資料不足」と云うより昭和60年(1985)から柴田氏が、従来の東洋大学に加えて神奈川大学…

赤いマント(338)

・鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』(1)生年⑧ 昨日まで生年月日や幼少期の回想に限ってその記述を拾って見た鈴木邦男『竹中労』124頁11~13行めに、次のように触れてある鈴木義昭(1957生)の本も借りてみた。 ‥‥、鈴木義昭さんは、竹中労の本、それに父…

清水成夫 編『八王子周辺の民話』(3)

・郷土資料シリーズ⑷『八王子周辺の民話』(3)跋① 66~67頁上段に橋本義夫「跋」を見て置こう。66頁上段1~4行め、 編者清水成夫氏は武相地方に知られた地方史家であ/る。今日まで四十余年、生活の三分二ほどの傾けるとい/う地方紙のマニヤ的な熱心家で…

祖母の蔵書(46)文藝春秋

祖母は雑誌も買っていた。居間の、いつも座って本を読んでいたソファの脇には、唱歌の本、漢字パズル、都市地図、週刊誌などが積んであった。『鞍馬天狗』等小説の文庫本もあったが薄汚れていて、かなり長いこと積んだままになっていたようだ。貴乃花のファ…

『「超」怖い話』(3)

・竹書房文庫『「超」怖い話†(クロス)』(2) 昨日の続き。今回は「はじめに」の3頁13行め~5頁5行め及び「おわりに」の201~203頁の、本書の刊行と新作の追加についての記述を見て置こう。 3頁13行め~14頁6行め、 ‥‥、竹書房の小川さんよりご連絡をいた…

武蔵野文化協会 編『武蔵野事典』(3)

昨日の続きで記念号の699頁、市販版の奥付の前の頁を見て置こう。 上段1行めは丸ゴシック体で若干大きく2行取りで「表紙・口絵・補遺編凡例」とあって記念号は4項であったが市販版は3項になっている。すなわち記念号の1項めが削除されているのだが、次のよう…

武蔵野文化協会 編『武蔵野事典』(2)

昨日の続きで、「武蔵野」記念号の『武蔵野事典』について、昨日見た上製本と比較しながら見て置こう。 ・「武蔵野」第九十五巻第一・二号(通巻三五九・三六〇号) 特集『武蔵野』創刊100周年記念号「武蔵野事典」(令和二年五月四日発行・701頁・A5判) まづ装…

武蔵野文化協会 編『武蔵野事典』(1)

・武蔵野文化協会 編『武蔵野事典』2020年9月10日 初版発行・定価12,000円・雄山閣・ⅵ+690頁・A5判上製本武蔵野事典雄山閣Amazon 書影は帯が掛かったものらしく、私の手許にあるカバーでは紫地の箇所には、最下部中央に行書体白抜きで「雄 山 閣」とあるば…

米光秀雄・滝沢博・浅井徳正『多摩』(7)

・郷土叢書2『続多摩』(5) 7月5日付(5)の続き。 扉の用紙、初刷は灰色、重刷は横縞の透かしの入った明るい灰色。上部中央やや左寄りにカバー表紙と同じ標題を黒で縦に組み、下部中央やや左寄りに明朝体縦組みで行間を詰めて「米光秀雄/滝沢 博/浅井…

道了堂(13)

小池壮彦『怪奇事件の謎』の「「道了堂跡」に刻まれた"悲史"と"タブー"」の初出は、2011年1月12日発売の「怖い噂」Vol.8のようです。怖い噂 VOL.8―世の中の”怪”を読み解くエンターテインメント・ミステリアス・マガジン (ミリオンムック)ミリオン出版Amazon す…

湯口康雄『黒部奥山史談』(1)

・湯口康雄『黒部奥山史談』一九九二年十一月二十日発行・定価三、〇〇〇円・桂書房・257頁・A4判上製本 著者の湯口康雄(1936~2013.11)については、奥付の上にある「著者略歴」に、 湯口康雄*1 昭和十一年 富山県に生まれる 昭和三十二年 富山大学教育学部…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(14)

・「山の蒐書入門」と「回想の岳人」 2021年12月29日付(05)に年末年始のせいか閲覧出来なくなっていると述べた、第七章「山岳雑記」の初出である日本山学会の会報が、閲覧出来るようになっていたので、早速「日本山岳会」HPの「会報「山」バックナンバー」…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(13)

・「黒部の古文書二、三」 前回の最後に述べたように、この文章の末尾には「(『山小屋』昭和二年一〇月号)」とあるから、1月3日付(10)に引いた「烏水翁のこと その二」の冒頭に「私は昭和の初め頃から黒部奥山の登山史料と取組んでいて、‥‥」とある、「黒…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(4)

昨日は「第三章 白馬岳をめぐって」の「白馬岳志雜攷」を見ただけで力尽きてしまったが、この章には他に次の小文が収められている。 ・345頁12行め~348頁17行め「白馬雜談」(『山岳会報』八二号・昭和十四年) これは「日本山岳会」HPの「会報「山」バックナ…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(3)

・白馬岳志雜攷 昨日の続き。 「第一章 黒部奥山と奥山廻り役」にはこの他に2篇、これ以降は全て新たに活字を組んでいる。また、これ以降のものは末尾に下詰めで「凡 例」の最後、13行め「六、初出書誌名とその年月は各文末に記した。」とある通り、初出を示…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(184)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(7)『彩雨の屑籠』正・続・新 2019年9月12日付(115)の後半に抜いた箇条からも察せられるように、叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』にはかなり細かい、編集部「【解題】」があったが、本…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(182)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(5)樺太から仙台へ 昨日の続きで土方正志「◎解説◎杉村顕道の足跡」の気になったところをメモして置く。 ・476頁下段7行め「見い出され」は「見出され」。 ・484頁上段16行め「三遊亭可楽」は「三笑亭可…

白馬岳の雪女(069)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(29)「二」2~6節め 10月14日付(067)にて『信濃の民話』の典拠表示について問題にしているところを引き、10月15日付(068)からは本書を離れて「信濃の民話」編集委員会について確認するため『信濃の民話』について一通り確…

白馬岳の雪女(60)

昨日の続き。 ・橘正典『雪女の悲しみ』(2) 奥付は横組みで、上部に[著者略歴]がある。「昭和4年 兵庫県加古川市に生まれる。/昭和29年 京都大学文学部卒業。/現 在 京都薬科大学教授/著 作 ‥‥」著作は5点、川端康成とフォークナーについての単著、…

白馬岳の雪女(13)

・大島廣志の「雪女」(1) 8月4日付(08)に、日本の伝説24『富山の伝説』の前半、大島広志・石崎直義「富山伝説散歩」の2章め「黒部」を担当したのは大島氏だったらしいと見当を付けたのだが、4節め「黒部峡谷の怪異譚」の最後(44頁上段6行め~下段12行…

池内紀の中公新書(1)

5月8日付「池内紀「雑司が谷 わが夢の町」(3)に取り上げた中公新書2023『東京ひとり散歩』は、2007年と2008年の2年間「中央公論」に連載した「足の向くままいちにち散歩」を中心に纏めたものだった。――この頃、池内氏は「中央公論」に持っていた連載を、…

長沢武『北アルプス夜話』(4)

昨日の続き。 ・初出誌「信濃路」の謎(?) 復刻版というと、元版の内容を余すところなく再現しているものと、普通思う。頁付を打ち直したり、新たに凡例や解説を加えることはあっても、元版は影印でそのまま収録されているものと思う。 しかしながら、新た…